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はる、なつ、あき、ふゆ、そしてまたはる(23)

 恋人と私は自殺未遂の一件があってから別れた。世田谷のアパートも引き払った。私はアルバイトを二つとも辞め、地元に帰ることにした。恋人もまた地元に帰る予定だった。それぞれ生まれ育った場所に戻って、人生をもう一度やり直そうということになった。「またはじめから やりなおしなんだから わたしはどこへも行きはしない これまでいたところへ 行くだけなのだから」。

 地元に帰ってから私はしばらく何をするでもなく引きこもっていた。元々身内とはほとんど絶縁状態のようなものだったし、誰にも会うことはなかった。もう何もかもがどうでもよかった。

 我々はそれから連絡をとっていない。私はいま恋人がどこでどうしているのか、詳しくは知らないし、知るつもりもない。

 宇宙を飛行する人工衛星のように、我々は一瞬すれ違って人生をともにした。それはとても幸せな時代だった。そして我々はまた離れていった。

 それだけのことだったのだ。

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