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コテンセンス【古典のおことば】① 余生をカッコよく!ウザがられない年寄り講座【『徒然草』第168段】

はじめに


古典文学の中から、
ちょっと気になるところを切り取って、
「超現代語訳」にてお届けいたします。
直訳ではありません。
意訳中の意訳です。
わたくしの気持ちを付け加えちゃったりしておりますので…
なんとなーく、雰囲気を感じ取っていただけたら
幸甚でございます。

さて、今回は
兼好法師『徒然草』
第百六十八段より
題して
【余生をカッコよく!ウザがられない年寄り講座】

なかみ


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年老いたる人の、
一事すぐれたる才(ざえ)のありて、
「この人の後には、誰にか問はん」などいはるゝは、
老いの方人(かたうど)にて、
生けるもいたづらならず。
さはあれど、
それもすたれたる所のなきは、
一生この事にて暮れにけりと、つたなく見ゆ。
「今はわすれにけり」といひてありなん。
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(訳)
ひとつのことに特化した才能を持っているお年寄りは、
「この人がいなくなってしまったら、誰に聞けばいいの?」
と言われます。
そういう人は老人の星✨で、
生きていることが決して無意味ではないのです。

その通りなのですが…

年をとっても才能や技量が衰えないということは、
(一生ひとつのことだけをやって終わってしまった人じゃない?
それって、つまんなくない?
って思われてしまうことも。
だから、
「今はもう忘れてしもうたわい」
くらいに言っているほうが渋い年寄りっぽくて、カッコいいんです!

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大方は知り足りとも、すゞろに言ひちらすは、
さばかりの才(ざえ)にはあらぬにやと聞え、
おのづから誤りもありぬべし。
「さだかにも弁(わきま)へ知らず」などいひたるは、
なほまことに、道の主とも覚えぬべし。
まして、知らぬ事、したり顔に、
おとなしく、もどきぬべくもあらぬ人の言ひ聞かするを、
「さもあらず」と思ひながら聞き居たる、
いとわびし。
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(訳)
たいていのことを知っていて、めっちゃ博識だったとしても、
むやみやたらに言い散らかしていると、
かえって
(実はそんなに才能あるわけじゃないんじゃね?)
と聞こえてしまいますよ!

それに、
言っていることの中には自然と間違いだってあるものです。
自分ははっきり分かるわけじゃないんですよ…
って言う人のほうが、その道の第一人者っぽい感じがします。

まして、
知らないことをドヤ顔で、
さも知っているかのように、
若者たちに言って聞かせているお年寄り…!
あなたは年配者だし、彼ら、反論できないんだからさ…。
こっちはそれを見て、心の中で
違うだろー!
って思うんだけど、
なすすべナシなんで、
うんざり…

まとめ


カッコよくいたいなら、
一、「そんな昔のことは覚えていない…」と、
ハンフリー・ボガートばりにクールにふるまいましょう。

"That's so long ago, I don't remember"

ウザがられない秘訣は

一、知識をひけらかさない
これに尽きるかと。

ではでは。


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