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「鬼滅の刃無限列車編」から見る煉獄杏寿郎と猗窩座の対照性

日付は変わってしまったが、昨日12/10(土)に「鬼滅の刃無限列車編」がテレビで放送されていた。

映画公開時から早2年以上経つが、あの時の盛り上がりっぷりは今思い出しても凄かった。私もその一員であり、映画館に3回ほど観に行ったことも記憶に新しい。あの頃の私は本気で煉獄さんが好きだった気がする。笑

無限列車編を観ていつも秀逸だと思うのが、煉獄杏寿郎と猗窩座の対比表現である。

原作の話も含まれるので、アニメ派の人はネタバレになるのでご注意を。

煉獄杏寿郎は作品の中で、熱く真っ直ぐな男として描かれ、後輩炭治郎の指針となる存在である。
「俺は俺の責務を全うする、ここにいる者は誰も死なせない」
この台詞は有名なものだが、無限列車の任務中、この信条を胸に多くの一般乗客の大切な命、まだ鬼殺隊に入って間もない後輩たちの命を、体を張って守る姿に涙を流した人も少なくないだろう。

煉獄杏寿郎vs猗窩座の闘いの際、猗窩座は弱い奴は嫌いだと言う。
そして、陽の光が上がってきた頃逃げるように去る猗窩座に炭治郎が言葉を放つ。

以下、引用。

「逃げるな、卑怯者!」
「いつだって鬼殺隊は、お前らに有利な夜の闇の中で戦っているんだ!」 
「生身の人間がだ! 傷だって簡単には塞がらない!失った手足が戻ることもない!」 
「逃げるな馬鹿野郎!馬鹿野郎!卑怯者!」 
「お前なんかより煉獄さんの方がずっと凄いんだ! 強いんだ!」 

「煉獄さんは負けてない!」 
「誰も死なせなかった!」 
「戦い抜いた!」 
「守り抜いた!」 

「お前の負けだ!煉獄さんの!勝ちだ!」

この言葉に猗窩座は血相を変えてブチギレながら逃げるのだが、私はこの炭治郎の言葉と猗窩座の対照性にハッとする。

人間だった頃、誰よりも強くなって守ると誓った大切な道場の人たちを『死なせてしまい』、自分を変えてくれた大切な道場もめちゃくちゃにしてしまい、何一つ大事なものを『守り抜けなかった』猗窩座。
誰よりも強く戦い抜き、すべての人を『死なせず守り抜いた』煉獄杏寿郎。
猗窩座と煉獄杏寿郎、この2人は対照的、対比的に作品内で描かれている存在である。

この2人の対照性が見事に描かれていると共に、この炭治郎の台詞に猗窩座がブチギレる意味が今はわかる。
深層心理のうちに、自分の過去が、そんな「弱い」自分が、許せなかったのだろう。鬼になってまでも「誰よりも強くなる」という愛する人との約束に縛られ、「強さ」に固執し、闘い続ける猗窩座を見ていると、胸が痛くなる。

来年の4月には「刀鍛冶の里編」のアニメもスタートする。
また鬼滅の刃の神作画が見られると思うと楽しみが膨らむばかりだ。

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