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パトゥム川崎 エイジアンスネークフットの巻


ここまでのあらすじ

何でもないただの平日!親善試合を見るためだけにタイまでやってきた男の遠征は遂に終わり迎える…。

ここまでのお話はこちらから↓


2022年11月15日、タイ王国、バンコク。
パタヤから戻ってきた私の身体は子鹿のように震えていた。というのもタイの交通機関はとにかく寒過ぎるのだ。きっと終わることのない熱帯に蒸し殺された親の仇と言わんばかりに皆冷房をキメているのだろう。悪い事は言わない。タイに行く際は羽織り物を一枚持って行くべきだ。

ホテルで一息つき、適当にメシを済ませ仲間の待つホテルへ向かう。
今回は乗合タクシーにて謎の街パトゥムへと向かう。



何故か頑なに高速を使わない運転手の揺籠のようなドライビングに一同は暫くして眠りに落ちた。私は静かな車内で1人、そろそろ飽きてきたタイの街並みをぼんやりと眺めていた。

明後日の今頃は札幌に戻りいつも通り仕事をしているだろう。いつもなら、海外からの帰国が迫ると「日本に帰りたくない」「ずっとここにいたい」と現実を受け入れられない駄々っ子のように気が暗鬱と下がっていくのだが、今回はまるでその逆だ。

「早く日本に帰りたい」心からそう思っていた。虚無で満ちた2日間が、あるいは全く気が湧かない“川崎との”試合がそうさせたのか。私なりに出した答えはそのどちらでもなく、良い意味でも悪い意味でも今の私には日本に帰る理由がある。これが幸せな事なのかどうなのか。今までみたく自由気ままには生きてはゆけないという解釈もし得る。それでも今は兎に角早く帰って私のラブリーで子生意気なクソガキ達に会いたいのだ。 

傾き出した太陽に染められた朱色の瞳の奥で顔に似合わずそんなセンチな事を考えていると、まもなくでかい幹線道路の脇にスタジアムが見えてきた。


夕刻にも関わらず容赦のない日差し。ブリーラムの数倍の湿気と体感気温。
面倒くさいタイの運営。そして聞こえてくるのは川崎の応援。テンションは下がる一方だ。

タイまで来て川崎の幕を見なければいけないという完全無欠の罰ゲーム

試合が始まり、試合が終わった。同時に喉も終わった。いくらチャナとスパチョ(唐突に略してみる)がいるとは言っても所詮どちらも極東のアウェイチーム。来場者数は5,000人くらいだったか。結論スタジアムは終始全く盛り上がらず、とにかくヤマなし、オチなし、イミなし。全くもって蛇足としか言えない90分間、そして72時間であった。

それにしても堀詩音はガチンコだ。こんなことは普段から現場に来ている皆には周知の事ではあるのだが改めて。単身で乗り込み、ブリーラムからこのクソ試合までのタイ遠征を何のプロモでもなく全くの自腹(当たり前なのだが)で見事完結させた。彼女は、Jリーグ界隈の試合に行く系の著名人の中では頭一つ、いや東シナ海一つ分抜け出した存在と言っていいだろう。

一方で札幌のファンと謳いながらこのタイ遠征には見向きもせず尻尾を振ってカタールに行く様なやつは心底軽蔑している。青いユニフォームに嬉ションしてるようなキモいヤツらには、カタールに見向きもせず、タイまできてボコボコにされながらも最後まで声を枯らし続けた彼女の爪の垢をトムヤムクンにでも混ぜて飲ませてやらねばならない。





このように廃れたハートを持つ(そもそもハートが無いという話もありますが)私のような人間もいれば、その逆もいるわけで。
この日の夜便で帰国するリーダーらと別れ、一向に捕まらないタクシーに右往左往していた私に近づいて来たのはスタジアムで出会った僧侶のChunpetさん。何と彼は私を無償でバンコクまで乗せていってくれるというのだ。

…怪しい。申し訳ないがボディチェックとグローブボックスを確認させてもらう。相手は1人、いざとなったら後ろから首を絞めて殺そう、運転席の後ろで気を張る私を嘲笑うかのように、我々を乗せた車はあまりにも呆気なくバンコクへと辿り着いた。Chunpetさん、最後の1秒まで疑っててごめんなさい。地球上にこんな善人がいるとは思ってませんでした。コップンカ。


ホテルに戻り、お忍び中のツーテーさんと合流。メチャクチャ楽しかった事だけは覚えてるが、翌朝起きるとホテルに大量の謎の大仏、実に7,200円分が鎮座してた事だけはどうにも不可解だった。どうやら昨日の帰りにお土産屋さんで買ったらしい。わけわからん。

これは氷山の一角。持って帰ってくるのも一苦労だった。


さてついに帰国日、とは言っても飛行機まではまだまだ時間がある。という事でバンコクアディショナルタイム。ローカル線で古代遺跡アユタヤに行ってみる。

バンコク駅
汽車
アユタヤ駅
遺跡
遺跡
遺跡
遺跡
遺跡
やめましょう


という事で深夜、というより早朝、空港へ向かう。
ワクチン3回接種できていなかったので空港で帰国に必要な陰性証明を課金。2,900バーツ、約11,300円


そして約5時間!ついに日本に大帰国!

さらにこの時、ブリーラムに行く際に使ったレンタカーの中に唯一の長パンを忘れていったことに気づく!霜月の東京に半ズボンは私だけ!寒いよりも恥ずかしい!ユニクロに向かう暇もなく!千歳行きの飛行機に乗り継ぐ!勿論半パンは私だけ!

1時間半!大帰札!寒い!死ぬ!めでたしめでたし!死ぬ!
これから仕事!死ぬ!


今回の遠征費

100baht=390円計算

おい!めっちゃ使ってるじゃねーか!全然安くねーぞ!聞いてた話と違う!!何が微笑みの国だ!バーカ!


さてこのノートも無事最終回を迎えた。一年ちゃんと続けた自分エライ。
じゃまたね。


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