受けポケモンに積み技を覚えさせる効果の計算

はじめに

はじめまして。
今回は自己再生などの回復技の回復量>相手の攻撃で受けるダメージ量とすることで相手を受け切るタイプのポケモンにおいて、鉄壁等の防御バフを覚えさせることでどれだけ受けられる範囲を広げられるかっていう考察です。

え?バフの分を掛け算するだけだから考察するまでもない??鉄壁だったら2倍の火力のポケモンまで受けられるでしょって?本当に?

Sが高くワンパンで体力を80%削ってくるようなポケモンとの対面を例に考えてみましょう。単純には鉄壁で半減すれば自己再生の回復量50%よりダメージが小さくなるので受け切れるように思えますが、実際は次のようになり回復を間に合わせることができません。

1T目:相手の攻撃 → 8割削れてこちらの体力残り2割
   こちらの鉄壁 → こちらの防御力2倍
2T目:相手の攻撃 → 鉄壁で半減されて4割削れる。
                                          残り2割だったので落ちる    
            こちらの回復 → 間に合わない

このように耐久系の積み技で受けれるかどうかを判断するには単に防御アップ分を割り算するだけではだめで、積んでる間に受けるダメージも込みで計算しなきゃいけません。

計算機

さっそく結論ですが上で述べたような計算を自動でやってくれてバフ技を覚えることでどの程度のダメージまで受け切れるようになるのかを教えてくれるシートを作成しました。↓からコピーを作成してお使いください

さて、残りの記事で何をやるかというと、この計算機の中でどういう計算をやっているかという解説とシートの使い方や読み方の説明を行います。
また、計算の結果としてどの程度のダメージまで回復が間に合い受け切れるかを表す量として新たに物理受け指数、特殊受け指数というものが考えられるためこれらの概念についての解説も行います。

計算に使用する変数の定義

$${x_i}$$:  $${i}$$回バフを重ねている時に受けるダメージ
$${b_i}$$: $${i}$$回重ねた時のバフの倍率 
$${n}$$:回復が追いつくのに必要なバフ回数
$${H}$$ :体力最大値
$${r}$$:回復技による回復量

なお、この時ダメージ$${x_i}$$とバフ倍率$${b_i}$$には次の関係があります

$$
x_i=b_i x_0
$$

このため積み技の種類を決めて$${b_i}$$を定めれば$${x_0}$$からすべての$${x_1,x_2,\dots}$$が決まります。

計算

回復が追いつくためにはダメージが回復量より小さくなればよいので$${n}$$は次の数式を満たす最小の自然数ということになります。

$$
\begin{equation}
x_n < r \tag{1}
\end{equation}
$$

バフ込みで受け切るには$${n}$$回積んでから最初の回復を行うまで耐えきる必要があります。つまり↓の数式が成立することが受け切るための条件です。

$$
\begin{equation*}
x_0+x_1+x_2+\dots +x_n < H\tag{2}
\end{equation*} 
$$

この時、相手に先制して積み技を使える状況では上式の和が$${x_0}$$からではなく$${x_1}$$から開始になり、それ以降も敵の最初の攻撃前に積み技を多く使えるほど$${x_2,x_3}$$と和の開始が遅くなります。

なお、$${n}$$回積みきる前は相手のダメージの方が大きく回復技の使用は状況を悪くするだけなので、積みきるまでの行動は全て積み技連打を考えています。

以上、式(1)(2)の二つの条件により受けられる$${x_0}$$を求めます。二つの式を変形して$${x_0}$$についての不等式の形にすると次の二式になります。

$$
x_0<\frac{r}{b_n}\\
x_0<\frac{H}{b_0+b_1+\dots +b_n}
$$

以上をまとめて次の数式により積み技込みで受けが成立する$${x_0}$$の範囲を求めることができます。

$$
x_0 < \min(\frac{r}{b_n},\frac{H}{b_0+b_1+\dots +b_n})
$$

計算機の読み方

色が変わっているところが操作できるところです。回復技の種類、積み技の種類、積み技を何回まで重ねられるかを設定すると、何パーセント削ってくる相手まで受けられるかを計算します。なお、おにびやリフレクター等も1回までしか重ねられない鉄壁として計算することで計算可能です。

計算機の画像

↓の橙色で囲んだ部分に計算結果が出力されています。先手を取る、交換読みで積む等、相手の行動前に積むことが出来れば受け切ることが出来る範囲が増えるため、相手の最初の攻撃までの積み回数で場合分けしてあります。

計算結果の場所

この例だとバフ無しの自己再生持ちは体力50%削る攻撃までは受けが成立しています。それがてっぺきを覚えさせることで後手なら66%削る攻撃まで受けが成立する範囲を広げられ、さらに先手で鉄壁を積める相手ならバフなしで120%削る(つまりワンパンするような)相手にも受けが成立するようになるということを表します。

受け指数

上で積み技や回復技により受け切ることができる範囲を計算しました。これを踏まえると、HやBが非常に高いポケモンでも積み技や回復技が貧弱で30%までしか受けられないポケモンよりも、耐久自体は低くても優秀な積み技や回復技の為に100%↑のダメージまで受け切ることが可能なポケモンの方が受けれる範囲が優秀な可能性が出てきます。

具体的に比較するにはどうすれば良いでしょうか?積み技や回復を考慮せず、素の耐久の高さを表すのには体力実数値と防御or特防実数値の積を取った耐久指数が広く使われています。この耐久指数が高いほど、また上で計算した受けられる範囲が広いほど火力の高い攻撃を受けられるため、耐久指数と受けられる範囲の積を比較すればどれだけ高い火力の攻撃まで受けられるかを調べられる事がわかります。

そこで積み技や回復技の性能を考慮した受け性能を表す指数として、耐久指数と受けられる範囲の積を受け指数を呼ぶことにします。

耐久指数×受けられる範囲=受け指数!

計算機の方にも種族値と努力値を入れるステータスを入力することで受け指数を計算する機能を付けてあります。

主要ポケモンの受け指数比較

使用例も兼ねて現環境で主要な受けポケモンの受け指数を比較します。

(執筆時シーズン3開始直後だったため環境調査中。環境が固まり主要な受けポケモンが判明次第追記します)

おわりに

受けポケモンに積み技を覚えさせることでどれだけ受け範囲を広くできるか、計算方法について考察し実際に計算するためのシートを作ってみました。いかがだったでしょうか?

計算回した個人的な感想としては先制で積み技を使えた時の受け指数の伸び方が非常に大きく、積み技を覚えさせるなら素早さが非常に重要になりそうだというのが新鮮でした。

みなさんも色々計算してみて意外な強ポケモンを見つけてみてください!
では次の考察でお会いしましょう。

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