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2020年まとめ|決算|西川火尖

今年最後の更新として、何をいうかいろいろ考えたんですが、結局一年炎環に発表した俳句から24句を選ぶことにしました。
今年は本当にしんどい一年だったと思います。何一つ解決しないどころか、日に日にシビアな状況になっていきました。その中で知らない人や友人知人の知性や理性、優しさにどれほど助けられたか分かりません。
今年一年ありがとうございました。

炎環2020.01~12
笛付きのケトルを鳴らし冬が来る
3D眼鏡青赤日短か
大根を放つたらかしに煮てゐたり
白熊の胸の汚れを怖がる子
暖房を浴びパペットに従ふ日
鮟鱇鍋包み隠さず笑へといふ
お別れのライブ春焚火のやうな
亜郎逝く空気振動春が来る
差入れの包みの湿り春の雪
音漏れの歌口ずさむ春休み
学校のプール花浮き花に花
自粛即棄民の国の春惜しむ
怒りつつ剥く蚕豆の艶ならむ
百合嗅いで怒りの形定まれる
夏負けの歯のぎつしりと手鏡に
裸電球でで虫の愛確か
白百合を嗅ぐ弟の首飾り
天牛や遊びの中の王と臣
為政者の弛緩そのまま敗戦日
八朔や火は透明に盛りつつ
人形の名に相応しき月光来
合唱団花野に着いて解散す
色鳥に囲まれ髪を切つてゐる
人間の指から暗き花野かな

配線の撓む棚裏年つまる 西川火尖

皆さまどうぞ来年もよろしくお願いします。

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