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住友商事、系統用蓄電池を活用した持続可能なエネルギー戦略

住友商事が北海道千歳市に建設した系統用蓄電池は、電力供給力を売買する「容量市場」を活用する初めての事例です。この蓄電池は、容量市場および需給調整市場を活用することで、再生可能エネルギーの効率的な利用と収益力の向上を目指しています。

容量市場と需給調整市場の活用

  • 容量市場
    住友商事は、この市場において4年後の電力供給力を売買し、1年間の収入を得る仕組みを活用します。住商は21年度から連続して入札に参加しており、千歳の蓄電池が持つ供給力を25年度以降に提供することが決定しています。

  • 需給調整市場
    蓄電池が稼働した23年からは、需給調整市場にも参加しています。この市場は、短期的な電力需給の調整を行い報酬を得るもので、翌日などの電力量を取引する卸電力市場の活用も検討中です。

再生可能エネルギーと系統用蓄電池の役割

北海道では再生可能エネルギーの急増により、送電線の空き容量が不足しています。これにより、太陽光や風力発電の出力制御が必要になる場面も出てきています。系統用蓄電池を活用することで、需給に応じた電力の充放電が可能となり、再生エネの無駄を防ぐことができます。さらに、蓄電池は大型の火力発電や原子力発電に比べて迅速に電力を供給できる利点があります。

千歳市の蓄電所の特徴

千歳市にある蓄電所は、住友商事にとって初の商業利用の系統用蓄電池です。蓄電池には日産自動車の電気自動車「リーフ」のバッテリーが使用され、新品と中古を半数ずつ採用しています。バッテリーの不調時には、電池パックを個別に取り換えることが可能です。また、稼働状況は東京の本社からも把握できるようになっています。

将来的な展望

住友商事は、道内での系統用蓄電池事業の拡大を視野に入れており、他の事業者も道内での参入を検討しています。現在、北海道電力ネットワークへの申し込みは全国の約2割を占めており、23年5月末比で約3倍に増加しています。しかし、送電網の空きが少ないため、計画通りに接続できない場合もあります。

住友商事は、全国で予定する系統用蓄電池案件について、送配電会社から系統連携の枠を確保しています。今後、30年度までに最大2000億円を投じ、総容量最大200万キロワット時の蓄電池を整備する計画です。電源開発から電力小売り、蓄電池の製造からリサイクルまでを担える体制を強みとし、中長期的には蓄電池事業を安定した収益源として育成する方針です。

#再生可能エネルギー #系統用蓄電池 #容量市場 #電力需給調整 #住友商事
【日本経済新聞より】住友商事、電力「容量市場」を活用 北海道千歳の蓄電池で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC02BNK0S4A700C2000000/


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