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ある科目の勉強方法がわからないときの対処法

今回はある科目の勉強法がわからないときの対処法を書いてみます。私の場合は「実務」がそれでした。


「実務」試験は2018年から新たに全国通訳案内士試験に加えられました。したがって、私が第一回目に受けた時点では、過去問は3年分しか存在していませんでした


それまでの試験対策は王道に則って、過去問対策を主眼に置いていました。経験則からいって、5年分の過去問を何度も解いて完全に近づけるのが、効果的だと感じていました。しかし「実務」に関してはたった3年分しか存在しなかったので、絶対量が足りていませんでした


しかも、初年度に比べ2年度目、2年度目に比べ3年度目の試験内容が格段に難しくなっていたので、はたして今年はさらに難しくなるのか、それとも少しは簡単になっていくのかその辺もはっきりしませんでした。結果として、私の受けたときはさらに難化しました。そうなることは今考えると自明の理でした。


試験内容はほぼ「観光庁研修テキスト」から出題されるということで、出題側からすれば、初めは本当にガイドに必要な基礎的内容から出題した感じでした。ですが、多少の改訂はあるとしても同テキストから毎年出題していくとなれば、どうしても重箱の隅を突いた問題を出していかざるを得なくなります。ですから年を追うごとに問題が難化することは予想しておくべきでした。


このテキストを完全に読み込めば間違いなく通るはずでした。 しかし、そこそこの分量があり、とてもすべてを頭の中にいれるのは難しく思われました。なかなか効果的な対策法が見つからないまま、何回かサラッと読んで簡単な問題が出てくれることを祈りつつ当日の試験を迎えました。


結果はあえなく撃沈です。1点たりませんでした。試験終了後に3~4つの予備校が一斉に解答速報をアップします。最初に速報を上げた予備校の解答によれば、ギリギリ合格していました。心の中で「やったー! これでストレート合格だ!」と叫びました。


ところが次の予備校によるとぎりぎり合格できていません。3校目も違う解答です。しかも予備校によっては、時間が経つにつれ、どんどん解答が修正されていきます。結果として、1点足らなくなりました。それでも平均点が低ければ、合格点の下方修正もあり得るので、期待をかけつつ、二次試験の準備もしていたのですが結果は1点足らず不合格でした。


この科目を軽んじていたことを心から後悔しました。全科目に合格点の設定がある以上、すべての科目にフルコミットしなければなりません。ですが、やり方がわからない「実務」はあと回しにして、ついつい自分の好きな「歴史」の勉強ばかりしていました。

現実を突きつけられたとき、以前に読んだ一冊の本が頭に浮かんできました。それは『東大首席弁護士が教える7回読み勉強法』という本です。メディアでもよくでる山口真由さんの書かれた本です。山口さんは東大3年のときに司法試験に合格し、4年には国家公務員一種試験合格、そして東大を首席で卒業された方です。

間違いなく実績を残されていた方の本なので、強い印象は頭の中に残っていたのですが、その勉強法があまりにもゴリゴリのガリ勉法式なので、実行には移せずにいました。でも、もう今はそんなことを言っている場合ではありません。次回も「実務」を落としてしまえば、もう一度初めからすべてやり直しということになります。


それで、その本をもう一度初めから読みなおし、そのままやってみることにしました。とはいうものの、そのままやろうとしてもなかなか自分の癖が邪魔して初めのうちはうまくいきませんでした。「7回読み」の具体的方法は、本を読んでいただく*として、ザッと説明するとつぎのような方法です。


*ちなみに、『東大主席が教える7回読み勉強法』と『誰でもできる<完全独学>勉強術』の2冊の本がありますが、「7回読み」について詳しく説明されているのは後者の方です。



1回〜4回目: 「サラサラ読み」で1分に10ページを読む感じ。初めのうち読むと言ってももちろん理解して記憶していくことはできないので、眺めるといった感じに近い。回を重ねるごとに少しずつ時間をかけ、理解していく。ここまでの理解度は20%といったところ。

5回〜7回目: 時間をかけ隅々まで理解できるように読んでいく。5回目以降、理解度が一挙80%に跳ね上がる。そして100%の理解度を目指す。


これらのプロセスのどこが難しかったかというと、始めたばかりのときどうしても意味を取ろうとしてスピードが落ち、普通の読み方になってしまうところでした。それで、これは「読む」のではなく「眺める」のだとこころに言い聞かせ、やっとそれなりの「サラサラ読み」ができるようになりました。


私の場合2021年11月13日に7回読みを初めて、1ヶ月半後の12月1日にはすでに5回まで完了していました。その後、2022年には手術があったため、「実務」の準備はしばらくそのままにしたままでした。


手術も終わり、7ヶ月後の6月1日に私の落ちた年の過去問をやってみると36/50 = 72点(60点合格)でした。私は落ちた年の過去問は全く振り返っていなかったので、これはいけるぞと感じました。数日後、2018年の過去問をやってみたところ48/50。その後に6回目と7回目を完了しました。


6回目ぐらいから、理解度がとたんに上がり、読んでいると次のページに何が書いてあったかが頭に浮かぶようになってきます。もうここまで来たら間違いなく合格できると確信しました。7回も読むと大変な時間を要したのだろうと思われるかもしれませんが、初めの数回などは「眺めて」いただけなので、1回に30分ぐらいしかかけていません。


ダメ押しに、8回目に読んだあと、理解が難しい部分や間違えやすい部分をノートにまとめました。このノートは内容を完全把握したのち、自分にとって必要なところのみを書き出したものなのでまとめるのに時間もかかりませんし、本当に役に立ちます。


本番試験まで、過去問と予想問題集を何回も繰り返し、当日も試験のギリギリまで近くのコンビニでほぼ完全と思えるぐらいに仕上げました。


結果当日の試験で20分の試験を13分ぐらいで完了したと思います。はっきりいって、とても簡単に感じました。予備校によると去年と同じぐらい難しかったとのことでした。ですが引っ掛け問題もすべて手の内がわかり、すべて寸分のところでかわして自信を持って解答できました。手応えとしては満点か、最低90点以上というところでした。


その後の各予備校の速報と見比べながら、最初の速報がでたところでは2問間違えたことになっていました。でも私はそれらの問題の答えには自信があったので後々修正されるだろうと思っていましたが、まさにその通りでした。満点で合格できました。


結局、一時速報ですべてが正解であった予備校はありませんでした。ですから、あの年の「実務」に関して、私はどの予備校講師よりも理解していたと思います。


これが勉強方法のわからなかった実務の対処法です。


この場合大切なのは、いつもさまざまな勉強法にアンテナを張り、自分なりに情報を収集しておくことです。対処法がわからないとき、以前に読んだ勉強法がパッと頭に浮かんできます。それはきっと自分の脳内に格納されていたデータベース内の情報が必要(クエリ)によって引き出されたわけなので、その方法に従ってやってみる価値はあります。


このおかげで、テキストしかない試験でももううろたえることはありません。過去問等そろっていなくても「7回読み」さえすれば、必ず合格点はとれるという自信があるからです。ストレート合格できなかったのは残念でしたが、この「7回読み」を習得できたのは、それを補って余りある収穫でした。


追記: 最強の「7回読み」勉強法ですが問題もあります。それは目がとても疲れるということです。特に50代以降の方はその方面の対策をして臨まれるのがよいかと思います。また、4回目までほとんど理解度が上がらないので、そこまでいくうちに嫌になってやめてしまう方がきっとかなりいるだろうと推測します。

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