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0508「まあ、大丈夫ならいいか」

今日から急遽出張で、行き先はどこかというと日本だ。約36時間くらい日本にいることになる。そういうのは別に自慢にならないが、もう面倒くさいので手提げバック一発で行くことにした。朝から会社の質問箱ライブがあったし、全然仕事が終わってなかったので、徹夜で放送まで起きて、そのまま子供を学校に送って、日本に向かうことにした。

一日集中してやることをやってすぐに帰る、ということになり、さすがに体力的にまずいので、虎の子のアップグレードポイントを行使して行きだけビジネスクラスに上げた。一年以上ぶりか。もうこれで大丈夫だ。全能感に満ちている。

しかしここで何が問題になるかというと、まあ、例のパスポートだ。また明日にでも書くが、突貫で日本に行かなくてはいけなくなったので、結局パスポートを使う必要がある。例のパスポートが何のことかわからない方は、下記を参照して頂ければと思うが、要するにパスポートがボロボロで崩壊寸前で、ちゃんと利用できるかどうかが怪しいのだ。


で、これほど前の渡航時に悩んでいたパスポートなのに、お休みでカナダ行ったりとかしているうちに、時が流れてしまった。

どうも私という人間は何かを成し遂げるために2段階のプロセスが入ると、ものすごく動きが遅くなる。逆に、1段階で済むものはわりと早めに対応できる。
このパスポートの場合、現在プロセスが3段階になっている。まず、パスポートの更新のためには戸籍謄本が必要だということだ。私の本籍は東京都渋谷区にあるので、渋谷区役所に行って戸籍謄本をゲットしなければいけない。誰かにお願いするということも可能ではあるが、どうにもこの戸籍謄本を入手する、というところでどうしても手が動かなくなってしまい、思考停止する。これが1段階。

それでもちょっと前までは、渋谷区役所の仮庁舎が東京のオフィスの真ん前にあったので、まだ良かった。あれは、会社を設立するときなどとても便利だった。ちょっと頑張れば戸籍謄本までは手が届いたような気がする。

ところが、そこは仮庁舎だったので、「仮」の状態が終わってしまった。じゃあ本庁舎はどこなのかというのを調べなくてはいけない。たぶん昔通り渋谷公会堂の隣とかなんだろうが、無能なのでどうしてもそれを調べる気力が出てこない。渋谷区役所の本庁舎とか全然行きたくない。これが2段階だ。

若者だった頃、北海道に憧れて択捉島に本籍を移そうと思ったときがあったのだが(根室行けば可能らしい)、本当にやらなくってよかった。

この2つの段階を超えて、やっと最終段階であるパスポートの申請まで行ける。自分にとっては正直なところこれが巨大な壁で、今まで何度もパスポートをリニューアルしようと思ったのだが、「あ、戸籍謄本か・・・」というところで萎える。「戸籍謄本が必要だっていうのならしょうがないですね。あなたたちには負けましたよ。」とか思ってしまう。そして、今や「本庁舎か・・・」でさらに萎える。

なので、人にお願いすればよいのだが、たとえばうちの父母はもう年であるし、上記のような腐った人間がたまたま運良くちょうど良い仕事を見つけてどうにか食っているような息子のために渋谷区役所まで歩いてもらうのとかはやってはいけないことであるし、じゃあ他に誰かいるのかというと、そもそもこんなグダグダな人の都合で誰かに渋谷区役所に行ってもらうのは罪だろう。ので、結局チャンスを見つけて渋谷区役所の本庁舎に行かなくてはいけない。しかし、本庁舎には行きたくない。

私は日本の運転免許を失効していて、日本では車の運転ができない。免許の更新が本当に嫌だったからだ。なんで免許の更新ができなかったのかというと、まず、免許更新のハガキがどっかに行ってしまう。なんなら住所を変更していなくて届かない。実はそれでも良いらしいのだが、その上で住民票とか、なんかいろいろ必要になったところで「いーーーっ」となって、やがて免許を更新しなくてはいけないことを忘れる。

さらに自分にとって障壁になるのが「鮫洲」だ。免許を更新するためには品川区の鮫洲に行かなくてはならない。鮫洲という地名と自分の心理的距離感はかなり遠くて、自分にとってはウズベキスタンくらい遠く、ニューヨークの方が余程近いので、「鮫洲に行かなきゃいけないならしょうがないですね。諦めます。」となる。

しかしこれはこのままだとさすがにやばいので、昨日、在ニューヨーク日本領事館に電話してみた。在ニューヨーク日本領事館には1人めっちゃ無愛想でいじめっぽい対応をする人がいて、その人に当たると結構辛いのだが、その人以外はみんな親切で、良い領事館だ。そして電話口には親切な方が出た。

私「あの。パスポートが風化寸前で、しかし明後日、日本に行ってすぐに帰ってこないといけないんですが、ひどい状態なのでアメリカに入れるかどうか不安です。」

領事館「風化? ですか? しかしそれはさすがに間に合わないですね。通常、破損の場合は1週間で再発行できるんですが・・・。」

私「あー、けど、戸籍謄本必要ですよね」

領事館「いや、破損だけなら戸籍謄本いらないですよ。写真だけでOKです」

なななんと、あれだけ悩んでいた戸籍謄本は不要だというのだ。2段階認証を一足飛びに超えた感がある。よくわからないけど、世が世なら、鮫洲に行かなくてもいいんだ。2回くらい問いただして確認した。

しかし問題は解決していない。再発行には一週間かかるが、日本には行かなくてはいけない。

私「けどこれ、風化寸前のパスポートで仮にアメリカに入国できなかった場合どうすれば良いでしょうか?」

領事館「ちょっと確認してきます」

そして5分ほど待たされた後、

領事館「聞いてみたのですが、ほとんどの場合、ビザがちゃんとしていればパスポートがアレな感じでも通してくれるようです」

えっ???! 大丈夫なの?! と思ったと同時に、私は自分自身に戦慄した。そんな優しいこと言われたら再発行しなくなっちゃうじゃないか。なぜそんなに私を甘やかすのか。

けど、まあ、大丈夫ならいいか。

というわけで東京に向かいます。土曜の朝には帰ります。

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