見出し画像

きっとあれが初恋だった

高校3年の冬
飲食店でアルバイトを始めた
初出勤の日、ドリンクの作り方が分からなくて
戸惑っている私を見て
年上の先輩が手伝ってくれた
周りがとても見えているな、と思った
すごく、大人に見えた

3月
その先輩と仲良くなった
私の名前をちゃん付けで呼んだ
店長に隠れてこっそりつまみ食いをする時
私にだけあーんをしてきた
高校の制服を可愛いと言った
ラインのやり取りが続くようになった

先輩が好きな人になった

入学式
友達が1人できた
親がお祝いしてくれた
スーツの写真を好きな人に送った

新しい環境も1人じゃないと思えた
それだけで怖くなかった

4月
仲の良い友達が5人できた
大学までの1時間の通学はまだ長く感じる
好きな人と初めてご飯に行った
嬉しかった

好きな人が彼女に振られたと言ってきた
好きな人は彼女はいないと言っていたのに
おかしい

12月
友達が1人大学を辞めた
大学生らしいサークルに少し慣れた
夏ぶりに好きな人とデートをした
お好み焼きを食べてドライブをした
たまたま選んだニットの色が同じだった
恋人みたいだね、と互いに笑った

でも、好きな人には新しい彼女ができた
結局好きな人は好きなままだった

3月
好きな人が大学を卒業する
卒業式前日にご飯を食べて映画を観た
最後にリメンバーミーを観たいと言ったのは
私から好きな人へのちょっとした嫌がらせだった
好きだったとは言えずに別れた

翌日、友達にこの話をして泣いた
人前で涙を流したのはいつぶりだろう
抱きしめてもらった
とてもあたたかかった

友達が優しいから
失恋も、悪くないと思えた


その後、
何度かLINEがきた
やっぱり会話のリズムは心地よかった
何度か返事を返したけれど
もう会えないと悟っていたから
自分から連絡を絶った
私はとても偉いと思った、し、今でも思っている



2年後
彼のインスタがおすすめに出てきた

つい、見てしまった


彼は結婚を決めたらしい
相手はあの時にできた彼女だった

心が握りつぶされたような気持ちになった
もう未練はないが
会ったら確実に心は揺れるんだろう


だから、もう二度と会いたくない


しんどかったし、たくさん泣いた
叶いそうで叶わなかった
だけどすごく幸せだった
こんなに人を好きになったのは初めてだった

私の大切な初恋としてずっと心にしまってある