悪食列伝1
サラマンドラ サラマンドラ
火の中の竜♪
下位の火の精霊と言われているサラマンダー。恐らく皆はあまり見たことがないであろうそうであろう。
そのサラマンダーを食った事があると私が告白した場合、多くの方は「このおじさん気が触れたか?」と思うに違いない。
しかし…これは誓って事実である。サラマンダーは食えるのだ。しかも、日本国内で!
あれは確か高2の夏。生物部の採集旅行という名目で恒例の山歩きをした時の事だった。大体尾瀬とか国定公園で虫や草を採集するのは違法であるのに尾瀬の国民宿舎泊まるのはおかしいのである。まぁ、クソでかいナメクジとか変わった物を観れるのは生物部員としては楽しいのだが。
大体において世間は理系というと白衣のメガネを想像するのだが、フィールドワークがある生物や地学の連中はどっちかと言うと山屋みたいなガタイの良い連中が多い。ウチの顧問の一人など山歩きしまくりで体力馬鹿の男子高校生を置いてけぼりにして一人さっさと山道を行く様から「仙人様」などと呼ばれていた。
前年は割とキツめの行程だったので今年は楽な尾瀬を選んだのだが、沼は確かに平らだが、そこから先の檜枝岐《ひのえまた》村に向かう道は「等高線に出てこない細かな起伏が山盛り」のイヤーな道だった。平らっぽいから10km(水平距離)ぐらい楽勝でしょ! と舐めてた我々は涙目になりながら12時間ぐらいかけて桧枝岐村に到着した。そして民宿で供された夕餉に鎮座していたのがサラマンダーだったという話である。
種明かしをすると、サンショウウオである。オオサンショウウオは国の天然記念物だがカナヘビやトカゲサイズ(15cmぐらいか?)は保護対象ではなく、山間の村落である桧枝岐村では清涼な川にサンショウウオが生息しており、重要なタンパク質だったらしい。
それを捕獲して薫製にした物は実は土産物屋で普通に売られている。最近は衣付けたりして偽装?しているようだが、30年近く前に訪れた宿では干した山椒魚を油で素揚げして正に姿焼きと言った感じで供していた。無論我々は絶句した。まんま黒いトカゲですわアレ。
しかし親父殿(割と悪食)に鍛えられていた私は頭からパリポリと噛み砕き割と普通に食えてしまったのである(結局仲間の分5〜6匹食った)
山椒魚の名は伊達ではなかった。本当に山椒の香りがした。見た目さえクリアできれば山椒効かせた何かの肉であり、珍味であったかと思う。美味かったので土産物屋で10匹の買ったら家族からも大不評であった。美味いよ、サラマンダー。私が食ったのは腹の黒い模様がバッチリ見える素揚げだったので割とガチ目に食うのは辛い感じだったが…味自体は蛇とかよりかなり良かったと思う。Webでのレポートでは山椒の香りがしないと言うものも散見されるが、あれ実食してないんじゃないかな? 噛み砕き咀嚼するときに山椒の香りが鼻に抜けるんだが…
詳しくはWikipedia読んで欲しいが、サラマンダーというのはイモリや山椒魚などを指す言葉で、なんでも暖炉などの薪(大体家の近くで小割りにして貯蓄してある)の中に隠れてた奴が、薪を暖炉に入れて火を付けると「なにしてくれますのん!」と暖炉から這い出て来るらしい。それが「火から出てきたトカゲ」に見えたらしく、火の精霊になった…という事らしい。だから山椒魚は正にサラマンダーそのものなのである。
さぁ、みんなも南会津の檜枝岐村でファンタジー飯にチャレンジだ!落ち武者伝説もあるゾ!
方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!