紫煙の中：Peace（50）

ふとした日常の合間、煙草の煙が視界に揺れる。

ため息の様に吐き出される煙は青く、時には紫色に光を反射させ空を揺蕩う。

ベランダに出て朝焼けを見ながら、自分でドリップした熱いコーヒーを啜り、朝の空気を感じながら吹かす１本の煙草が１日の始まりを告げる。

夏の青臭い匂いが涼しい風と共に運ばれてきた。

煙草の残りは半分程。優しく吹かしていた両切り煙草のヴァージニア特有の青臭さが鳴りを潜めヴァニラの風味が強くなり、煙草特有の苦みが増して来る。

煙草の苦みを鼻腔から吐き出し、舌に残ったヴァニラ香をコーヒーと共に胃の中に流すとさあ、私の１日が始まるのだ。