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太陽光パネルの処分方法の実際

太陽光パネルの廃棄に際しては、産業廃棄物としての処分が必要であり、法令や関連する各種ガイドラインの遵守が求められます。
実際に廃棄する場合には、処理を委託する中間処理業者を確認し、必要な情報などを提供する必要があります。

今回は太陽光パネルの廃棄に関して、注意すべき点を中心に紹介していきます。

太陽光パネルの中間処理業者を探す

インターネットが普及した現在、何か探しごとがある場合には検索サイトで情報を検索・入手するのが一般的です。
しかし太陽光パネルを適切に処理できる事業者、特に近くの事業者や比較をしたいなど、必要な情報が中々見つけにくいのも事実です。

現在、全国で40社程度の産業廃棄物処理業者が許可を取得しリサイクル事業を営んでおり、今後も各地で増えると見られています。(PVリサイクル.com®調べ)

以下のWEBサイトなどで、処理業者を探すことができます。

なお排出事業者自らが運搬できない場合は収集運搬業者へ運搬を委託する必要がありますが、この場合も許可を持つ事業者への委託が必須となります。

排出事業者の責任とは

太陽光パネルが破損・故障して処分する場合、排出事業者により産業廃棄物として法令に基づいて適切な処分が定められています。(関連記事
通常、排出事業者(ゴミを捨てる人)は自らにおいて適正な処理ができないため、中間処理業者に委託する必要があります。

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)第3条第1項において、事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならないとされており、また、同法第11条第1項において、事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならないとされています(排出事業者責任)。
 廃棄物処理業者に産業廃棄物の処理を委託した場合であっても、排出事業者に処理責任があることに変わりはありません。廃棄物処理法第12条第7項では、事業者は、産業廃棄物の最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととされています。不適正な処理を行う廃棄物処理業者に委託していたことが明らかになれば、排出事業者も廃棄物処理法の措置命令の対象になる可能性があるとともに、社名等が公表され、コンプライアンスを十分に果たしていない事業者として社会的な評価を落としかねないリスクを十分に認識する必要があります。

引用元:環境省

適正な処理業者か確認する

処分を委託する事業者が適切な処分を行うことができるかを、事業者のWEBサイトや産業廃棄物処分業の許可証など確認する必要があります。
許可証や事業の状況などを公開している企業も多くあり、WEBサイトから検索・確認することもできます。

PVリサイクル.com®では、処理業者の許可証等の公開されている情報へのリンクを掲載しています。

廃棄に必要な情報を集める

廃棄処分を委託するのにどの様な情報が必要かは、中間処理業者に問い合わせて確認する必要があります。
一般的には、以下の様な情報が最低限必要になります。

太陽光パネルの仕様、型式、サイズ、数量、破損等の状態

処分する太陽光パネルの種類や数量、破損状態を確認します。
一般に普及している結晶シリコン系太陽光パネルであれば殆どの中間処理業者で対応できますが、化合物系太陽光パネルは対応できない処理業者もあるので確認が必要です。(関連記事
また住宅用の太陽光パネルはサイズや形状が特殊なものもあるため、注意が必要です。

梱包方法、排出場所の状況、運搬車両のアクセス可否

収集運搬を委託する場合、車両のアクセスや梱包状態などを確認する必要があります。

太陽光パネルの有害物質の情報

適正な処理のために排出事業者から処理業者へ廃棄物の性状(重金属等の含有等の状況)等の詳細が記載された廃棄物データシート (WDS:Waste Data Sheet)の提供を求められる場合があります。(参考:WDSの例

個別のパネルメーカーに確認することは困難と考えられる為、太陽光発電協会では有害物質の含有状況の情報を提供しているパネルメーカーを公開しています。

結晶シリコン系太陽光パネルについては、各メーカーともに構造がほぼ同じであり有害物質が含まれる可能性のある部位も特定されているため、WDSが無くても受け入れ可能な事業者は多い様です。
しかしながら、WDSの要否はそれぞれの処理業者に確認が必要です。

処分費用はどの程度?

一番気になる太陽光パネルの処分費ですが、1枚当たり概ね3000円程度(結晶シリコン系太陽光パネル、60セル)の様です。(参考:環境省報告書
処理業者により処理委託費用は異なり、また太陽光パネルの仕様や状態に依っても費用は変わりますので、確認が必要です。

なお上記価格に比べて極端に安価で処理を受託する処理業者があるという話も耳にしますが、どの様な処理・リサイクルが行われているのか排出事業者の責任で十分確認する必要があります。

まとめ

太陽光パネルの廃棄にに限らず産業廃棄物として処分する場合には、排出事業者の責任で適切に処分することが法令で定められています。
実際の処分においては中間処理業者に処理を委託することになりますが、排出事業者として適切な処理が行われるか管理を徹底する必要です。
また実際の処理委託に際しては必要な情報を提供する必要があるため、事前に処理業者との間で確認することが求められます。



その他の太陽光パネルのリサイクルに関する各種情報やニュースが、こちらからご覧いただけます。



参考資料

PVリサイクル.com®:太陽光パネルのリサイクルが可能な中間処理事業者
PVリサイクル.com®:リサイクル事業者一覧
産業廃棄物処理事業振興財団:さんぱいくん(産業廃棄物処理業者検索)
太陽光発電協会(JPEA):適正処理・リサイクル関連情報
太陽光発電協会(JPEA):「使用済太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供のガイドライン(第1版)」に基づき自社ウェブサイトにおいて情報提供しているとの連絡が当協会宛てにあった企業一覧
環境省:排出事業者責任の徹底について
環境省:令和3年度使用済太陽電池モジュールのリサイクル等の推進に係る調査業務報告書
経済産業省:再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会 (第3回)