恋人と同棲を始めました

 恋人と同棲を始めて一週間が経った。

 私は何しろ同棲をするのが初めてだったので、同棲に対しては数々のフィクションを通した何となくのイメージしか持っていなかった。ただ、一人暮らしをした経験だけはあったので、実家を出て生活するということがどういうことなのかはわかっているつもりだったけれど、二人で生活を営むというのがどういうことなのかはほとんど何もわかっていなかった。

 結論から言うと「同棲は最高」です。

 2LDKのアパートで家賃は7万円。キッチンとリビングに寝室と趣味専用の部屋。もちろん風呂とトイレは別で独立洗面台付き。24時間営業のコンビニやスーパーも近くにあっていつでも買い物に行けるし、私の職場にも近いとは言えないまでも決して遠くはない。まずまずの物件と言っていいと思う。正直二人で住むにはかなり広くてもてあましているくらいだ。

 セミダブルのベッド、二人がけのソファ、ローテーブル、ダイニングテーブル、二脚の椅子、冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、電子レンジ、Wi-Fiルーター。現在はとりあえず必要最低限の家具や家電を揃えて何とか生活をしている。ただ、毎日いっしょに生活をしている中で、「あれも欲しいな」「これも欲しいね」というものがどんどん出てくるので、まだしばらくは落ち着きそうにない。

 私はいま非正規のパートタイムで仕事をしていて、恋人は仕事をお休みしている。現在のところ私が仕事に行っている間に、買い物や料理や洗濯や掃除などの家事全般は恋人が全てやってくれていて、本当に(本当に)助かっている(私は口先だけで実際には手も足も動かせていない)。毎月の私の給料と恋人の失業手当を合わせれば、何とか生活をしていけるという計算で、二人での同棲を始めたわけだけれど、とりあえず一ヶ月は様子を見てみないと実際の収入と支出のバランスまではわからない。それでも金銭のことについては何とかなるだろうという予感がある。

 二人とも文学や音楽や映画が趣味なので、そこにかける費用は惜しみたくないということで一致している。それから酒と煙草についても同じく(ここを惜しむとQOLがいちじるしく低下するため)。そうすると必然的に生活のもろもろの費用を削るしかなくなってくるわけだけれど、何しろまだ一週間しか経っていないので、生活と趣味のバランスについてもこれから調整していくことになると思う。

 と、以上のように問題が山積みの中で生活をしているわけだけれど、そういった現実的な話はさておき、恋人と暮らすのはやはり夢のように楽しい。もしかしたらこれまでの人生でもっとも幸せな時期と言ってもいいかもしれない。

 恋人と毎晩いっしょに眠って、恋人と毎朝いっしょに起きる。毎朝いっしょに朝食を食べ、毎晩いっしょに夕食を食べる。キスをする。ハグをする。セックスをする。「好き」と言い合う。「愛してる」と言い合う。他愛もない会話をする。文化芸術について意見を交換する。歯を磨く。顔を洗う。風呂に浸かる。頭を洗う。体を洗う。二人で本を読む。二人で音楽を聴く。二人で映画を観る。ささやかな生活の営みの一つ一つが二人のお揃いの記憶になっていく。これからも死ぬまでこういう生活が続いていけばいいと思う。

thx :)