見出し画像

0711「投票率とデザイン」

やっと体調がどうにかなってきた。ここまでくれば治るだろう。まだ咳が出る。

日本にいるのでちょっと見回すと選挙選挙だ。実は、日本にいる間に選挙に遭遇するというのはアメリカ移住以来はじめてのことだ。あんまり気にしていないからかもしれないが、昔はあんなに迷惑だった街頭演説みたいのがちょっと減っているのかなあ、という気もする。気のせいかもしれない。

街頭演説は構わないのだが、昔はもっとどこにもかしこにも奴らがいたような気がする。家の近所の広場は、子供から大人まで遊んだり本を読んだりという、いわゆる休日の良い時間を過ごすようなスペースだが、選挙が近づくと、決まって民主党の空気を読まない候補者が現れてそこででかい声でしゃべり始める。子供もうるさそうだし、本も読めないので、何度か、「うるさいので他でやってくれませんか?」と言ったことがある。この人がやっていることは、駅前で何かを主張するのとは全く違う。駅前というのは、人が何かをやっているところというよりは、通過する場所だ。つまり、行動と行動の間にある場所だから、そこで何か言いたければ言えばいいし、気になる意見なら聞く人もいるのかもしれない。

しかし、人が遊んだり本を読んだりしている場所に何かを叫びに来るというのはこれはもう全然違う。人が何か行動をしている時間と空間に土足で入り込んでくることになる。仕事中にかかってくる営業電話と同じだ。Kindleで読書している間に突然入ってくる「メルカリポイント期限切れです」みたいなプッシュ通知と同じだ。リアルスパムだ。言っていることが正しかろうが間違っていようが、とりあえずそれ以前にその候補者や政党のセンスの無さを肯定することはできないし、

一方で、前もどこかに書いたが、選挙中の多くの候補者のソーシャルメディアってものすごくて、一部を除いて、ほとんど、「今日はどこそこでしゃべって、誰それが応援に来てくれました!」みたいのしか書いていない。本当にそれ以外書いていない。こういうところでこそ、政策なのか意見なのか、何か伝えたいことを書けば良いのに、なんか決まりでもあるのか知らないが、そういうところではあの人たちは何も主張しない。ただひたすら、自分の努力しているさまだけを記録しようとする。そこで何も言わないくせに、人が本を読んでいる場所に来て何か叫んだりしている。どうしたってTPOがおかしい。コミュニケーションデザインというやつができていないだろう。

このひどいズレは日本独特のものだと思う。出羽守をやりたいわけではないが、アメリカではさすがにこんな馬鹿なことはしない。アメリカの選挙はアメリカの選挙でいろんな問題があるが、こういうレベルでわざわざ選挙民に嫌われに行くようなことはしない。選挙カーは禁止されている。

ていうかこのへんのズレというか、わかってもらえない感じが、若者というか、忙しい人の政治離れを招いて、投票に行くのは暇な人たちだけになってしまう。全体的にバカバカしくて行く気にならないのはわからないでもない。選挙中の候補者たちのコミュニケーションのやり方がアホすぎて、バカバカしくなってしまうというのはかなりあるのではないか。

投票率を上げたいならいったん選挙カーとか街頭演説を禁止すると良い気がする。これはデザインの話だ。

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!