楽しい音楽のためのいっぽ②-リズムと4分音符のハナシ-
〇今回はリズムの話です
こんにちは。MIXする犬です。
このシリーズは主に初心者~中級者の歌ってみたの歌い手さん向けの記事です。歌や演奏の技術や意識について書かせていただいています。
前回のnote、ご覧いただけましたでしょうか。
ありがたいことに読みました!って声をいただいておりまして、嬉しい限りです。ありがとうございます。
2回目となる今回は、リズムに関する話です。
日々いろんな音源を拝聴させていただく中で、”リズムの意識が甘い”と感じる音源は少なくありません。
僕自身MIXをするとき、リズムがずれていたら修正します。
ただ修正しやすいケースと、しにくいケースが存在します。
特に修正しにくいな…って場所は、むりやり修正すると違和感がモロに出ます。
そういうケースの場合、その違和感を諦めるか、修正自体を諦めます。
その分音源のクオリティは落ちます。もったいない。
やっぱり一番良いのは、録った段階でリズムがバッチリなこと。
でもそれができるなら苦労してねーよ!って話。
僕が思うに、リズムで苦労してる歌い手さん結構多い印象です。
もっと言うと、リズムに対してどうアプローチしていいかそもそも分からない・リズムをどう考えればいいか分からないって人多いのではないでしょうか。
これ、教えてくれる人がいないんじゃない?もしかして。
リズムは、仕組みが分かればある程度簡単に訓練が可能です。
今回も、基本中の基本しか書きません、たぶん。
ですが、大前提!みたいな話なので、ぜひ読んでみてください。
余談ですが、リズムは奥深すぎるし大きいテーマなので、複数回に分けます。
でも今回だけ読んでも大丈夫なようにはします。
全部読まないと分からないようにはしません。
〇そもそもリズム感って何よ
僕は"リズム感"って言葉あんまり好きじゃないです。
曖昧過ぎて何を指すのか分からないので。
ただこの記事で”リズム感”という言葉は避けて通れなさそうですし、読んでいただく方はこの言葉を求めてきたと思うので、使います。
なので、一度”リズム感”についてここできっちりと定義をします。
あくまで僕の解釈ですが。
「自分の歌(演奏)の音符と、4分音符を並行して頭の中にイメージし、相対的に、かつ安定して処理をする能力」
この能力をリズム感とします。
これを鍛えると、リズムがとっても安定します。
いや何を言っているのかわからんぞ、という方すみません。
今回の記事はこの定義を詳しく解説するのがメインなので、頑張って読み進めていただければと思います。
〇音符の長さについて
ここからちょっとだけ座学です。
今回の記事は各音符の名称・長さを理解していることを前提に書いています。
分かってないとちょっとだけしんどいので、覚えてしまってください。
分かってるわ!って方は飛ばしてOKです。
使う機会が多い3つに絞ります。
ちなみに、4/4拍子を基準とします。言う必要ないかもですが、ややこしくなるので。
・4分(しぶ)音符
一番仲良くなってほしい音符です。
1小節を”4"つに"分"けた長さなので4分音符です。
4回鳴ると1小節です。1、2、3、4、で1小節。
4/4拍子ってのは、この曲は4分音符が4回分で1小節になるよ、っていう意味。(分母が音符の長さ、分子が回数です。このへんは予備知識ですがね)
クリック(メトロノームのこと)はこの長さで鳴るのが一般的です。
メトロノームが1回鳴る長さ、という覚え方でOKです。
メトロノームが1回鳴る長さ=1拍という言い方もします。
・8分(はちぶ)音符
よく出てきます。
1小節を”8"つに"分"けた長さなので8分音符です。
4分音符の半分の長さです。
言い換えれば8分音符2回=クリック(4分音符)1回分、つまり1拍です。
なので1拍に2つまで入ります。
ドラムやなんかでよく聞く”エイトビート”のエイトはこの8分音符を指します。
エイトビートはいろんなところで使われまくっているので、8分音符もそれくらい使われまくっています。
・16分音符
これより細かい音符は急いで覚えなくていいです。
1小節を”16"つに"分"けた長さなので16分音符です。
8分音符の半分の長さです。
16分音符2回=8分音符1回分。
つまり16分音符が4回 = 8分音符2回分 = クリック(4分音符)1回分、1拍になります。
1拍に4つまで入ります。
16分音符2回+8分音符1回とかでも1拍分になります。タタター、みたいな。
数字が多くて僕もゲシュタルト崩壊ぎみなので、とりあえずここまで。
ふだん歌ってる歌やフレーズが何分音符で構成されているのかを考えてみるといいです。
〇4分音符=クリックと仲良くなりましょう
座学はここまで。
ここで改めて、リズム感の定義をおさらいです。
「自分の歌(演奏)の音符と、4分音符を並行して頭の中にイメージし、相対的に、かつ安定して処理をする能力」
です。
この定義中に出てくる4分音符とはつまり、
クリック(メトロノーム)音
を指します。
定義なのでちょっと堅苦しく書きましたが、フランクに言えば、
「歌ってる最中でもクリックをイメージできるようになりましょう」
ということ。
歌ってる時クリックなんか聞かないわー、という方、
この機会にぜひ聞きながら歌ってみてください。
○クリックと仲良くなるには
クリックを聞きながら歌っても、クリックがただ流れているだけでは意味が無いです。
クリックは聞き方、みたいなのを把握して聞かなければ効果がありません。
要するに、歌がクリックに対して合っている=クリックとずれていなければ良いのです。
クリックを流しながら、クリックに合わせて手拍子をしてみてください。
多分ほとんどの人がある程度合わせることができます。
クリックに合わせて手拍子をするということは、
その手拍子は4分音符です。
それができるってことは、4分音符をクリックに合わせる技術なら大抵みんな持ってるんです。
つまり全部4分音符くらい単純な構造であれば、みんなクリックと同時に頭で処理する能力がある。
じゃあなんで歌だとできなくなってくるの?というと、
先ほど手拍子した4分音符だけじゃなくいろんな音符の長さが複雑に出現するから。
右手は4拍子、左手は3拍子で動かすみたいなの流行りませんでした?
多分ああいうのと似ている。気がしてます。
歌ってる時は、歌に出てくるいろんな音符の長さを把握しつつ、4分音符(クリック)も同時に頭で処理する必要がある。
一見難しそうですが、きちんと丁寧にやればそんなに難しくない。
しかも一回感覚を掴んじゃえば一生モノです。
○具体的に考えてみる
じゃあ実際の曲で考えてみます。
みんなが知っているであろう曲で考えたいので、
となりのトトロにします。
こういうのあったので、参考にしてください。
今回はサビ前半のみ考えてみます。
便宜上ナンバリングしてあります。
サビ前半
① となりのトトロ トトロ
トトロ トトロ
② 森の中に昔から住んでる
常にクリックを流しながら歌うか、イメージしてください。
ちなみにテンポ(BPM)は130くらいなので、お手持ちのメトロノームもしくはクリックで合わせてみてください。
まず①から。
歌詞の中で、4分音符クリックと一致する場所を太字にしてみます。
(分かりづらいか…?)
となりのトトロ トトロ トトロ トトロ
太字部分を歌うときは、クリックが鳴ります。
とりあえず、太字部分は絶対にクリックから外れないように、意識して歌ってみてください。
これやるとどうなるかというと、
リズムのズレが4分クリック1拍内で絶対に収まるようになります。
徹底できれば1拍以上はズレません。
言い換えると、リズムのズレをクリックが一回鳴るたびに修正できます。
この感覚が無いと、フレーズ内でズレを修正できずに崩壊します。
ちなみに2回言う"トトロ"のうち、2回目は太字がありません。
8分音符の裏に音符が来るフレーズです。
裏と表の話は今回触れていないので、ここはクリックとクリックの間に言葉をタイミングよく入れる、くらいのざっくりした意識で問題ないです。
あくまでもクリックが鳴る位置が大前提。
じゃあ次は②。
もりのなかにむかしからすんでる
同じく、4分音符クリックと一致する場所を太字にしてます。
同じように太字部分をクリックに合わせて歌ってみてください。
前半(森の中に)はほぼ4分音符でしか構成されてないので、多分簡単。
後半(昔から住んでる)部分は8分音符でびっしり埋まります。
多分だけど、大抵の人はこういうとこでハシる(早くなっちゃう)。
でも太字部分をクリックに合わせれば1拍でズレを修正できるので、このフレーズならほぼズレずに合わせられるはずです。
○これ、どういう作業なのか
先ほどの作業は、
① 自分の歌(演奏)の音符と、4分音符を並行して頭の中にイメージし、
② 相対的に、かつ安定して処理をする能力
このリズム感の定義に沿った訓練です。
①は、クリック(4分音符)と一致する部分を太字にしたこと。
②は、実際に太字部分をクリック(4分音符)に合わせて歌うこと。
こういう感じに対応しています。
自分が歌いたい曲で、同じようにこの作業をしてみてください。
ていうかそれをやって欲しくてこれ書いてます。
最初は紙に歌詞を書き出して、クリックと一致するところをマーカーで色付けするくらいしっかりやっちゃって良いです。
最終的には全部の工程を頭の中でイメージできればベスト。
わかんなかったらTwitterのDMでも飛ばしてくれれば一緒に考えます。
○今回はこれでおわり
今回は以上です。
本当にめちゃくちゃ基本的なことなんですが、リズム取りづらい曲であればあるほど、一回ここに立ち返れば攻略しやすい。
ちなみにクリック聴いて合わせるときは、自分の歌がクリックにジャストすぎてクリック聞こえないわ!くらいシビアに合わせてみてください。
(モニター環境によってはそんなことできないかもです)
一曲通してクリックとズレずに歌いきれるまで頑張ってみてください。
徹底できれば、分かりやすく音源のクオリティ上がります。
重ねて言いますが、わからなければTwitterにDMください。
あとこういうのnoteに書いてよ、とかもあれば聞きたいです。
以上。
楽しく音楽できるように祈っています。
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