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鈴木眼鏡作業日記#2(2023/04/09)

 働く。仕事がある日については一日の三分の一が労働で消えていくので、特におもしろいことはない。決まりきったルーティンを繰り返すだけ。ただ時間と引き換えに賃金を発生させているだけ。自分の人生と何の関係もない、切り離された時間。ただただ、無駄な時間。

 「学者や芸術家は世間知らずだから困る」とか言っている人の「世間」って、たいてい会社と取引先と、後は家庭くらいだったりするので、くだらない。その程度の「世間」なら知らない方がましだと思う。

 どうにもいまの私は「きれいなこと」しか書けないみたいだ。別に「きたないこと」を書くだけが文学だなんて古臭いことを言うつもりはないけれど、何だか自分は生活の中のいちばん格好いい部分だけを切り貼りしているだけの「ええかっこしい」なのではないかという気がする。要するに「本当のこと」を書いていないという気がする。

 「本当のこと」というのは、何というか、普通はわざわざ言語化しないような格好悪いことだ。たとえば電車の中で排泄をがまんしていてつらかったけど何とか持ちこたえたとか、パートナーに家事をやっていないことを注意されて言い返したら喧嘩になったとか、ラーメン屋に行ったらなかなか注文を取りに来てくれなくてイライラしたのでそのまま店を出たとか、インターネットで流れてきたエッチなセルフィーに脊髄反射でいいねをしてしまったとか。これでもまだ「ええかっこしい」だと思う。

 勤務先で暇になったので、今日もまた日記を書いた。明日も続くかどうかはわからない。一週間後にはもうやめているかもしれない。何もわからない。

thx :)