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生きていたら

生きていたら

生きていたら
生身は
玉ねぎの皮のように
むいていく

皮がなくなったら
中身をむく

むいた中身は
きっと
まだ痛い

きっと
わたしは
そんな
詩を書いていく

生きていたら

呼吸にひとつ
鼓動にひとつ
まばたきにひとつ
祈りをかける

そこまでしてると
とつぜんに
疲れて
うんざりする

たべる
ねむる
湯船につかる
暮らしの
全部も
なげやりになる

なげやりと祈りの
アンバランスな
いじわるな揺れが
心地いい

やっと安心して
わたしは
眠りに落ちる

生きているなんて
自然な
ナチュラルな
そのままの
はずなのに
真剣になるほど
わたしの心に
ふざけた
ななめの
ほころびが 
つれてきて
こんがらがる

絶対にほぐれない
糸のこわばりを前に
悲しいため息をつく

だから 
扉から
ころんと出したまま
そのままの玉ねぎに
ずっと わたしは
あこがれる

(2023/01/04)

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