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誰かの便利が、誰かの新たなお困りごとに?_0027

便利、便利、便利な世の中ですね。便利すぎて泣いてしまいそうです。

携帯電話の通信網って、広まっただけじゃなくてかなり安定してきていませんか?
自身のスマホが圏外になることは稀ですし、相手の電波が悪くて通話が途切れるということも少なくなっている気がします。
インフラがどんどん整備・確立され、実際に私たちが手に取る機器もそのスピードに追いつけない程に進化していっていますね。

携帯電話でいけば、まず携帯端末が安価で手に入るようになりました。十分なスペックのものが1万円以下で購入できて、最短で明日には玄関前に置き配されています。通話・通信料金も安くなりました。通話プランにはかけ放題が準備されていて、通信料も青天井ではないので、昔で言うところのパケ死をせずに済みます。

加えて、デジタルコミュニケーションを十分に気軽に取れるアプリも盛り沢山ですね。

とにかく、便利になっていることを肌で感じます。
携帯電話に関しては、便利で、安価で、その結果として生活必需品のポジションを確固たるものにしたことで、それを持つことが当たり前になっています。
スキマバイトをやってみて思いますが、その「当たり前」により、労働する上でも携帯電話は必須品になっていますね。Android OSかiOSを搭載したスマホがないとマッチングサービスを利用してスキマバイトへ応募することもできません。

マッチングサービスに限らず、一般的な応募においても携帯電話の存在は欠かせないのではないのかな、と思っています。

例えば、仕事に応募する時点で携帯電話が(実質的には)必須になるでしょう。
もちろん、本人への連絡先として固定電話を記載しても応募自体はできるのでしょうが、はたして募集企業がそれをどう受け取るか?という意味合いにおいて(実質的には)必須と認識しています。

また、就労後の業務連絡用ツールとしてLINEグループなどを用いるケースがありますね。「スマホを持っていない」と言うと、「えっ、LINEやってないんですか?(え、どうしよう)」みたいな声が聞こえて来そうです。

プライベートでも用いるアカウントを業務で使用するのはどうか?という考えもあって、業務連絡用にSlackやChatWorkやTeamsを用いるケースも見られますが、それらもまたアプリで動作しますので、やはりスマホは必須になりますね。

ちなみに、

多様性の時代だろ!ダイバーシティをインクルージョンって企業Web Siteでも謳ってるじゃねえか!固定電話でもいいだろ!!

みたいなことはこれっぽっちも思っておらず、そういうことを叫びたい記事ではありません。
私自身もまた「えっ、仕事をご一緒するならスマホやPCへの最低限のITリテラシーがないと本当に困るんですけど・・・」と思う側です。

当時、操作を覚えるのが億劫だっただけなのかも知れませんが、主義思想により「特定の国が開発したサービスは使わない」という方が過去にいました。そのことでその方だけ連絡するツールが異なり、一斉送信が「一斉+ひと手間送信」になるという、便利と不便のコラボレーションも経験済みです。

ここで申し上げたいのは、スマホがなければ生活を支える労働という面でも圏外的な存在になってしまう方がいるという事実です。なので、記事の後で出てくる手続き困難者とあなたがもし出会うことがあれば、この記事も少しでも思い出して頂けたら嬉しいです、というのがこの記事の趣旨です。

なお、「手続き困難者」とは今さっき私の中で生まれた造語です。その先には「通信困窮者」という言葉がありますがこちらはメジャーなものです。
良さげな記事があったので詳しくはこちらをご覧ください。

『現代社会における新たな排除-通信困窮者の存在』2023.02.07 Opinions
https://web-opinions.jp/posts/detail/593

生活困窮を主な原因として携帯電話を所持できなくなった方々が「通信困窮者」とカテゴライズされているわけですが、その一歩手前に、「手続き困難者」という状態もあるな、と感じることが最近ありました。

SoftBankで契約したガラケーをお持ちのAさんは、SoftBankの3Gサービス終了によって2024年2月以降からガラケーが使えなくなることを知ります。これを機にスマホに変えようとお考えになり「月額が安いのにしたい!どこの会社のやつがいいの?」ということで私の友人のBさんに相談。Bさんもそんなことは知りませんので、私に出動依頼。Aさんとは共通の友人であったBさんを通じて知り合いました。

安いだけじゃなく、料金確認などのサービスが分かりやすい!という点で、個人的にはLINEMOを最推ししています。今回もLINEMOをおすすめしましたが、その申し込み手続きはWebで行う必要があります。

ガラケーでLINEMOに申し込めるのかは不明ですが、PCがあった方がサクサク申し込めるでしょうから、PCを持参して訪問。一緒にプランやオプションを決めながら申し込みを行いました。

このようなお手伝いは初めてのことではないのですが、改めて確信するのは、ITに馴染みのない方がこれらの手続きを自己完結するのはまず無理だな、ということです。

当然のことですが、全体として便利になっていこう!という全体最適の取り組みにの影には、それについていくことができない、あるいはその準備をする機会がなかった一部の人が生まれるわけですね。

そのような場合に気軽に対応してくれる存在(家族、親戚、おせっかいなご近所さん、職場仲間、友人や恋人)がいれば何も問題ありません。むしろ、そのお手伝いはコミュニケーションの良いきっかけにすらなります。

しかし、それらの存在がなければお手上げですね。他の条件も加われば、手続き困難者から通信困窮者へシフトすることになるでしょう。

今回の例において、Aさんが自己完結できなかったであろうと思われるリストです。

  1. 通信事業者が提供するサービス内容をWebで収集すること

  2. 申込時に必須になるメールアドレスを取得すること

  3. 身分証明書を写真で撮影してアップロードすること

  4. 申込後の審査結果をメールで確認する方法

念のためですが、これは一般的なWeb申し込みの話であって、LINEMOだけのことを言っている訳ではありません。LINEMOには電話応対をするカスタマーサポートもあり親切・丁寧・分かりやすいというのが個人の印象です。

メールアドレスがないだけで享受できるサービスが非常に限定されますよね。手続きやコンテンツがWebにどんどん移行して便利になる中、逆に、メールアドレスがないだけで相対性不便のどん底になります。

このあたりでも、利便性を追求することへの小さな葛藤みたいなものがあります。

昔は楽でしたよね。ショップに行って店員さんに丸投げができて個々への対応が手厚かったですから。分からない人が取り残されることのない環境だったかと思います。

一方で、個別対応を求められることによって致命的に疲弊するスタッフの存在というのも、自身の経験も踏まえて理解しています。また、企業が一部のカテゴリに属する顧客満足度より全体最適を優先することも支持します。

サービスの提供者・利用者双方の視点をそれなりに持つことができたので生まれるのが小さな葛藤です。どうしたらいいんでしょうね??

いま、私が片手間にやっているのが、このようなちょっとしたお手伝いです。対価はお断りしていくスタイルのボランティアです。
無償ボランティアの素晴らしいところは、相手の要求が強くなったり、その幅が広くなったりした時に
「知りませんよ、こっちは対価を一切いただかないんだから求め過ぎないでくださいね」
と気軽に言える環境にあることですね。そのようなリスクヘッジ的なこともしながら、好きな相手に、好きな時だけ、好きな分野のお手伝いをして、承認欲求を補充しています。

ある人にとっては不得手であるITという存在によって、人生の大先輩たちとのコミュニケーションの場が生まれ、そこでの学びや気づきも少なくありませんので、それもまた大きな魅力ですけどね。

みなさまもぜひ。

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