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はる、なつ、あき、ふゆ、そしてまたはる(15)

 失踪から一週間経ったころ恋人は突然帰ってきた。一週間に渡る失踪自体なかったことのように、恋人は「ただいま」と言った。私は「おかえり」と言った。格好を見る限りでは仕事先からそのまま帰ってきたようだった。私は恋人がどこにいたかだとか、一週間どうやって生活していたかだとか、そういうことを聞きたくてたまらなかった。しかし、どのように話しだしたらいいのかがわからなくて、私は黙っていた。恋人は部屋着に着替えると、私のもとにやってきてハグをした。私もハグをし返した。

「友だちのところに泊めてもらっていた」と恋人は言った。

「うん」と私は言った。

「ごめんね」

「いや、こちらの方こそ悪かった」

 我々はそれからウーバーイーツでピザを注文して、ネット配信のコメディ番組を見ながら平らげた(それは我々のお気に入りのアメリカのコメディ・シリーズだった)。二人とも涙を流すほど大笑いして、手を叩いた。

 もっともひどい我々の喧嘩の一つはこのようにして幕を閉じた。

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