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0318「NY非常事態日報・2」

子供の学校がない。すなわち送迎がないので、多少だけれど寝坊できる。昨日、この非常事態日報を始めたが、実は芋焼酎をお湯で割ってすすりながら書いて、そこそこ酩酊して公開したので、朝起きたらちょこちょこ通知が来ていて、「あ、どうしようか迷ってたけど結局書いて公開しちゃったのか・・・」と思った。したがって今日も書かなくてはいけない。

起きる前に、妻が長女を連れて2ブロック離れたスーパーに買い物に行くという。普段はこのスーパーは使わずにWhole Foods MarketとかTrader Joes(トレジョ)に行くのだが、それは学校の近くにあるからついでに寄っていたところもあるし、このご時世でどの棚も空っぽで、かつめっちゃ混んでいるらしいので、不人気な近所のスーパーで済ますことにしている。

もちろんこのスーパーも普段より全然混んでいるのだが、私も一昨日行った感じ、そんなにいろいろ欠品している感じではなくって、卵も買えるし冷凍食品も、アーモンドミルクなんかもまだまだ買える。肉類はもはやどこのスーパーにもないように見える。

で、妻は今朝、トイレットペーパーをゲットして帰ってきた。今や全世界人類の垂涎の的である、あのトイレットペーパーだ。入荷したてだったのか結構あったらしいが、妻は節度をもって1パックだけ買ってきた。トイレットペーパーに困っている友達には「あそこのスーパーにあるよ!」というのを伝えたらしい。

ニューヨーク州のクオモ知事が、「ニューヨークこのまま行くと医療崩壊になっちゃうよ」みたいな声明を出している。私も知り合いの医師が「病院はえらいことになっている」ということをメールグループ的なもので言っているのを見た。

ただ、ニューヨークというかアメリカで医療崩壊が起こる、なんていうことは私からすれば「そりゃ起こるだろう」という話で、それはなぜかと言うと、アメリカという国はもともと医療崩壊を起こしているようなところがあるからだ。

数週間前まで、アメリカではコロナウィルスの検査を受けたら3,500ドル(約35万円くらい)取られていた。検査した人が、取られるのだ。それは別に驚くべきことでもなんでもなくて、去年うちの妻が病院でちょっとした検査を受けたときも、保険に入っていたのに3,000ドル(約30万円くらい)取られた。歯医者で神経抜いたら2,500ドル(約25万円くらい)。毎月日本のそれとは比ではないくらいの多額の保険料を支払っているにも関わらず、この状態だ。

アメリカには国民皆保険がない。オバマ時代にはオバマケアという取り組みもあった。トランプはそういうものを全てつぶした。

極端な話、「貧乏人は死んでオッケー」。それがアメリカの医療制度であり、アメリカの病院は、大量の患者を収容できるようになっていない。日本からアメリカに移住してくると、実は一番驚くのは医療制度のグダグダっぷりで、先述の通り、「これから医療崩壊が来るぞー」じゃなくって、「もともと医療崩壊してたぞー」なのだ。アメリカの医療制度が、この手のパンデミック的な事象にまともに対処できないことは、わかりきっていた。

なので、私自身はいよいよやってきたこの非常事態モードは、予測していた。日本の報道もずっと見ていたし、2月19日まで2週間ほど、ずっとワイドショーでクルーズ船についていじっている頃の日本に出張していたので、「こんなんアメリカ来たら絶対もっとえらいことになるよね」というのは、自分にとっては明らかだった。

そんなスーパー医療崩壊が起きつつある厳戒下のニューヨークでいま言えることは、コロナウィルスに感染することよりも「絶対に他の病気になったり怪我をしてはいけない」ということだ。いま、ウィルス以外の何かあっても恐らくケアしてもらうことはできない。もはや、怖いのはウィルスよりもいろんなシステムの破綻なのは明らかで、それが極まった先にはかなりシャレにならない状況は見えてきている。

そんな中、私個人にとってもシャレにならない困ったことがあって、それは、「Apple Storeに預けているMacが全然戻ってこない」ということだ。3週間くらい前、オフィスで機嫌よくプログラムを書いていたら、いきなり画面がフリーズして立ち上がらなくなった。夜までやっている5thアベニューのApple Storeに持っていったら即入院。幸い、以前使っていた古いマシンがあったし、最近はだいたいクラウドに同期しているのでどうにか仕事はできているが、古いマシンは、矢印の↓キーが割れているし、遅いしすごい不便だ。

で、1週間くらいで修理できると言っていたのだが「中国から部品が来ない」とか言って全然戻ってこない。で、先週「ごめん。部品こないから新品用意するので1週間後にApple Storeに取りに来て」という連絡が1週間前に来たが、そしたらこの週末からApple Storeが閉鎖されてしまった。去年新しいのを入手して、やっと↓キーがない生活から開放されたと思ったのに、これは長丁場になりそうだ。

昨日書いたように、建物のジムも閉鎖されてしまった。運動不足になるので、お昼、仕事の合間にミッドタウンの日本食材スーパーに自転車で行くことにした。ニューヨークの公共自転車であるcitibikeは街中どこにでも駐輪場があるので、年契約しておけばICチップが入ったカギが送られてきて使い放題だ。

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ニューヨークという街は、観光客や一見さんには料金をふっかけて、住民に対するサービスは安めにする街で、動物園とか美術館も、1回毎の入場料はかなり高いが、年パスを買うと、家族も含めて入り放題になって、2回くらい行けば完全に元をとれるくらいの値段設定になっている。「年パスが安い街」なのだ。で、citibikeも年間$169とかで1年中乗り放題だ。1日乗り放題が$12なので、それで言ったらすごくコストパフォーマンスが良い。

というわけでcitibikeにまたがって家のあるアッパー・ウエスト・サイド(マンハッタンの北西らへん)からハドソン川沿いを南下してミッドタウンに向かう。やはり通る人は少ない。

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20分くらいで日本食材スーパーに着いて、米を10kg買う。何度も来るのは面倒なので、ここは買い込んでおく。少なくなっていた納豆も買った。そして、冷凍庫の前で、目が合ってしまった。辛子明太子と目が合ってしまった。5ドルちょい。まあ、ここのところなかなかおいしいものを食べよう、という感じでもなかったわけで、私は明太子の前から動けなくなってしまった。妻にLINEで「明太子買っていい?」と聞いた。「こんなときだから、たまには好きなもの食いなよ」というニュアンスの返答をもらったので、喜んで購入する。

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帰りは、10kgの米を抱えているので正直拷問状態だ。重すぎる。しかし、自転車で帰らないと運動したことにならない。そこで近所のcitibike駐輪場を探したら、そこに雷型の電気マークが表示されていた。それはつまりどういうことかというと「ここには電動アシストのcitibikeがあるよ!」ということだ。最近citibikeには電動アシストがついているやつが登場していて、これはやや、日本の電動アシスト自転車よりアグレッシブというか、馬力がある。一漕ぎすると、ちょっと引く程度に進む。

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これなら10kg背負っていても楽だ、ということで、調子に乗ってセントラルパークのサイクリングコースを通ってちょっと遠回りして帰ってくることにした。セントラルパークは結構人がいた。

家に帰って仕事をしてから、長男の学校の先生とやり取りをして、徐々にリモート教育の全容が見えてきた。

普段、長男の学校ではGoogle ClassroomというGoogleが提供する教育プラットフォームを宿題の管理に利用している。オンラインで宿題を提出して、先生がコメントして、みたいなことをでき、評価システムなんかも統合されている。

で、学校からの連絡によると「オンライン授業みたいのはとりあえずやらない。その代わりGoogle Classroomをフル活用してガンガン課題を出すので毎日やって!」ということらしい。

普段は長男の宿題を細かく見たりはしていないが、今回はいろいろ生活にも関わってくるので、一緒にGoogle Classroomを触って、どういうシステムでどういう課題が出されているのか、理解していく。実はあまりGoogle Classroomの仕様を理解していなかった。

これは結構すごいな、と思ったのは、Google DocsやGoogle DriveなんかのGoogle系プラットフォームだけではなく、「Commonlit」という国語系の外部プラットフォームや、第2外国語向け(スペイン語の授業がある)には、結構普通に学生じゃなくても語学用に使っているDuolingoとAPIで連動していて、数学用の外部プラットフォームも連動しているらしい。それらの各サービスでの学習実績がGoogle Classroomに統合されていく。超よくできている。

つまり、教師や学校の方で、連動するサービスを選択して課題を出すことができるようになっている。他の学校の事情はわからないが、実はGoogleはこの教育プラットフォームの領域で、完全に「一人勝ち」しているように見える。このへんは、日本にいるとあまりわからないかもと思う。

そして夕方、プッシュ通知で、「48時間以内に外出禁止令が出るかもなので、準備をしましょう」的なことを知事が言っている、というニュースが来た。やっぱり出ちゃうのか。

そしてさらに、日本だと、緊急地震速報とか台風でやばいときとかに鳴る電話の警報(ギューンギューンみたいなやつ)がついに鳴り響いた。「COVID-19の最新情報はこちらで」みたいな内容だったが、いよいよ鳴っちゃったぞ、という感じだった。やばいぞニューヨーク。どうするんだ私たち。

東京との会議をこなしつつ、妻と、今後どうしていくのかを議論した。当たり前だが、妻も私も経験したことがない状況だ。答えが出ない。出しようがない。明太子おいしかった。

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