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0420「s.sunadaの正体」

海外に在住していると、基本的に日本語の本は物理的に簡単には手に入らないので、Kindleをはじめとした電子書籍プラットフォームというのは非常に尊いもので、私の場合はKindle以降に移住したクチなので、Kindleのない海外生活というのが想像できない。正確には高校の頃ホームステイをやっているので、そのときはKindleなかったのだが、海外にいるくせに、サンフランシスコの紀伊国屋で買った筒井康隆の「虚航船団」をずっと読んでいた記憶がある。

逆にKindleがなかったら、仕方なくもっと英語の本を読んでいたような気もするので、今より英語のリーディングとかできるようになっていたのかもしれない。

しかし、私の場合、日本語の活字が無いのはやはり相当人生にとってクリティカルになるので、Kindleが無かったらいろいろ病んでいたかもしれない。

「虚航船団」の話が出たので、「虚航船団」について書くが、いつのまにかこの作品もKindleになっていた。

イタチが住んでいる星を征服しに行く文具船に乗った文房具たちの話と、その星で営まれたイタチたちの歴史と、征服の顛末が語られた、わりと分厚い本だ。こうやって書くと訳がわからないと思うが、そこそこ訳がわからないながら、私としてはかなり引っかかるフレーズが多い本だ。

この作品が何を表現しているのか、とかは私などが解釈して語るのはちょっと違うレベルの名作だと思うし、それはやらないのだが、とにかく深く脳に刻まれてる表現が多くて、たぶんもう20回程度は読んでいるような気がする。高校のときに買った文庫は、ボロボロになって崩壊した。

パッと思いつくところでいうと、パイロットの輪ゴムがゲシュタルト崩壊というかよくわからないなって暴走する感じとか、糊の性欲がすごすぎる感じとか、消しゴムが自分のことを天皇だと思っていて、誰かを介して奏上しないと働いてくれない、とか、あと、イタチの星において起こったフランス革命的なもので、ギロチンにかけられたマリー・アントワネットに対応したイタチの下半身が持ち去られたりとか。

中でも、終盤、現実と虚構がよくわからなくなって、執筆中の筒井康隆氏が耳にした選挙カーの「スナダ・シゲタミ、スナダ・シゲタミに一票をお願いします」的なフレーズがリフレインする場面はすごく印象的で、これに衝撃を受けて以降、ドラクエとかのRPGで主人公の名前を必ず「しげたみ」にしている。ファイナルファンタジー11でずっとオンラインで遊んでいた頃にも「shigetami」の名前で活動していたので、その界隈では「シゲさん」と呼ばれていた。

さらに、Gmailが登場して、まだ招待制だったころになんとなく取得したのが「s.sunada [at] gmail.com」で、そのときにスクリーンネームも「s.sunada」にしてしまって、なんか変え方がわからなくなってしまってかれこれ15年くらい。個人のgmailアカウントはずっとこのs.sunadaだ。

たまに間違えて仕事のメールにs.sunadaで返すと、メーラーの表示名に「s.sunada」と出るので、たまに「おいおい砂田って誰だよ」みたいな混乱を生むことがある。私と長くお仕事させて頂いている方はこの混乱を体験された方も多いかと思うが、あの「s.sunada」は「虚航船団」から来ている。

で、当の「スナダ・シゲタミ」さんは、実はそれなりに名の知れた国会議員だったらしくて、なんとか庁長官までやられていたらしい。

「虚航船団」は、そんな感じで、文章として何か理解をするというか、時折印象的なフレーズがあってそれが頭に回ってしまうような、音楽っぽい作品で、そう考えると詩だよなあとも思う。

書評モードだと、とにかく適当に適当なことを高速で書けるから良い。FF11のみんな。シゲさんは元気にやってますよ。

みんなにも読んでほしいですか?

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