『日本の戦後を知るための12人』を読んでみた

映画の感想はこれまでいくつか書いていたんですが、本を読んだ感想もたまには書いてみようと思います。

今回の本は、こちらです。


タイトルの通り、戦後を象徴する12人を池上彰さんの解説で辿っていく、という内容です。
その中でも特に印象深かった人を3人を自分の感想と共に紹介します。

1. 田中角栄

誰もが知る昭和の政治家ですね。最近では安倍首相が最長在任記録を更新して長期政権を続けていましたので、平成の政治家と言えば安倍晋三、と後世の人は言っているのかもしれません。

田中角栄と言われて、「国土強靭化」、「教員の待遇改善」、「日中関係の改善」など色々と思い浮かべることが違うと思いますが、私の好きなエピソート(本書でも紹介されています)は、大蔵大臣になったときに官僚を前にして言った言葉で、

「私が田中角栄である。中学校卒業でみなさんのような学歴はないが、いばらの道は通ってきたつもりである。我こそはと思う人はいつでも大臣室の扉は開けておくので来て欲しい。上司を通す必要はない。」

ということを言ったエピソード(正確な言葉は違うと思います)で、こんなことを言われたら自分だったら奮い立っちゃうなーと思いました。

最終的には逮捕されて有罪判決まで受けてしまうので、評価も様々だと思いますが、間違いなく日本政治に与えたインパクトは大かったのではないでしょうか。

一方で、本書の最後で触れられているように、現代に田中角栄のような政治家が現れても受け入れられるか、というのは別問題だと思います。時代によって求められる政治家は変わり続けるので、田中角栄を懐かしみつつ、現代をうまく舵取りしてくれる政治家を選ぶことが我々国民の責任なのかな、と感じました。

2. 中内㓛

私の地元は九州なので、福岡ダイエーホークスを通じて知っていたのと、叔父さんが仕事で会っていて、そのエピソードを聞いていた、ということもあって結構身近に感じていた人です。

ご存知の通り、流通革命を起こしてモノを安く消費者に届け、ダイエーとうスーパーを作り上げた人です。僕が子供の頃はまだダイエーは各地にあったんですが、今やダイエーを見かけることはなくなりました。

詳しい解説は本書に譲るとして、ダイエー衰退の大きな要因は「成功体験から抜け出せなかったこと」と言われています。モータリゼーションが進み、イオンが広大な駐車場を持ったショッピングセンターを作ったときに、それを追従できずに従来の方法に固執してしまったのが、よく言われる要因です。

それが今はAmazon、楽天をはじめとするインターネットショッピングが広まり、競争も新たなフェーズに入っているように思います。

自分自身も、過去の成功体験に囚われず、時代の流れに合わせて柔軟に対応していきたと改めて思いました。

3. 上皇陛下、上皇后・美智子さま

これは池上さんにとっても扱いにくいテーマだったようです。平成をもっとも象徴する方々であることは間違いないと思います。

平成生まれの私にとっては、お二人こそ天皇・皇后両陛下だという認識が強くあります。戦争も経験した激動の昭和の後に「象徴としての天皇」を追い求められ、被災地や太平洋戦争の戦地に足を運ばれるなど、皇室という場所のこれまでの慣習を変えるにあたって、多大な苦労をされたことは想像に難くありません。

上皇后さまも初の民間出身の皇后としていくつもの苦労があり、お子様の育て方も慣例とは違う方法ととったことで、周りの反発などもあったようです。

生前退位という決断も非常に難しいものであった、ということも本書の中でエピソードも含めて紹介されています。

時代が令和になり、新たな天皇陛下、皇后・雅子さまはどういう皇室をお作りになられるのでしょうか。特に雅子さまは初の外交官出身の皇后さまとして、どういう活動をされるのか、一国民として非常に興味深いです。

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