帝人 経営説明会 2024/9/21
今日は帝人の経営説明会@霞ヶ関イイノホール に行ってきた。昨年も参加したのだが、今年のほうが人も多く、質問も多かった印象。個人投資家の関心が高まっている?
メモをとってはいないので、記憶に残ったことだけ簡単に
・中期経営の進捗と、次期中計の目標
帝人は2024-2025中計で「ROIC4%、ROE6%、事業利益500億円」を掲げているが、これは10月に売却するインフォコムを含んだ数字で、この水準は引き続き達成に向けて邁進していくとのこと(達成できそうとはいっていない)。
・次期中計の目標
ROE10%を目標に掲げ、事業の選別を行っていくそう。この10%は余り根拠のない数字ではなさそうだが、後述するように、それなりに主要事業の今後の方向性は見えてきたようである。
・事業ポートフォリオの変革
質問でオアシスマネジメントなどアクティビストファンドに関する質問が出た。個別の株主とのやりとりは開示できないが、様々な株主との対話のなかで、共通して言われているのは、ポートフォリオの転換とのこと。
今日時点ではインフォコム以外の事業の整理については具体的な話はなかった(それが聞きたかったのだが)。ただ、何も整理しないということはないだろうから、追加で売却が見込まれるだろう。個人的には保有株はさっさと売却して借金返済にでも充てたらと思うが、質問はできなかった。
・主要事業に説明
アラミド、樹脂、ヘルスケアについてはネットでは書かれていない話があったので、これは来た甲斐があった。
①アラミド
もっとも事業ウェイトの高いアラミドだが、今後海外ケーブルの敷設など、需要が見込めるとのこと。帝人はケーブルの製造や検査?(うろおぼえ)に関する技術を持っているらしい。素材だけでなく、加工も取り込むことで付加価値を出そうとしているとのこと。
海底ケーブルは、船にのせて敷設していくが、従来のスチールの補強材では重量が重く、アラミドにすることで船への搭載量が増える。それは確かにそうだなと。この辺は楽しみですね。この記事の話ですかね。
素材自体の強みや競争力について質問したかったが、当ててもらえなかった。
②炭素繊維
炭素繊維はまだ勝ち筋が見えておらず、検討中ということだったが、バッテリーカバーなどの熱マネジメント用途や、航空宇宙など過酷な環境対応などを狙っていくという。熱マネ領域では、帝人のコア技術が生かせるようでかなり力説していた。航空機向けも、需要は戻ってきており、それを取り込んでいくとのこと。
③ヘルスケア
ヘルスケアの勝ち筋は、在宅医療をチャンネルとした希少疾患薬の販売。そもそもなぜ在宅医療を始めたのかその辺の話を知りたかったが、ヘルスケアは以外と自信がありそう(利益率も高め)。
ヘルスケアに関する質問がいくつかあり、透析の在宅サービスと海外への展開はやらないのかという質問がった。実は透析も海外展開(アメリカ)は検討は続けているが(透析は10年くらい)、許認可や制度の近い(アメリカは在宅医療の保険点数が日本と比べると低い)などで実現できていないとのこと。ただ、透析の一部はJMSという会社と組んでやっているとのことだった。帝人の在宅医療サービスを自身や家族が使っているという人はちらほらいた。ヘルスケアについては、説明が結構熱っぽく、売上的には少ないだろうが、帝人として重要な事業なんだなと感じた。
・インフォコム売却による株主還元策
これが一番知りたかったといっても過言ではなかったが、具体的な話はゼロ。ただし、次の四半期決算では具体的な話をするとのことでした。
感想
率直な感想として、アメリカの工場火災の復旧などにもめどがたち、また事業の絞り込みも方向性が見えてきたので、今後はそんなに悪くないのでは?という印象を持った。第一四半期で若干の(60億弱)の上振れがあったが、通期では業績予想を据え置いている。これまで予想を達成できなかったことが多かったため、安易には情報修正はしないというスタンスのよう。円高(帝人の想定為替レートは151円)など、下振れリスクもあるので何とも言い難いが、順調に推移してくれれば、情報修正もあるかもしれない。
いずれにせよ、ROE10%を目標に事業整理が進んでいるので、事業的には今が底だなという感じもする。まあ期待してもいいのあかなあという印象は感じた。
アラミドについては、リサイクル事業も他社に先駆けて手掛けるなど、ユニークなポジショニングを構築できつつあるようで、期待したいとところ。CEOの内川さんと役員二人で対応していたが、意外にも熱っぽいというか一生懸命な印象も。
帝人といえば最近心臓パッチのニュースで少し話題になったが、希少疾患への取り組みは応援したい。ビジネスとしてニッチをターゲットにしている部分はあるが、心臓パッチの開発は難しかったはずで、その裏には人を救いたいという帝人の情熱があるのだろう。
長く持つならいい会社なのかな、と思っているし、株価的にも底打ちしてほしい水準なので、今後に期待している。