占い師リタ

手紙のお話し読んだので、私も。

前の職場では書いたメモやマニュアルは家に持ち帰りが禁止されていて、1人1人にキャビネットがあった。

去年の2月、新しく職場にリッチーと
呼ばれる子がきた。私とは親子ほど年齢が
離れていたし、数ヶ月くらい会話をしたことがなかった。

しかしこのリッチー、昭和が好きで聞けば80年代
のシティーポップと呼ばれる部類が好きだと言う。帰り道が一緒の遅番の時などは、リッチー
のオススメの曲を教えてもらったり、私の趣味の
星座占いでリッチーを占ったりした。
「私定年退職したら、リタっていう名前で占い師になるんだー、あ、リタってのはミッシェルガンエレファントの曲にあってね、、」という話をしたのが最後だった。

リッチーはよく仕事の手順をすっ飛ばし怒られていて、管理職の人から呼ばれて面談してたり、何があったかは私にはわからなかったけど本社に呼ばれたりしていた。

ある日メールで退職を告げて職場には来なくなった。連絡も取れなくなった。
一緒のチームだった人たちは無責任だと怒っていた。私は人の縁と言うものはこんなに簡単に
終わってしまうんだな、と思った。

それから数ヶ月後に私も退職をした。最後に
マニュアルやメモをシュレッダーにかけようと
思ってキャビネットを整理してたら、私の字じゃないメモが挟まっていた。

「リタへ、素敵な占い師さんになって下さい」

占い師の話しはリッチーにしかしてなかったので、リッチーが書いてくれたメモだ。

少し、泣いた。


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