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プリレコ11新刊『もしもこの夢みたままで』あとがき

こんにちは。酉川ぷわです。
プリレコ11お疲れ様でした。私自身は1年半ぶりの参加だったのですがすごい盛況ぶりでしたね。即売会は色々参加してきましたがプリレコは書き手買い手ともに熱量のある素晴らしいイベントだと思います。心の底から参加してよかったと思える一日でした。
そこで出した新刊がこちら。

ももみた短篇集

三篇を収録したももみた短篇集。あまり長いの書けないのもあって短篇集っていう形式はかなり気に入っててよく出してますね。短い話でもテーマ揃えて2つ3つ集めればそれっぽくなるのでありがたい。

宣伝は大事なのでいちおうboothの頒布ページも載せておきます。

当然ながらここから本のネタバレだらけなので、まだの方はもしよろしければお手にとって読んで頂けると幸いです。以上宣伝でした。

さて、普段は読了後の余韻的なやつを大事にしたくて本にはあとがき載せない派なんですが、せっかくこういう便利な場所があるのであとがき的にいろいろ書いていこうと思います。

『調整屋、十咎ももこ』

表紙をお願いしたせりざわさんが以前上げられていた調整屋コスチュームのももこのイラストから着想を得た話。調整屋になるということは願いが人を呪う性質である必要があり、それはもしかしたらアプリ本編よりもう少しだけバッドタイミングだとあり得た世界線なのかなと。妬ましい、という感情は彼女の性質から少し離れているものだとは思うんですが、失恋直後くらいはそういう感情もあっていいでしょう。それを含めて自戒の念に苦しんで、罪滅ぼしの場としてもこの世界のももこは調整屋に救われたのではないでしょうか。
実は当初はアイツの彼女になった子の命が契約の結果として交通事故で失われるという筋で書いていてほぼ完成までいっていたのですが、読み返したときにちょっと後味が悪すぎて今の形に書き直しました。分量でいうと半分くらいは書き直したんじゃないかな。ただそういう後味が悪い話も嫌いじゃないのでもしかしたらこっそりどこかに上げるかも。
ももこの調整法を魔力を選り分けて整流化していくやり方にしたのは本来の武器の大剣と、気持ちの整理をつけるための願いというところからのイメージ。結構愚直なやり方なのでたぶんみたまより効率は悪い。
オチに関してはわりと気に入ってます。この一篇はいわば調整屋ももこのMSSのつもりで書いたので、本編ももこMSSの最後のセリフで〆ることは最初から決めていました。人を傷つける願いになってしまった世界線だと少し重みが増しますしより印象的なセリフになりますね。

『絶望の味はチョコレイト』

前後の二篇の執筆が進まなくて逃れるように書き始めたら案の定最初に書き上がった作品。一番悩んだのはタイトルかも。それくらい手癖で書けて笑ってしまいました。トンチキストーリー最高~~~~~。
トンチキ話は山無し意味無しオチ無しで全然いいと思うんですが、上手ぶってオチだけはつけたくなってしまうのも含めて手癖ですね。なんならもうちょっとトンチキ要素強めたかったですがいきなり謎のカメやココイチをお出ししてくる公式には勝てねえ。
柿の種の入ったチョコ、通称「柿チョコ」はご存知の方もいらっしゃるかもしれませんがマジでおいしいです。最近はそのへんのスーパーでも見かけるようになったし、新潟行くとお土産屋さんにいろんなフレーバーの柿チョコが売ってます。推しはカフェオレ味。
今作はある意味変則的な飯モノだったわけですが(本当か?)ちゃんとした(?)飯モノも書きたいですね。やるならまた飯モノ短篇集みたいな形になりそう。

『もしもこの夢みたままで』

定期的にこういう退廃と虚構の中を旅する話書きたくなるんですよね。これからしか摂取できない栄養がある。場面の切り替わりが多いのはアニレコ2期3話のいろはのドッペル結界回をリスペクトしています。アニレコの結末を幻視したみたまのドッペルが見せた世界はアプリマギレコの形を模倣していて、タイトル画面から入ってガチャ画面から元の世界に出ていく……という設定だったんですがうまく伝わるように書けていただろうか……? 時間軸的には1期中盤あたり。もう少し明示的に記述すべきだったかもしれないですがあまりはっきり書きすぎても野暮なので難しいですね。ふわっと匂わせる程度がすき。
この話を経た二人はアニレコ時空でももう少しだけ幸せな結末に進めるんじゃないでしょうか。そう信じています。でもなぁ……あそこで魂を捧げることができちゃうのが十咎ももこなんだよな……。アニレコFinalSeasonは個人的にはかなり好きです。最後の一話だけは尺足りてなさすぎとは思うけど。
前半、電波塔のくだりあたりまではあまりエモーショナルになりすぎないように意識して書きました。いかに淡々と、しかし美しく退廃や寂寥を描けるかがポイントだと思うので精進していきたい。
浜辺とハロウィンのパートは前述した「場面の切り替わり」で表現するために尺も予め決めてて調整が難しかったところ。ページを捲るという動作で場面の切り替えを印象づけるやつはよくやるんですが意識して連続で使うのははじめてだったのでうまくできてたらうれしいですね。
問題なのはバトルシーン。バトルシーンって書くのほんと苦手なんですよね……難しすぎる……。キャラクターや場面の動きに文章力が追いつかねえ。ここに関しては本当に漫画描かれる方が心の底から羨ましいところ。バトル上手く書ける文字書きさんは神だと思う。なので(意外とあっさりバトル終わったな?)と思われた方ごめんなさい。次またバトルシーン書くことがあったらもうちょい頑張りたいです……。
ご存知の方も多いと思いますが「メメント・モリ」って自戒の言葉なんですよね。そういう点においても二人の魂の本質は近いところにあるんだけど、打ち明けない限りはそれに気づけない。二人の感じているお互いへの居心地の良さはこれに起因するところもあると勝手に思っています。
あと最後にタイトルは「ももこ」「みたま」の文字を入れたくてこうなりました。一応タイトル回収もできたし語呂もいいのでわりとお気に入りかも。

おわりに

おわりにというかまずはじめに書くべきなんですが、せりざわさんにお願いした表紙イラストがめちゃくちゃ良くて(こりゃ中途半端なものは出せないぞ……)となりました。選んだ特殊紙ともマッチしてすごくいい刷り上がりになったと思います。せりざわさん本当にありがとうございます……!
本文のノドのマージンが狭くて若干内側数行が読みにくくなってしまったのは猛省点。表紙が硬めなのとページ数も70あるのでもっと余裕取るべきでした。再版分は調整し直して刷り直します。組版は奥が深いぜ。
そんなところですかね。なんかノリノリで書いてたら2800字とかなっててウケる。短いSS一本分じゃん、と思ってバレンタイン話の字数見たらちょうど同じくらいだった。
また即売会で本出してこうやってwebでたのしくあとがき書きたいですね。それではまた。

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