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設定画の様なバランスに修正する

#ガンプラ粘流  におけるスタイル改修の基礎知識みたいなもんやるよっ!

さて、題材としてはパワードジムを使ってみよう。コイツはプロポーション改修のトレーニングに最適だ。実にこの……

出来が悪い

普段はカトキデザインにかなり苦言を呈する事が多い私であるが、パワードジムに関して申せばコンセプトデザインをちゃんと処理しなかったバンダイの設計が悪い。キットにカトキ画稿があるから見比べたら良いのだが……

そらまぁ設計の都合も有るだろうが、それにしたって画稿を無視し過ぎであろう。一応カトキ画稿ではジム改が中にあり、それに強化パーツ付けてる風にデザイン起こしてるのだが、HGUCのパワードジムは最初からその形のジムが居るバランスになってるゆーか、モールドを移植しただけ臭い。詳細に見て行こう。

腰部フロントアーマー周りだが、カトキはちゃんとジム改の素体があって、そこにチンコカバーの更なる増加装甲が付いてるデザインだ。だから左右のフロントアーマーは素体となるジム改の「本来の股間位置」を基準に長さが定められてるんだが、キットでは増加装甲基準に長さ決めてるんで、アーマーが縦に長い。

このせいでヘリウムタンクだかのモールドとアーマー下端の凸凹モールドの間が大きくなり間伸びした印象を与える。増加チンコカバーの下端面のアングルも再現されてない。(更にいうと素体のジム改の股関節ブロックも縦に長過ぎる)

足首もアンクルガードが脛下端から生えて、足首関節位置がHGUCのジムコマ類並みに下にあるのだが、関節位置が脛下端に移動している。

この構造、後々まで使いまわされるんよなぁ……

肘関節もデザイン上は上腕にかなり食い込んだデザインなんだが、キットでは全然食い込んで無い。

関節部で間延びしてるのに下腕とか普通に他の箇所との比率で長さ決めたのか、ここの長さはそんなに外してないのだが、結果的に腕全体の長さがゴリラ並みに長くなっとる。

画稿では手首の先端が股関増加装甲の下端と同じくらいの位置にあるが

素組だと手首の上の方が股関増加装甲の下端と同じくらいの位置に来る。つーか、指伸ばしたら膝のマルイチモールドに触れるぐらい腕長いぞ。劉備玄徳か。

仔細に見ていくとそらーまー「あの画稿からなんでこんなデザインに……と頭抱えること間違いなしである。

恐らくだが、バンダイ内部で「良く動くこと」を最重要視して全体バランスは無視する傾向にあったのだろう。概形作ってから関節構造埋め込んで破綻した雰囲気がある。サイゼのお子様向け間違い探しみたいに画稿とキットを比較してみると良い。カトキに支払ったデザイン料は大部分無駄になっとる。スタイル改修始める際にはこの様な「基礎デザインとキットの差」を洗い出してリストアップし、それぞれの「違い」をどうやって埋めるか考えないといけない。今回は画稿を基にして違いを探してるが、脳内理想体型や人体の基礎比率を基準にする場合も同じだ。これって何かというと……

静物画や写生のテクだ。そこにあるものの相対位置や長さの比率を基準にしてキャンバス上にりんごやら道やら木を配置する。これを3Dでやるのがスタイル改修とゆーものだ。違いとその埋め方を考えるのがキモで、プラ板貼っただのパテ盛っただのは些事に過ぎない。所が世間では筋彫りだプラチップ貼り付けだで「相対位置や長さの比率を見ない」から、ゴリラみたいな体型のままあれこれデコレーションして「カッコいいパワードジム」ではなく「ゴテゴテしたゴリラ」を作ってしまうのだ。さてはキミら、絵画が下手くそなフレンズだな!

向かって左側が素組、右側が私が改修したパワードジムだ。バランスに関しては「ジム改に追加装甲付けた」風味を強調し、必ずしもカトキ画稿を厳守してないのだけど、カトキが余りに哀れなんでかなり画稿の意図を回収する様にしてる。こんなんカトキデザインだなんて言われたら先方もかなりイヤーんであろう。ワイならリテイクさせて設計者を5時間ぐらい説教する。このまま出すなら俺の名前だすんじゃねー、みたいな。
(脛側面上部の面構成とかアングルアーマー後部とかもカトキ画稿とかなり違うのだが……そこまでカトキに寄せてやる意味が見えないのと、根気が尽きたのよ。素組のパワードジムを褒め称える人らが多い時点で誰もカトキ画稿との違いを意識してないのは自明であり、寄せるだけ寄せても誰も加工に気付かないであろう)

ツッコミどころがしこたまあって、徹底的に弄ると相当箇所を弄って遊べるという意味で、HGUCパワードジムは「スタイルに着目するならば」モデラー向けのキットだ。ただ、余りにも「相関」に関する考察が必要なんで、「モデラーを目指したい、そういうのやってみたい」ぐらいの初級者にはお勧め致しかねる。スタイル改修初心者にはジムコマンド・寒ジム辺りがお勧め。

沢山弄れば沢山違いができるのだけど、最初期はポイント絞って「僅かな改造をちょっとやる」のが重要なのさ。矛盾している様に聞こえるかもしれないが、出来るだけ平易で簡単な加工して複数難点クリアする様にしないと、片っ端からスクラッチする羽目になる。そして加工精度を出すという「地獄の責め苦」を味わうのである。これ、本当にツラツラだからねっ!
どうしてもやらなきゃならないなら仕方ないが、やらんで良い事はやらない方が良い。踏み出す一歩は大股ではなく小刻みに。脚が前に出なくなるよーな大改造は可能な限り避けた方が事故が少なくなるザマス。

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!