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バーンブレイバーン短観

世間様では今季覇権とか言われている様ですが、

これ、下手したら歴史に残るぞ


下手したらなんて言ってるが、ワイが見る限り製作陣はかなり確信持ってこれ作ってる。言うなれば本作って「原型として完成されたラーメンを忠実に作り上げたラーメン」なんだよ。

そもそもの命題として、ラーメンは美味い。だから何をどうしてもラーメンは美味いのだ。しかし更に美味くしようとして数々の工夫を投入する訳だが、逆にラーメンのパラゴンとかイデアから離れ過ぎると完成度が下がっちゃうの。
だからむしろ、ラーメンは工夫を凝らしてイデアから乖離し過ぎない方が美味く、実に料理人泣かせである。他にない創意工夫を投入すれば投入するほど万人ウケしなくなり、普通のラーメンの方がウケやすい……

で。

バーンブレイバーンはある意味では鉄鍋のジャン! なのである。

まさか私の文章読む人で本作知らない子はいないと思うが、実は鉄鍋のジャン主人公である秋山醬は「中華料理の基礎をとんでもないレベルで極めた怪物」である。数々の料理の「真髄」を理解した上で、その定義のギリギリいっぱいまで個性を出しつつ、

「逸脱しない」


スゲェ奴だ。

ある意味で大張監督はジャンに似た「基礎に重きを置く」アニメーターだ。
金田や安彦の古典を知り、発展継承して受け継ぐ「伝統を守る職人」だ。
ただ、惜しむらくは自分の継承したものの素晴らしさを実感しておらず、余りにそれが「彼にとって日常であるからこそ」新たなアレンジに挑戦したくなってしまうという悪癖がある。

この辺でBlues Brothersのキャブ・キャロウェイのエピソードを思い出す。

まぁ、一般的な日本人は知らんと思うが、キャブ・キャロウェイでミニー ザ
ムーチャーとかスタンダードもスタンダードのど真ん中定番なんスよ。で、久々に映画だってんでキャブじーちゃんは当世風にアレンジしたかった……らしい。
しかしBlues Brothersのテーマは「ロックばかりになってしまったアメリカの音楽シーンの中で、原典であるブルースとか“オールドミュージック"の素晴らしさを再確認する」だから、ミニーもやはり「古き良き」を捨ててはならんのである。

これと同じことを大張は監督するとやりがちなのだ。偉大なミュージシャンでもやらかしがち(特に貪欲に最前線に立ちたい人はやりがちだ!)なアクションだが、それはやはり蛇足に見えてしまう。

ジョン・リー・フッカーでBoom Boomとか「めっちゃ古い歌」だけど、決して古びないのよ。ブルースブラザーズも大概古い映画だが、それより遥かに古いモノクロ・レコードの時代からアメリカ市民の心の中にあり、大地に染み込んだリズムなんだわ。

バリさんは悪くない。ただただ今の世を生きる画稿超人の一人として「弛まず歩む」真面目過ぎる男だ。
だから「昔あったもの」の素晴らしさとかに満足できず、更に一歩先へ歩みたがるのだろう。歩けちゃうし、出来ちゃうから。

なので、私が見る限り──大張の背後に超有能な人物がいる。

↑ この辺が臭い。
サイゲピクチャーを「何でもできるアニメスタジオ」にする為にはロボアニメは避けて通れない鬼門……聞けばバーンブレイバーンのEDが歌劇風になったのも竹中エグゼクティブプロデューサー指示?だし、脚本の小柳さんもTwitter情報で……

嘘を言うなっ!

猜疑に歪んだ暗い瞳がせせら嗤う

無能
怯懦
虚偽
杜撰
どれ一つ取っても戦場では命取りとなる

それらを纏めて無謀で括る     

誰が仕組んだ地獄やら      

兄弟家族が嗤わせる     

お前もっ!
お前もっ!
お前もっ!
だからこそ
俺の為に死ねっ!

こんなんペールゼンファイルズ生えるわ。

竹中と小柳の出会いは、小惑星リドでの出会いですわ。

……そういやキリコも1話で拷問受けてたな? あそこまさか……

ワイの見立てでは、竹中・小柳コンビは裏で手を組んでますね(確信) とりあえず素晴らしいディレクションだと褒めておこう(何故か上から目線)

恐らく彼らが手綱をしっかり握らなければ……大張監督は真面目過ぎる性根そのままに「更なる先進」をしたかもしれない。とりあえず1クール、スタッフの完熟訓練兼ねた「ロボアニメの習作」──恐らく本来バーンブレイバーンに「求められていた姿」はこれだった。

が。

一発目で大正解大正義引き当ておった。

そう、ロボアニメとは新奇性や意外性を詰め込む事ではなく、レシピ通りに「基本に忠実な」方が大衆ウケしやすかったのである。下手な新奇性や作家の個性や自己顕示欲は雑味になる……

それは「簡単である」のとは違う。
オーソドックスだからこそ基本に忠実で誤魔化しの効かない「基礎をマスターし、極めたちから」が必要になる。

バーンブレイバーン放映前に、大張監督はかなり心配したらしい。それは恐らく彼が新奇性や工夫を加えておらず、作画超人としては「当たり前のこと」しかしていなかった事から生じた不安だろう。
当たり前のことを当たり前にした。普段と同じだ、だから不安だ。

しかしここで不安に駆られて「余計な一手間加えたら」バランス崩れちゃうの。

鉄鍋のジャンで言うとこれ
真空調理機との対決編

まぁ、ジャンでは秋山の魔法の多重使用で相手を不安にさせて、経験不足から来るアレンジ能力不足を露呈させるという「罠」を仕込んで自滅させたんだが。ジャンは自ら積み上げてきた訓練や基礎の大切さや素晴らしさを理解しているし、その自信があの凶相になっちまっているのだが。

そのアニメーターとしての旅路の中、おおばりまさみは何度サンライズパースを描いただろう? 何度月面で対峙し、地球をバックに戦っただろう?
何度バリった?
何回爆発させた?

自信を持って欲しい。
今や大張パンチは単純ながらも一撃必殺の威力を得た。今や細かな技法は要らぬ。ただ愚直に突き出せば必ずや視聴者の心を掴む。

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!