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赤子録 その3

これは言っても詮無きことだ。

自慢じゃないけど、なんて言わない。
自慢だけど旦那さんには恵まれた。家事も育児もよくやってくれるし、おまけに私のことも大切にしてくれるとても良い旦那さんだ。
お義母さんにも恵まれた。付かず離れず良い距離で、お互いに心地よい会話をしながらニコニコできる良い関係を築けている。

そんな義家族と共に、赤子のお食い初めを迎えた本日。
世間でよく目にする義家族ともやもやを抱える嫁のようなことを、私も考えてしまった。
だって、みんなが口々に言うんだもの。
「あら、この子はうちの家系似ね!」「○○さんに似てるわ」って。
いやいや、いいんだよ。
お義母さん喜んでくれるの私も嬉しいし、実際そちらのお家似の部分あるし、私は自分の顔が嫌いだから似ないでくれと思う部分もあるし。
それでもいいんだけど、でもさー、思うのよね。赤子のDNAの半分は私のものだから、誰か少しは私に気を使っても良くない!?って。

ではそれは誰か。
私の隣で「そうかもねー」ってニコニコ笑っているそこの君。そうだ、旦那さん。君だよ。
君は良かったなぁ、義家族のそんな会話を聞く機会が永遠に訪れなくて。
『いやいや、そこはうちの家系似ではございませんかね!?』と内心でつっこみ続ける疎外感を感じないで済んで。
うちの親父が生きててみろ。絶対に「この子はpwccaに似てるなー!そっくりだなー!」って五月蝿かったぞ。
(そして私が「旦那さんにも似てんだろ、黙れよ」って黙らせたハズだ。)

最初に言ったとおり、これは言っても詮無きことだ。
私に両親はいない。もう、いない。
子供の顔を見せることも、ない。永遠にない。
羨ましいだけだと分かっている。ただの嫉妬だ。
でもそれと同じくらい、君は良かったなぁ。私と同じ悲しみを味わわずに済んで。お義母さんに孫の顔見せられて本当に良かったなぁ。頑張って産んだ甲斐あったよ――とも思っていることも併せて書いておく。
何度でも言う、これは言っても詮無きことだ。
ただどこかに吐き出さずにはいられなかった、聞く価値もないただの愚痴だ。

とりあえず、私がこっそり自分の機嫌を取るために本日の値引きハーゲンダッツを買ってきて貰うことにした。
それくらいは許されろ。

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