やがて私も病気になった。医者によると「軽度の病」とのことだった。恋人の病気と較べればまだましだった。仕事に行くこともできたし、家事をこなすこともできた。
しかし、仕事も家事も「何とかできる」というレベルだった。日勤と夜勤の二つのアルバイトをして、全ての家事をするのは大変なことだった。ときどき全てをやめて死んでしまいたくなった。
でも、私はもう一人だけの人生を背負っているわけではなかった。恋人と暮らしている以上、二人分の人生を背負っているのだ。一人で死んでしまうわけにはいかなかった。
だから二人で死んでしまうことにした。
(続)
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