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【1日目・博多】拡がる世界

午前10時。人生で初めての博多に降り立つ。
1人で見知らぬ街を闊歩する感覚に、非常に興奮を覚える。
それはさながら『ポケモン不思議のダンジョン』で、歩いた所の情報だけが地図に繁栄されていくようなもので。頭の中に雄大な音楽が響く。

博多のアニメイト。よく知らない土地ならではの風土や人々に触れることが、世界・視野を拡げることに繋がると宣う人がいる。確かに一理ある。
しかし、私は逆だ。
どこにいようと、自分が「好きな物」「知っている物」があるという事実によって、帰納法的に世界の広さを知る。

ああ、こんな所にまで世界は広がっているのか。と。

その後は、目に入った福岡大仏を見に行ったり、ロケみつで見て以来小学校の頃から食べたかった、らるきいの「ぺぺたま」を食べる。
大粒に切られたニンニクと、唐辛子の刺激的な辛みをトロトロの卵がまろやかに包み込む。
麺も固めで、卵の触感に紛れてぼやけない。

英気を養い、ペイペイドームまで歩く。
そして太宰府、九州国立博物館。

やはりかねてより諸外国に近く、窓口になっていた地方だけある。世界に伝える日本独自の文化と海外から伝わってきた面白い文化が良い塩梅で隆盛している。日本史好きからすればたまらない。

まるで日本史の資料集の中に飛び込んだような気持ちになる。

夜の屋台へ繰り出す。地元のおおらかさと観光客の浮つきが綯い交ぜになる。しかし、その浮つきが悪目立ちせず、温かさと人情でもって包み込む素敵な文化。

私も、屋台へ足を運ぶ。

瓶ビール×おでん・串焼き・焼き明太子。
知らないサラリーマンと酒を酌み交わす。
夜風を浴びながら、温かな料理に舌鼓を打つ。
店主のサービス精神に、心の体温までもが上がっていくようだ。

〆には別店舗でラーメンを。これで500円ははっきり言ってまあまあコストパフォーマンスが高い。

1日、文字通り歩き疲れた足を引き摺って宿へ。

せっかくなら知らない人と交流しようと予約した格安ホステル。8人部屋に客は私1人。

えも言われぬ居心地の悪さを感じるが、疲れきった私には結局1人が丁度良かったのかもしれない。

そんなことを考えながら、固い寝床で眠りにつくのだった。

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