弁護士登録1年目振り返り

もうすぐ弁護士登録1年目が終わるようなので、業務について振り返ってみます。事務所固有の話は(再現性もないと思うので)省略します。


業務の4割くらいがM&A(DD)と危機管理(不正調査)、残りが訴訟・紛争とレギュレーションでした。不正調査は年次によって役割がかなりはっきりと異なるものの、現時点ではわりと向いているのではないかと思っています。レギュレーションは比較的広くやっていて、個情法、通信規制(電通法、電波法)、医事・薬事規制(医療法、医師法、薬機法、健康保険法etc)、金融規制(金商法、保険業法、資金決済法、犯収法etc)、経済安保(外為法、経済安保推進法による基幹インフラ規制)などです。法律(規則、通達、ガイドライン、判例なども含みます)の読解が得意なのと、クライアントのサービスやマーケティング施策について聞き取り、理解し、考えるのが好きなので、向いているのだろうと思っています。

一方、M&Aは極めて短納期のタスクが多く、always readyでなければならないため、他の業務との両立が難しいなと感じています。知財は受験生の頃は好きだったのですが、仕事量が多くない一方希望者が多いので、意外にやる機会は多くありませんでした。それでも契約書や内部規程のレビュー、法律相談、交渉などの際にリサーチが必要になることはあり、価値を発揮できるように努めています。

英語業務はたまに受けており(1割くらい)、日本の低成長も円安も続くと思われることも考えると、増やしていくべきなのだろう思っています。Notion AIで単語帳を作り、移動中や食事中に見るようにしたら、文章を読む練習にもなって英語のドキュメントを読むハードルが劇的に下がるという発見があったのですが、それはまたの機会に書くことにします。

ドキュメンテーション、タスク管理、上のアソやパートナーとのコミュニケーションみたいなものは日々試行錯誤しています(一部はここに書きました)。あと1年もしたらプロジェクト管理と顧客や関係者とのコミュニケーションも身につける必要があり、信頼されているパートナーやアソの仕事をよく見なければならないなあと思っています。

タイムは300前後が多かったのですが、クオリティが下がっていたり、タイムリーなレスポンスができていないと感じることがありました。アウトプットの量だけでなく、そのクオリティやタイムリーさにも価値があるのだとすれば、案件の総量をコントロールし、稼働率を適切な水準に保つこともアソの仕事のうちなのだろうと最近は思うようになっています。法律事務所は、特定のアソの稼働状況を実質的に把握している人がいない構造なので、特にそれが重要かもしれません。

修習中に勉強したことのうち、IT・サイバーセキュリティ、会計・ファイナンスは業務の細かいところでアクセラレーターとして役に立っている気がします。戦略・マーケティング・組織論は直接に役立つ機会はそれほど多くないですが、ビジネスの常識として勉強しておいて良かったなと感じます。ちなみに最近は時間があるときはクライアントの業界やレギュレーション、電磁気学(電波法の資料とかが読めるようになったります…)について勉強しています。


2年目は求められる役割はまだそれほど変わらないと思いますが(3年目から変わる印象があります)、セルフマネジメントを継続して仕事のやり方をブラッシュアップすること、現在扱っている分野について知見を深めること、英語案件の経験を増やすことを目標にしたいと思います。

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