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はる、なつ、あき、ふゆ、そしてまたはる(1)

 ここで、わたしの人間的欲求を表現すれば、――わたしは、ずっと、マヨネーズという言葉でおわる本を書きたいと思っていた。

リチャード・ブローティガン『アメリカの鱒釣り』

 春、夏、秋、冬、そしておまけにもう一つ春を巡る話。

 リチャード・ブローティガンみたいに拳銃自殺したくなっても、もちろん日本では拳銃なんてすぐそこにあるというわけにはいかないし、SNSで「死にたい」と書きこむのがたくさんで、でも「死にたい」なんて毎日誰もが言っているから、そんな言葉もインターネットの渦に飲み込まれてすぐ消えていってしまうのだった。

 それでも私は毎日「死にたい」とSNSに投稿し続けた。誰が反応してくれるわけでもなかったけれど、「死にたい」という投稿は私にとってもう毎日の生活の一部になっていた。自分のために「死にたい」と書き続けているような気もした。

 (正直に言って)仕事はきつかったし、毎月の家賃や公共料金も払ったり払わなかったりするようなぎりぎりの生活をしていた。私生活での楽しみと言えば本を読んだり、音楽を聴いたり、映画を観たりすることだったけれど、そのどれについてももう昔ほどの興味や関心を持つことは難しくなっていた。魂が毎日ひたすら渇いていくのを感じた。毎日に潤いがなかった。

 そんなときSNSで「はじめまして」とメッセージをくれたのが――いまになって振り返るとということだけれど――やがて私の恋人になるひとだった。

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thx :)