「僕らが毎日やっている最強の読み方」を読んでみた。

画像1

【著者紹介】
池上彰 ジャーナリスト 1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。NHKで記者やキャスターを歴任。2005年よりフリージャーナリストとして多方面で活躍中。現在、東京工業大学特命教授、名城大学教授。

佐藤優 作家 1960年東京生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。元外務省主任分析官。2005年第59回毎日出版文化省特別賞受賞。2006年、第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。著書多数。

2016年12月29日第1刷発行、2017年1月10日第2刷発行。この本は、ビジネスパーソン向けに池上・佐藤両氏が対談形式で進んでいく内容となっています。
主に①新聞の読み方②雑誌の読み方③ネットの使い方④書籍の読み方⑤教科書・学習参考書の使い方の5部構成となっています。

まず私が驚いたのは、こんなに学識豊かなお2人が教科書や学習参考書を利用されている点でした。
読み進めていくと至極当然なのですが、全ては基礎がわかっていないとどんなに知識の上乗せをしても本当の理解につながらない。
とは言え、学生時代のおぼろげな知識を頼りに新たな知識を詰め込み、にわか詰め込みの知識と経験で点と点を線に繋げていく。そんな行動を取っている方が多数なのではないかと思います。
しかし、両著は小学各中学年の内容から、高校の教科書まで具体的にどう使えるのか。どの点を理解したら、ニュースの理解が深められるのか。その効率的な方法としてスタディサプリは費用対効果がいいなど。
プロとは言え、知を得るための貪欲さに脱帽しました。
そして、知識は増えても教養にならないのはそういううことかとしみじみ納得できたのでした。

前置きが長くなりましたが、序章では、お2人がそれぞれの媒体をどのように利用されているのかがさらりと書かれています。お2人共通しているのは、まず新聞で日々のニュース全体を捉え、書籍で深堀をしていくそうです。
ただ両著とも初めからニュースを深く読み解けたわけでもなく、大量の本が読めたわけでもないそうなのです。
やはり、基礎知識。

遠回りのようでも、基礎知識がしっかりあることで膨大な量の本でも早く読めるようになります。その効率的な基礎強化法として、教科書や参考書を利用してほしい。とおっしゃっています。
そして、知は武器であり、楽しみでもあるとも。確かに仕事上は、知は武器ですが、知る喜びが、もっと知りたいという原動力でしょう。

読者への注意点として、意欲のある人ほど挫折してしまう傾向があります。ぜひ、全体に目を通してから、自分に必要なところを強化してほしいと、初めに助言されています。

では、いよいよ新聞の読み方から。
まず、新聞は一面から順に政治、経済、国際情勢、文化、スポーツを含めた世の中の動きを短時間でざっと知ることができるという点で、新聞に勝るものはないと仰っています。
佐藤氏は、現役外交官時代には、必要な情報を新聞で6割。雑誌、テレビ、書籍、ネットを合わせて2割。公電が1割で、人からが1割の比重で得ていたそうです。人からの情報は機密性が高く非常に重要なもの。

その重要な情報を得るためにも、新聞は欠かせないツールということがわかります。
今でもニュースの第一次情報は新聞というケースは多い。しかし、ここ最近新聞は大きく変化している。昔はどの新聞を読んでも似たような内容だったが、最近はニュースの取り上げ方そのものが、新聞各社で違いを出しているので、バイアスにかからないためにも、保守系とリベラル系の新聞を2紙以上読むのが望ましいー。
ここで、両氏とも8紙、11紙など、電子版を入れるとどんだけ読んでるんだという程、とんでもない数を読まれていますが、ビジネスパーソンは1紙を定期購読して、後は駅売りを利用する。溜まった新聞は、とりあえず見出しだけ読むだけでも大丈夫。まずは続けことが大切です。と優しいアドバイスで締められています。

さすがに新聞を重要視するお2人だけに、1章の配分は多いです。それだけに、新聞が情報収集のために重要な位置付けであることがわかります。

共通しているのは、朝、見出しを中心的として全体に目を通す。個品的な想像ですが、ここでその日のキーワードをインプットしているのだと思います。各紙で取り上げられる内容が重なるということは、どこも重要視しているということですから。また、繰り返し見かける見出しについては、頭にも残りやすくなります。それらを頭の片隅に置くことで、隙間時間に見聞きする情報で興味関心が広がり、次に読む書籍などへの選択肢が絞られていくのでは、と考えました。

雑誌につきましても、編集・校閲という2つの機能が付いていますが、週刊誌のようにインパクト重視の場合もありますし、学術誌や経済誌のように勉強のために読む雑誌も、広義でとらえるならば娯楽の一つ。一般のビジネスパーソンは、気になる特集が組まれていれば買う程度で良いのではないか。と提案されています。

現在一番見られているニュースと言えば、ネットなのではないかと思われますが、「読む」よりも「見る」と言われるネットは上級者向けのツールだと仰っています。①先に述べた編集・校閲の機能がないことで、信ぴょう性が薄いこと。②特定の者が大きく見えたり、ほかの者が見えなくなったりするプリズム効果が働きやすいこと。③過去の閲覧履歴や検索結果によって表示される内容が変わることで、情報が偏りやすいこと。

それに加えて、ネットだとついネットサーフィンに陥ってしまい、時間の浪費になってしまうこと。そして、そこで見た情報が意外に記憶に残っていないことがよくない点として挙げられています。

結局は、先に述べられている通り「急がば回れで」教科書で全体を理解する。参考書を利用して理解を深めていく。そんな基礎固めができた上で日々のニュースを見ると、流れていく日々のニュースから歴史の1ページとして捉えることができるのかもしれません。

これまで、「世の中を知る」ための新聞・ネット・雑誌の読み方が記されていましたが、そこで知った内容を深く知るには、書籍でのインプットが欠かせません。お2人は、本を読む量が膨大であることでも有名ですが、すべてを通読しているわけではなく、超速読本・速読本・熟読本と購入した本の中で振り分けをしているそうです。

池上氏は気になった本は片っ端から読んでいく。入門書は読みやすくざっと読めるし、たくさん読んでいるうちに基本書の種本がわかってくる。その大事なものだけを熟読していく方法。

佐藤氏は、超速読本・速読本・熟読本全ての本のすべてのページをめくってみるそうです。そして、真ん中あたりの中だるみしやすい部分に誤植が多かったり文章が乱れている本は読まないそうです。

お互いそれぞれの方法で熟読する本を選び出し、効率よくインプットしているそうです。そして、やはり本を沢山読むには時間が必要。ということで、酒立ち、ネット立ちも時には必要とのこと。

読んでも読み進められないものは、自分の基礎知識が足りないためで、度々出てきている学習参考書などで基礎固めをしてから読み直すと、理解も読むスピードも上がるそうです。日々入ってくるニュースのでよくわからないことが出てきたら、その関連の古典に触れることが大事だそうです。なかなか古典までは手が出ないものですが、そこがスゴイ人とフツーの人との差なのかもしれません・・・。

〇全体を捉えた上で、深堀していく。〇急がば回れで基礎固めを怠らない。〇メディアも情報もバランスよく。                  何事もメリハリ、バランスが大事!本当に、これって、全てにおいて共通ですね。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?