見出し画像

【番外編】 黄金の満月の夜、銀色の半月の麓で

さて、7月の湘南を最後に異例のホーム4連戦となった札幌。2ヶ月間遠征に出ぬ故、この記録も半ば放置され気味だったのだが、言わずもがなアウェイとアウェイの間にもホームはあったわけで。そこで唐突な思いつき。たまにはホームの事もと執筆してみる。

札幌には2つのホームスタジアムがある。言わずと知れた札幌ドーム、そして聖地と呼ばれた厚別公園陸上競技場だ。

どちらも一長一短。良いところもあるし悪いところもある。どちらか選べと言われたら、それは私にとっていかんせん難しい選択となる。


今回は2022晩夏の4連戦の舞台となった札幌ドームについて、例によって個人的所感を記していく。

ドームの最寄駅は地下鉄東豊線の終着福住駅。札駅から福住までは日ハムの選手にラッピングされた車輌に乗りおよそ10分。
駅に着いたのならば地上に上がり、北東方面に聳える巨大な銀色の造形物を目指しひたすら国道36号線沿いの歩道を進めば良い。駅構内からドーム内に進入できるまで徒歩20分かからない程度だろう。

また、もしもあなたが新千歳空港からドームまで直に来ようとしているのならば空港発の高速バスを使うと良いだろう。『札幌都心行き』に乗れば1,100円でドームの目の前まで連れてってくれる。非常に都合の良い交通手段だ。

アウェイ側から写真を撮ってみた。コロナ禍以降やはり客入りが寂しい。

ドームには屋根がついている。ドームなのだから当たり前だ。こんな事は「ウンコはクサイ」と言っているのとほぼ変わらない。ただそれが他のスタジアム、また厚別と差別化される最大の要素である。

天候に左右されない。主に雨風の影響を受けないというのは朽ち切ったアラサーのオッサンの身体には非常にありがたい設備だ。また余談だが、私は実はアレルギー持ちだったらしく、雨にズブ濡れになると(雨粒が空気中のホコリと共に身体に付着すると)体中に蕁麻疹が出る体質であると最近の検診で明らかになった。

生まれてこの方、謎の蕁麻疹に悩まされ続けてきたのだがまさかそれが雨天観戦やゲリラ豪雨に撃たれたバイク運転等によるものだったとは思いもよらなかった。大雨の試合にはしゃいでた若かりし頃の自分。哀れだ。

そんなわけで屋根がある、これは軟弱な身体を有する私にとって大いにありがたい恩賜なのである。
ただ一方でそのありがたき屋根に対して辟易することも多々あるのも事実。
早朝から幕搬を始め、光の届かぬグレーの世界の中で半日を過ごし、試合後の片付けを終えドームを抜ける頃にはもう、空にあるはずの太陽はいつも、沈みかけているのだから。

1日が終わってしまったと。夕赤に染まったアート引越センター、北風に靡くベンツの幟、そして寒空に湯気を醸す山岡家。それらを望む陸橋の帰り路はいつも、物憂げなのだ。




さて、ドームと他球技場の相違点として屋根と同程度に頻出なのがゴール裏に聳え立つ「壁」だろう。

その高さは5mから6m。飛び降りればタダじゃ済まない。
壁面を有するスタジアムといえば他にも豊田等が有名だが、ドームの壁はその豊田に比べ2mも高い。

その高さ由縁の横断幕掲載可能面積の広さは、年に一度のビジターファンの創意工夫欲を強く刺激しているはずだ。

チーム毎に個性の光る幕搬。
BE STRONG ANTI ZICO



来年には日ハムも北広に移転し、スポーツに興味のない市民にとって札幌ドームはいよいよ街のお荷物という様相を呈している。

二週に一度のJリーグ開催では勿論あのデカブツを維持できるわけもなく、市民のヘイトを今後は少なからずクラブが被っていくことになると予想する。

すなわちクラブはこれまで以上に市民に認められなければならない。特に若い世代にだ。
ゴール裏の高齢化は顕著であり、持続可能とは決して言えない。
職業柄若い世代の子らと触れ合う機会が多いが、「コンサドーレ好きな人ー!」と聞いて手を挙げる子など本当に稀だ。
ファンも勿論だが、クラブもそろそろカッコいい存在であろうとすることに必死になってほしい。若い世代に対してだ。ばばあしか来ないガールズデーや客席をピカピカ光らせてる場合じゃねえんだ。ホタルイカでも漁んのか。あとチームD、お前らももういいよ。
私が今の若い子らの世代だったなら、間違いなくこのクラブに興味を持つことにはなっていないだろう。

皆の理想が全て実現するわけではない。ただ譲れないところもあるし、自己表現の為、譲ってはならない事がある。

このクラブに生涯を捧げる価値があるか?
次の世代が熱くなれるクラブになってくれ。頼むから。


黄金の満月の夜、白銀の巨大な半月がまた、熱い民衆で満たされることを夢見て。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?