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ジムおじの秘密

「くっそー! なんで俺の00が素組のジムカスに勝てねぇんだよ、チートかぁ?」
「ふ、素組か……まぁチートはあるがね……キミの予想とは違うのが……」
 ジムおじは莞爾と笑った。実に子供っぽく、邪気もなく。
「ジムクレさーん、若い子カモらないでよ、大人気ない……あとボク? それ素組に見えるだけで素組じゃないから……」

「どう見ても成形色仕上げ部分塗装じゃん。チーターの肩持つのかよセイさん!」
「ちょっと店頭の作例持って来てくれないか? 多分並べなきゃ分からんよ、セイ君」
「え? なんか改造してるのか、これ?」

(以降、本作オリ設定入ります)

「さて、良いガンプラって、何だろうな?」
「きちんとゲート処理して、筋彫りとかデティールアップして、エアブラシで……」
「ん? セイ君のビルドストライクとか筋彫り追加やチマチマパーツ貼ってたか?」
「あの人のは別格だろ!」
「またそれですか? 会社に怒られますよ……」イオリ・セイは完成見本のジムカスタムをバトル台の端に乗せてジムおじのジムカスタムを隣に置く。
「このおじさんさ、バトルシステムのメンテナンスエンジニアなんだよ……だから大会参加経験無し、草バトル強者なのさ」
「そう、だからシステムがガンプラをどう評価するか……アルゴリズム知ってるし、どうやってシステム最適化を他のプレイヤーから隠すか……それが分かると言う寸法だ」
「大体ガンプラバトルシステムは表面処理状態や元キットからの変化量をスキャンするんだけど……」
「分かりやすい変化、つまり元データとの「異質さ」は実は減点対象になる。のっぺりしたデザインに余り細かいデティール入れるとデバフ掛かるんだな」
「え?」
「キミの00は、下手に筋彫り追加したせいでシステム評価落としちゃってるんだ」
「デザインライン評価って言うんだけどな、元キットのデザインパターンに合致してるか否かAIで評価されてる。00にMSVデティールとか、Gガンに羽根付けるのは良くない」
「見比べてみてよ。展示品は完成見本だから全く改造してないんだけど……脛は縮めてる、足首関節位置は変更、胴体は伸ばしつつ幅詰め、上腕短絡……」
「自分で作った訳でもないのに良く分かるよな。流石天下取っただけある」
「その改造を見切られない様にするってのがえげつないですよ。ガンプラ粘流、古流だけあってエグい」
「改造してない様に見えるだろ? 全身磨いて0.3〜0.5mm程度バランス変えてるから、ざっとキミの00の3〜5倍の改造評価取れてる」
「うーん、3.7ぐらいじゃ無いかなぁ……5倍は無いですよ」
「塗装込めてさ」
「ふざけんなよ、そのジムカス色塗ってねーじゃん!」
「そう、色塗って無いのにモデル表面が綺麗過ぎるんだ……」
「光を反射させてみれば分かる。反射面のキワがキミの00だと粒々して見えるだろ?」
「エア多すぎで距離離し過ぎかなぁ? ムラなくは塗れてるけどエアブラシ使っても塗膜が上手く出来てないんだよ……」
「おっさん何番まで磨いたんだよ……」
「これは光沢クリア吹かないから4000番ぐらいだな」
「塗らずに塗ったのと同じか下手すれば塗ったのより平滑な面を出してるから、システム評価は塗ってないのに高くなるんだ……」
「大体センサーは色塗ったかいないかなんて見てない。センサーの気持ちになって考えてみような!」
「人間にウケるガンプラとシステムが好きなガンプラは違うんだよ。この捻くれたおじさんはそこを逆手に取って、システムにウケて人間からは酷評される作り方をわざわざ手間暇かけて作り込んでる」
「キミに素組じゃん!と言われた時は心の中でVサインじゃよ」
「根性悪いよねー(苦笑)」
「わしゃぁガンプラバトルというものの奥深さをだな……」


オチが行方不明

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!