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遺書じゃないんだ


もしわたしがしんだら、家族の夢に出てあげようと思っている。

今日はなんだか、言葉で残しておかなきゃいけない気がするからぽちぽち打ち込んじゃう。
ネガティブな内容もあるし、本当に自分へのメモみたいなものなので気にしないでください。

もし、夢に出られるのなら、


ママには、当然感謝の言葉を伝えたい。
きっとママの夢に出てくるわたしは、まだ耳に穴は空いてないしちょっとぽっちゃりしてるかも。
わたしは全然気にしてなんか居なかったのに、歯科矯正を小さい頃からさせてくれてありがとう。大人になってようやく歯並びの大切さを知ったよ。当時は痛いし邪魔だからヤダって何度も文句を言ってごめんなさい。
ママは歯並びが悪いのをすごく気にしていたのに、自分より先に、わたしに施術を受けさせてくれたね。あとからおばあちゃんに聞いて驚いたけど、ママは小さい頃に歯並びで悪口を言われてたんだね。わたしが同じようにいじめられないように、お小遣いから何十万もかけて守ってくれたんだね。

自分が子宮頸がんになったときも、わたしや弟に一切話さずにひとりで手術に行ってたね。
軽度だったから日帰りだったけど、帰りは麻酔が効いて運転できないからタクシーで帰ってきたよね。学校が終わって家に帰ったら、ママの車はあるのにママがいないんだもん、ついに家出したのか?って内心ヒヤヒヤしてたけど、いつも通りの笑顔で帰ってきて安心した。
今日はお惣菜でごめんね、実はお母さん、お友達と外食してきちゃったからごはんはいらないんだって申し訳なさそうに謝っていたけど、それを信じ切っていたわたしは頭が悪かったね。

天然で抜けてるように見えるママだったけど、本当はすごく頭が良くてわたしの知らない世界で活躍していたんだね。
仕事に家事で大忙しだったママと休日にお出かけできるのは稀だったから、わたしはもう高校生だったのに彼氏とデートするのか?ってくらいお気に入りの服を着て髪の毛を結んで、日曜の朝を待ったんだ。
わたしは色んなところ、雑貨屋さんやカフェ、友達と流行っている場所を教えたくて連れ回しちゃったけど、どこに行っても会社用のケータイがずっと鳴ってたね。
その度にワンコールで電話に出て、しばらく話し込むママが嫌いだった。せっかくのわたしとの時間なのに、どうして仕事を優先するんだろうって本気で思ってた。
急にお仕事になっちゃったから、一旦お家に帰ろっかって申し訳なさそうな顔で車のキーを取り出したママに、わたしは自分で歩いて帰るから別にいい。行きたいところまだたくさんあるしね。って捨て台詞を吐いてわけもなくブラブラして帰ったけど、やっぱり家には弟しかいなかったや。

一緒に住んでいたころはたくさん喧嘩もしたし、なぜか大喧嘩中なのに同じ時間にウォーキングに行って家の周りを早歩きしながら怒鳴り合ってたね。

大学生で一人暮らしをはじめると、ママの良いところしか思い出せなくて毎日実家に帰りたいと思ったよ。
ひとりだとごはんを作ってもおいしくない。
ママと弟に、おいしいじゃん!いつの間に料理できるようになってん?!って褒めてくれるもらえるのが1番のスパイスだったんだね。
1人の生活になって6年が経ったけど、コンビニごはんばっかりだよ、恥ずかしいや。

久しぶりに実家に帰ったら、知らない家になっててびっくりしちゃった。
当然わたしの部屋なんて無くなっちゃってたけど、テレビ台に懐かしい写真やわたしの描いた絵、母の日のプレゼント、大事にしていたぬいぐるみ、そんなものがずらっと並んでいて祭壇みたいになってたね。
オタクの誕生祭じゃん(伝わるかな?)、って言ったら、?、ママはあなたのオタクだからね〜!って笑ってくれた。

ママのつくるからあげは本当に世界で1番おいしかった。全国1位金賞受賞!みたいなキャッチコピーの唐揚げ屋さんに何度も行ったけど、絶対にママのつくったやつのほうがおいしかった!1回レシピ特集に載せられてたもんね、お醤油の瓶ににんにくを漬けて、冷蔵保存するんだよね。この調味料は天才すぎる。
揚げたても、お弁当の冷えたのも最高だった。成人して初めて帰ってきたときの夜ご飯もからあげで、ビールにも合うんだ〜!って感動したんだ。

大学4年の時、実はわたし虫食って卒論書いてる…って告白したらものすごい顔してたね。
ちょっと間が空いて、それから
「いつかはやると思ってたわ…」って
爆笑してたな。
あんたちっちゃい頃から蜘蛛とか蟻を食べようとするんだから、全然目が離せなかったのよって地獄のような思い出話もしてくれた。
貴重な学費を使って虫食べてる娘を受け入れてくれてありがとう。

数ヶ月前まで、わたしたち1年間連絡を取り合わない冷戦が続いてたよね。
たしか、ママがわたし名義でたくさん保険に加入してくれてて、それにわたしが文句を言ったんだ。
ママは、わたしが病気や怪我をしたときのために善意でしてくれていたし、振込先も全てわたしになってた。
けど当時のわたしはすでに精神疾患を患っていたし、でもそんなことをママに打ち明けられなくて。だから、どうせ病気になってもママには言わないから契約金の無駄だし解約しちゃいなよって言ったんだ。
するとママは、「ママのことを家族として認めてくれてないの…?あなたの保険金目当てだと思ってる…?あなたが怪我をすればいいって、そう考えてると思ってる…?」と電話越しに泣いてた。
それで関係が拗れちゃって、仕事をやめたことも、都会で生きにくくなったことも伝えられずじまいだった。

何がきっかけだったかは忘れたけど、最近は庭のお花の写真やコロナのニュースについて話しかけてくれるようになった。帰る場所がまだあるなあって安心してるよ、ありがとう。


次、弟君

昔からぼこぼこに蹴り倒したりおもちゃ壊してごめんなさい。ポケモンパンのシールだけ奪い取ってごめんなさい。なんでもわたしの真似っ子をするおまえがウザかったし可愛かったよ。
何に関しても「おねえちゃん、すげー!!」ってわたしを神のように崇めてくれてありがとう。今はちゃんと働いて毎日がんばってるおまえのほうがすげーよ。

修学旅行中にたまごっちが死んで、中学生なのに静かに涙を流すおまえに「このたま殺し!」とか暴言吐いてギャン泣きさせてしまったな。
周りからはおまえら姉弟は全然似てないなって言われてたけど、部屋に出たゴキを殺さずに逃がす方法を思案していたおまえは相当わたしと似てると思ってるよ。

実はな、おねえちゃん奨学金もらってたけど大学の授業料が途中から免除になったから余った分貯めてあるんだよ。
おまえはいつか自分のお店を持ちたいって言ってたけど、はした金かもしれないけど良かったら使って欲しいな。暗証番号はおまえのとある学年の時の出席番号だから、利用停止になるまえに何とか正解を探して引き出してくれ笑

田舎しか知らないおまえだけど、怖がりで県外に出るのも恐れてるおまえだけど、もしわたしが将来大金持ちになったら銀座に店出させてやるからな。このまましんだらまじではした金で申し訳ないわ。看板くらいしか作られへんやろ。


最後にお父さんへ

お父さんの知ってるわたしの最後の姿は、まだ制服を着てるよね。
実はわたしアル中ばりに酒を飲むようになってたよ。まあママとお父さんの子供だから当然か。弟君もすげー酒飲むよ。
今どこで何をして生きてるのかはわからないけど、最後にちょっと顔を出すくらいならしてあげてもいいかな。
1度、大晦日に弟と一緒にお父さんのアパートに遊びに行ったことがあったね。
職場で貰った大きなブリを小さいキッチンで捌いて、笑ってはいけない24時を見ながら3人で食べたね。お父さんはビール飲むけど、おまえたちが何が好きかわからなかったから…ってコーラ、烏龍茶、緑茶、スプライト…色んなものを用意してくれてた。
部屋はすごく狭くって、床も綺麗じゃなかった。ベッドもなくて、カーペットの上に毛布を敷いて雑魚寝したね。これが独り身の中年男性の家かあって、現実味がじわじわと押し寄せてきてわたしは夜中にひとりで泣いてしまったよ。きっと同僚たちとの会話の中で子供の話、奥さんの話、たくさん出てくると思うけど、そんな時お父さんはどんな顔をしてその場を凌いでいたの?

弟君とお父さんは仲があんまり良くなかったけど、弟君は時々「あのジジイ元気かな〜」って珍しく汚い言葉で心配してるよ。
もし本当にひとりで辛くなっても、きっと彼はまた会ってくれるから安心してもいいよ。

ひとつ、謝らなければいけないことがあるね。
おじいちゃんのお葬式に出られなくてごめんなさい。おじいちゃんはわたしと弟、この2人の孫しかいなかったから猫可愛がりしてくれてたね。お父さんの子供時代は最恐に厳しい親父だったって何度も言ってたけど、孫からみたおじいちゃんは神父様みたいだったよ。
本当はちゃんとお葬式に出席して、ありがとうって言わなくちゃいけなかったんだけどね。
如何せん距離が遠かったし、卒論に追われて考える余裕がなかったんだ。
それに、昔より小さくなったお父さんにもう一度会う勇気がなかったんだ。
それはわたしのほうで謝っとくね。
多分わたしは地獄行きだけど、聞いた話おじいちゃんも相当やってるはずだから再会できると思う!笑


これくらいにしておくけれど、
決して自〇しようとか考えていないので
安心してください…笑
今思ったことを残しておかないと、いつかなにも思い出せなくなった時の道標が無くなってしまうので書いているだけです。

嫌なことはあるけど全然平気なので、
もうだめだ〜ってなったら
それはそれできちんとした形で
書面に残すと思う。
今はまだ元気すぎる!

薬が効いてきて、うとうとしてきたのでおやすみなさい。

ここまで読んでくれた方、ありがとう。

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