小説「塩狩峠」がもたらしたもの
#一歩踏みだした先に
小学生の私は、宿題も予習復習もしないで成績優秀だった。同級生が宿題をまじめにやるのが全く解せなかった。
中学に入り、英語が加わったり、算数が数学に成ったりで一気に難しくなり、勉強の習慣のない私は一気に落ちこぼれた。出来ない自分に「勉強なんておれはいつでもできる」と嘯き、気が付けば自己欺瞞の沼に落ち込んで、にっちもさっちもいかなくなっていた。人生の一番重要な岐路に立つこの時期、親も教師も同級生も、遠巻きに嫌味をくれるだけで、完全にどうしていいか分から