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私はあの長い階段を登る人達を勇者と呼ぶ。

地下鉄。電車を降りると地上に出るために人間渋滞が起きる。エスカレーターの左側に並ぶ人、右側に並ぶ人。左側に並ぶ人はエスカレーターの本来の乗り方、乗って立ち止まる。右側に並ぶ人はエスカレーターを階段のように登る。多くの人はどちらにせよエスカレーターを選ぶ。そんな中、そのエスカレーターに並列している階段を登る人たちがいる。その階段は30段くらいではなく、200段くらいあるのではなかろうか。単純に見上げて、長いと感じる階段である。

私は人々に名前をつけた。
エスカレーターの左側に乗って立ち止まる人たちのことをデフォルト。
エスカレーターの右側に乗って階段のように登る人たちのことをちょっと急いでいる人。
そして、エスカレーター横の階段を登る人たちのことを勇者。

勇者は少ない。
エスカレーターはびっしり人が並んでいるのに、階段はまばらである。

私は日によって選ぶのである。
どうしようか、今日は勇者になろうかならまいか。

そして、強い意志をもち、今日は勇者になる!と決断するのである。勇者はきつい。

さて、今日は勇者になろうと思う。
なぜなら、階段を数えなければならないから。

結果、階段は100段もなかった。
たまに踊り場があるので、歩数がくるった可能性が大いにあるが、89段であった。段数を数えながら登ったら案外短かった。

どうしよう。思ったよりもちょろく感じてしまった。次回から勇者と呼ぶか悩んでいる自分がいる。
次回からは階段を登ろうか。毎回。

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