初めての物理的相合傘…。

突然だが、読者の皆様の中には、学生時代黒板に相合傘を書いて好きな人と結ばれるようにと願いを込めた方もいるのではないだろうか。もしかしたら、黒歴史の一部と化しているかもしれない。
しかし、黒板の相合傘の話は今回はするつもりはない。今回したいのは私が、物理的に相合傘をせざるを得ないというかしてしまった時のこと話である。
あれは、大学1年生の3月のこと。サークルの練習日のことだった。その日は確か、雨が降ったり止んだりなんだかはっきりしない天気で、私は建物を移動する際、傘を持っていくかどうかにいちいち悩んでいた。
しかし、事が起きた。何と私が傘を持って行かなかった時に、本降りの雨が降ってきたのだ。
「ああ、降られてしまった。」そう思ったが、その瞬間、雨が止んだ。(正確に言うと、傘をさしてもらっていた。)
相手は、同じサークルの人。もともと人見知りが激しい私は、その人とすごく親しいと言えるわけではなかった。さらに、私にとってはおそらく初めて(家族を除いて)のことだったし、その人は男子だった。
私は、絶対なんか言われるし、見つかりたくないと思いとっさに半分だけ傘に入った。「何してんだ。」とその人には言われたが、「半分だけ濡れるのも面白くない?」と冗談めかしく言って本心をごまかした。それから、建物に入るまでずっと半分濡れ続けていた。入るというところになって、私は「ありがと。」と後ろめたさとそれから少しの恥ずかしさを感じながらそう言った。
正直、嫌だったわけではない。恥ずかしかったのだ。「男女」が一緒に一つの傘に入っている様子を誰かに見られることが(濡れてしまう煩雑さよりも)。
本降りの雨の中、傘をささずに歩いている人(知人)。そして、傘を持っている自分という状況なら確かに、私でも傘をさすと思う。しかし、相手が異性だったらどうだろう。私なら、半分濡れて歩くのではないだろうか。一つの傘に入ると、どうしても体が近づく。密近(3密の一つ)だ。それが、異性であれば私には、なんとなく世間の目(め)的に恥ずかしさを感じるのである。そのため、少し離れたいと思わざるを得なくなってしまう。
当時の彼のやさしさには感謝してもしきれないし、あの時の私の感情のまま動いた「半分濡れる行動」には迷惑をかけたと思っている。深く陳謝する。
けれども、恥ずかしく思うのはまだ治らないというかこの社会で生きていくにあたっては、持病のようなものであると思うので、予防に傘を持って歩くこととする。


8月31日。8月も終わりですが、まだ暑いです。今日は雨が降りそうですが、お出かけしたいです。Twitterに出すのが恥ずかしかったので、リンクは貼っていないですが、読んでくださった方ありがとうございました。創作?ときかれたことがあるのですが、最初の投稿を除きすべて実話です。

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