ビールに見る30代の考察
「これくらい小さいサイズがいいのよ」
そう言って極小サイズの缶ビールを買う、おばあさんを見かけた。
毎日一本、その小さな缶ビールを飲むらしい。
当時二十代だった私は
「そういうもんかね」
と、少し冷ややかな目で小さな缶ビールを見た。
月日は経って30代半ばとなった今、そのおばあさんの気持ちがわかってきた。
最近、ビールを一度に350mlも飲みたくなくなってきたのである。
冷たいものをほぼ飲まないのに、ビールだから、とよく冷えたものをちびちびと、でも350mlすべて飲んでいた。
飲み切ったときには身体が冷えて、酔いもまあまあまわって、何もしたくなくなる。
なぜそうなったかと言えば、はじめは、年齢を重ねたからだと思っていた。
平たく言えば、もう若くないからお酒に弱くなった、と。
昔はもう少し飲めたのになあ、なんて20代に飲みに行ったときのことを思い出していた。
しかし、思い出せば20代の頃からお酒に弱かった。
飲みたいという気持ちが勝っていた、というだけだった。
30代半ばになって、自分のからだのことがわかってきた。
冷えやすい体質で、冷たいものをたくさん飲むと、当然からだは冷える。
冷えれば体調がよくない。
ということで、最近はレンジであたためるだけの熱燗をちびちびと飲んでいる。
ビール好きだったら、昔見たおばあさんのように小さなビールを買っていたのかな。
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