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平泉寺白山神社から永平寺・・・その時こころのBGMは? ①

こんにちは、ぷるるです。

平泉寺白山神社と永平寺を訪ねたくて、先週ちょいと福井県まで行ってきました。
幸いお天気にも間抜けな出来事にも恵まれ、なかなか良い旅でした。
今日は、その思い出を聞いてください。

いつも通り有益情報は少なめですが、楽しんではいただけると思います・・・多分。

僕もそう思うよ!ぷるるさんの事知らないけど。

平泉寺白山神社は、白山信仰を表する白山神社の一つです。

自然を神として。


717年(奈良時代初期)、僧侶の泰澄大師は霊峰白山に登った時、山頂の「みどりが池」で巨大な龍神を見ました。
なんとその龍神は、十一面観世音菩薩の化身だったのです!!

大師は翌年に社を築き、白山妙理大権現をお祀りすることにしました。
これが白山信仰の始まりと言われています。

やがて平安時代に入ると、加賀、越前、美濃に3つの禅道場が作られました。泰澄大師が修験者だったからなんですね〜。

そのためこの3つの禅道場を元に作られた加賀の白山比咩神社、越前の平泉寺白山神社、美濃の長瀧寺白山神社は、白山神社系列の中でも特別な存在なんですよ。

私は母方の氏神様も、実家の氏神様も、今の氏神様も全部が白山神社系なのです。
ゆえに白山信仰はしていませんが、昔から白山に縁を感じておりました。
一度、この三社に行ってみたかったのです。


出かけた日はとてもお天気が良く、私は幸先の良さを感じていました。
しかし朝9時に神社へ着いた時点で、すでに灼熱地獄。

「ちょい暑すぎない?」と車から降りて即文句です。
これだから煩悩の徒は嫌ですよね。つまり私がね。

でも参道に入った途端、そんな気持ちは消えてしまいました。
ひんやりとした空気が、肌をするりと撫でたからです。

一の鳥居をくぐると空気が変わる。

でも決して『冷たい』わけではありません。
まるで掃除の行き届いた茶室に足を踏み入れた時のような。

場の清浄さが、凛とした空気が、体感温度を下げたように感じました。

この日の神社には私たちを含め、数人しかいません。
杉の大木が並ぶ中、私は心の静まりを感じつつ、ゆっくりと石階段を登っていきました。

聞こえるのは、ミンミンゼミの鳴き声だけ。

私の暮らす地域ではアブラゼミの大合唱ばかりなので、久しぶりの鳴き声に耳が喜んでいました。

立ち止まって目を閉じると、涼やかな風が頬を撫でていきます。
ここは、はるか奈良時代から続き、そして白山にもつながる道。

長い長い歴史が、私の後ろに伸びています。
それは、一人で歩いているけど、独りではないという心強い感覚を私に与えてくれました。

二の鳥居の前で、一呼吸。

その時。

心の奥底から、ふと小さな歌声が聞こえました。
まさに心のBGMといった感じです。

もしかして私の心は、この地と感応しあったのかもしれません。
ああ、まだ感受性は摩耗していなかった!

私はうれしくて、歌声にじっと耳を澄ませました。
聞こえてきたのは、こんな歌詞。

「タカスギ〜タカスギ〜、タカスギィィィ〜イイ、タカスギ〜」



ご存じない方のために、簡単なご説明を。

1960年代から2000年近くまで、社名を詩吟調に連呼する「高杉開発(現在は倒産)」のCMが、関西圏を中心に中京圏から九州まで、流れていました。

CM料の安い夕方などの時間帯に放映されていて、小学生の私は再放送のアニメの合間に、このCMをよく見ていたんですよね。


もちろん理由は、ここが杉林だから!!


パブロフの犬さながらに、杉を見るとこのCMソングが反射的に流れる・・・私の脳は知らぬ間に、そんなしつけを受けていたのでした。

CMこっわ!!
そして勘弁してよ、me!

しかし忘れようとすればするほど追いかけてくるのが、THE・タカスギソング。
その力ときたら、指にアロンアルファがついた時みたい。

でも拝殿に着いたら日がさっと射し込んでくれたので、静かな気持ちを取り戻すことができました。

白山の力を感じた瞬間です。

歴史を感じるが、江戸時代の再興物


これからは心の惑いに気をつけよう・・・そう誓いながら、私は拝殿の裏にあるメインの三社にて感謝をささげたのでした。

祭神:伊弉諾尊(いざなみのみこと) ※
祭神:大己貴尊(別名:大国主命) ※
祭神:天忍穂耳尊(あめのおしほみみのみこと) ※

その帰り道。

参道にて、「かわいい!」と連呼している親子に遭遇しました。
なんと、参道と杉林を区切るロープの上に、小指の爪サイズのアマガエルが、たくさん乗っかっていたんです。

急いで撮ったらボケた。撮影者を反映して?

きゃー、かわいい!!そしてなんだか縁起がいい!!

思わず胸が弾みましたよね。
すると、このロープへさらにトンボが止まったんです。可愛さがダブルに!

私は夢中で何枚も撮影をしました。noteに載せようと考えたんです。

赤丸がトンボで、緑丸がアマガエル。

すると突然、心にBGMが鳴り響きました。
今度は最初から、パワー全開で歌っています。聞こえてきたのは、こんな歌詞。

「だ・か・ら! トンボガエリなーのだー!」


ご存じのない方のために、簡単な説明を。

昭和には2回「天才バカボン」がアニメ化されており、第二期のOPの歌詞に「トンボ」と「カエル」が出てくるのです(上の動画だと20秒あたり)。

でね、ケッコンしたら「トンボガエリになる」って、パパが言うんですよ。

私は第二期のバカボンを小学生の頃、死ぬほど見たものですから・・・。
でも周りには、穏やかな面持ちで石段を登っている人ばかり。

やれやれ。


思わず、村上春樹の決め台詞を呟いてしまいました。
そりゃバカボンは奥が深いけど、今聞きたくはないんだが。

でも、考えてみたら私は神官でも僧侶でもありませんでした。

喜怒哀楽が渦巻く場所で、なるべく良い心で過ごしたいと願いつつも、右往左往しながら暮らす市井の人間です。

だとしたら神様の足跡を訪ねながら、ついどうでもいいことを思うのは、自然なことかもしれませんよね。

「これでいいのだ!」ってバカボンのパパも言ってくれてますし。

この平泉寺白山神社で感じた清浄な夏の空気は、ちゃんと受け取れたと思います。そして小さいながらも、歴史を歩き、造るうちの一人だという自覚も。

そう思って振り返ると、平泉寺白山神社は静かにこちらを見ていました。
私はそこに苦笑いと許しを、(勝手に)感じたのでした。

おしまい


<どっちでもいいおまけ>

平泉寺白山神社は、他にも見所がいくつかあります。駆け足でご紹介を。

①元は大きな宗教都市
室町時代に最盛期を迎えたこの神社は、巨大な宗教都市でした。けれど戦国時代に一向一揆の的となり、ほとんどが焼失してしまったのです。
全体像は以下の通り。向かって左が室町時代の全体図、右が現在の地図です。

②苔の美しさに定評あり
境内には至る所に美しい苔が見られます。天然の緑の絨毯は目に優しい・・・

あー、写真がね・・・

・・・私、集合体恐怖症だから今すごく怖いです。
なんでこの写真を撮ったんだろうか。

で、でも!

一の鳥居と二の鳥居の間にあるちょっとした脇道に、素敵な場所があるんです。苔がふわっと広がって・・・

その、写真が・・・

③女神が現れた泉
この苔広場を抜けると、その先には泉があります。
ここで泰澄大師が祈っていたら、女神が現れて「白山に登ってみ?いいことあるからね」と言ったそうです。
そしたら十一面観音菩薩に出会ったんですから、すごいお告げですよね。

めちゃ澄みわたる御手洗池

④強者どもが・・・院坊跡地
一向一揆に遭う前、この神社には6000もの院坊(僧が暮らした小さいお寺)がありました。その跡地を今も見ることができます。

中世から残る石畳を歩くと・・・


かつての院坊は草原に。

諸行無常を感じずにはいられません。でもある意味、僧たちからの教えとしては良い流れの気がします。

⑤締めのソースカツ丼もここで!
福井の名物にソースカツ丼があります。由来の説明読んでも、今ひとつピンとこないけど・・・
でもソースカツ丼は大好きなので、食べてきました。
そのおすすめの店が、この神社の門前にある「そば処 まつや」!

シンプルが一番!

お米は、お店のすぐ横にある田んぼで自家栽培。
からりと上がったカツに、甘めのソースがしっかり染みて、実に美味しい。
大根のお漬物がこれまた実に、実に美味しかったです。

アイスティーを頼んだら、ちゃんと紅茶から淹れて作ってくれました。
そんなところも高得点!


長い記事を読んでいただき、誠にありがとうございました。翌日は永平寺に足を伸ばし、坐禅を組んできました。
当然いろいろなことが起こったので、次回続きを書きたいと思います。

*「※」印のある写真は、平泉寺白山神社の公式HPよりお借りしました。
 美しくてわかりやすい、素晴らしいHPです。


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