百歳百冊 「立川談志落語論」

立川流の真髄を探るにふさわしいネタ本。
談志の古典への解釈の深さを感じられる。


この本で立川談志落語論として得たビッグマップは以下のものだ。


大きな意味で日本文化における寄席芸の本命は
「喋り」、「語り」であり、それが「講談」と「落語」に分化した。

方や歴史を語り、方や庶民の生活を語った。
歴史を語る講談は「人間として正しい道」を語った。
落語はこれを嫌った。正当な生き方というものに疑問を持ったのだ。
だから「落語とは 人間の業の肯定」なのである。


人間の常識の範囲、「文明」や「文化」は講談の世界であり、

常識の外の世界を扱うのが落語なのだ。


常識外の世界には3つの要素がある。
まず「文明に対する揶揄」という要素。
次に「義理も人情も常識も社会ルールも入る余地のない極限状態」という要素
最後に「他人といっさい共通しない、まとまらないものを語る、イリュージョン」という要素
これらを笑いに昇華させるのが立川流の落語なのだ。

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