0210「失われた８年間」
例の、「１日20分、勉強したいことを勉強する」という習慣はなんだかんだずっと続いていて、そろそろだいたい１ヶ月になる。30日続けると、10時間勉強することになる。何らかの技術は、小分けにするよりかそれこそ10時間くらいガッと集中して学習したほうが身につく、という説があるが、私の場合、立場／職能上、１つのプロジェクトにガーッと集中して特定の要素技術を掘るということがあんまりないので、結構このやり方が合っている（と思うことにしている）。要は、興味に任せていろいろつまみ食いして学ぶスタイルになる。
今も日替わりで、節操なく下記の勉強を行ったり来たりしながらやっている。
・WatchKitの加速度関係（ちょっと試したい実装がある）
・TouchDesigner（チャラいPythonを書きたい。ニューヨークでVJデビューしたい）
・UnrealEngine（ディレクション仕事で使っているので、基本的な習熟が必要）
・Go（かっこ良さ）
この中では、UnrealEngineの学習が特に嫌いなのだが、なんで嫌いなのかというと、Viewportの操作が全然うまくならないからだ。拡大したいのに思うように欲しいアングルで拡大できないし、なんかすぐに視点が変なところに行く。なんかUnityとかよりつらい。
しかし、いろんなチュートリアルを見ていても、皆さん、そこでそんな苦労はしていない感じがする。
まさかと思って金曜日に、そこそこ立派なマウスを会社の近くのStaplesで購入してつないでみたら、もう完全に世界が変わった。スムーズすぎる。今までのが何だったのかというくらい、楽に視点を移動できる。
というか、Unrealうんぬんではなくって、マウスがいい。思えば、ここ８年くらい、設営とかで必要なタイミング以外わりとタッチパッドで仕事をしていた気がする。真面目に自分のPCにマウスを接続して作業してみたのがすごく久しぶりなのだが、Unrealうんぬんではなくって、生産効率が全然違う。
マウスってこんなに良いものだったのか。なんか、単純にエディタで文字を選択するにしても、マウスの方が全然スムーズだし、生産効率が違う感じがする。
もはや記憶の奥底に封じ込められているが、なんでマウスを使わなくなったのかというと、確か、イメージソースで仕事をしていた頃にデスクにジュースか何かの甘いものをこぼしてしまって、マウスがベタベタして引っかかりまくって腹が立って、すごく忙しかったし「もう金輪際マウスなど使わん！」と言ってタッチパッドの人になったんだったような気がする。
つまり私はそんなつまらない一時の感情でマウスと別れを告げてしまったばかりに、この８年間くらい、ずっと生産効率が低い状態、つまり「本気を出していない状態」で仕事をしていたことになる。貴重な30代の後半を丸々無駄にした。ニューヨークに移住して５年だが、マウスを使っていたら、なんかすごいアメリカンドリームを実現していたかも知れない。一緒に会社をやってきた川村さんとの仕事では、一度も本気を出していないことになる。申し訳ないことをした。
なんか、タッチパッドでしこしこ何かやっているよりも、マウスのほうが脳が活性化されるような気がするし、筋肉を使う分ダイエットにも良さそうな気がする。
完全にもったいないことをした。私はいつもこうやって遠回りをしてしまう。いや、今までの遠回りは良かった。スティーブ・ジョブズの「Connecting The Dots」さながら、いろんな回り道をしたが結局いろいろ役立っている。デザイナーとしてうだつが上がらなかった時期の経験は何物にも代えがたい財産だし、ずっと引きこもってオンラインゲームの中でパーティーのリーダーをやっていた時代があったからこそ、曲がりなりにも会社を運営したりすることができる。
しかし、今回の遠回りはどうなのか。「８年間マウスを使わずにタッチパッド使ってました」という遠回りが、最終的に何か人生の役に立つとは全く思わないし、これはただの純損なのではないか。
後厄が終わって、40代も本番というタイミング。30代という脂の乗り切った時期を、「机がベタベタしてむかつく」という理由でフイにしてしまった。その後に突きつけられたこれからの40代だ。しかも、タッチパッドを使っていたからといって何を温存したわけでもなく、恐らくマウスを使っていた８年間よりもストレスが多く、消耗する８年間を送ったような気がするので、そう簡単に「マウス使うことにしたからこれから本気だすぞ！ ネクストレベルだぞ！」みたいなやる気のあることは言えない。
というわけで、まだタッチパッドで作業をしている人は、騙されたと思ってマウスに切り替えると良いと思うが、悔しいのでせめて、私が買ったやつと同じのを下記のアフィリエイトから買って頂けると、私の失われた８年間の供養になるのではないかと思うので、何卒よろしくお願い致します。