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ダサめの大人を2人見た話

週末、会社のBBQに参加した。
沖縄でBBQといえば、ビーチが定番だ。
天気はめちゃめちゃ曇り。梅雨時期の生暖かい風が吹く中、美味しいお肉とシーフードを堪能した。社員のご家族、子どもたちもご機嫌にワイワイ、みんな楽しそうでなによりだった。

食事が一段落ついたのを見計らって、
「そろそろ、トランプしましょうかー!」と声をかけてみる。
会社のBBQは今回で3回目。食事の合間にカードゲームをするのが恒例になりつつある。
前回のUNOは複数のローカルルールにより若干の混乱を招いたため、今回はルールが1つしかないトランプにしようと決めていた。
私はコンビニを4軒回ってやっと買えたトランプをバッグから取り出し、みんなに「ババ抜きの最弱を決める「負け残りリーグ戦」にしましょう!」と説明。
早速5人ずつのグループを決めて、予選リーグをスタートした。
私は無事初戦で勝ち抜け、その後はのんびり他のグループを観戦。後輩たちの小競り合いに笑いが起きつつ、初戦リーグは和やかに進んだ。そして負け残った4名での最終戦が始まり、周りが見守る中ついに最弱の1人が決定。BBQ参加者の中で最年長、40代の中田さんだった。
「えー!中田さんが負けたんですか?」「意外だなー」などの声が飛び交う中、苦笑いをしながら中田さんが言った。

「いや、私はそんなに(勝ち負けに)執着してないから!」

全員、「ん?」と思いながらも、一旦スルー。
その後、また後輩たちの小競り合いが始まり、それを見てみんなが笑う中、誰かがまた「いやー、でも中田さんが負けたのは意外でしたね」
と言うと、再び中田さんが、
「いや、私は執着してないから!べつに!」
と大きめの声で言い放ったのだ。

さすがにそれは、ダサくないか…。
(私は別に悔しくないですよー、なんせ勝ち負けに執着していないので!)
(そもそも本気じゃなかったので!)
とでも言いたいのだろうか。
それはちょっと、聞いてるこっちが恥ずかしい。
もし私が負けたなら、大袈裟に悔しがっていただろう。その方が盛り上がるからだ。

中田さんは普段からとても負けず嫌いで、仕事中も常に誰かと競っている(勝手に)。
そんな中田さんが、ババ抜きで「最弱」となり、悔しくないわけがなかった。
おそらく悔しくて仕方なかったに違いない。
それを悟られないように必死だったのだろうが、その姿がダサかった。

その後、飲酒組はお酒も進み、各テーブル雑談を楽しむ中、石橋さんという男性社員がご機嫌に、自分の学生時代のことを話し始めた。
「俺、勉強はできる方だったので!首席で卒業してて!」
「授業中は主に寝てました(笑) 先生に起こされて、「これ解いてみろ」って言われて、寝起きで問題解いても正解してました(笑)」

(漫画でよくあるベタなシーンね)と思いつつ、「へぇ、漫画みたいですね!」とだけ返した。

その後もニコニコで、「社長の後任は俺じゃないかって周りから言われたりするんですけど、俺やんないっすよ。めんどくさいもん(笑)」
などと言い出す始末。こんな妄想と現実がごっちゃになっていそうな中二病男が本当に次期社長なら、私は即転職する。
うちの会社の現社長は、とても穏やかで、人脈もあり、とにかく仕事がデキる長身のイケオジだ。社員からの信頼も厚く、まさに自慢の社長といえる素晴らしい人だ。
その人の後任がこんなやつのわけがない。そう信じたい。

今回のBBQを通して、私の中で「ダサい大人MVP」に選出されたのは2人。
自分のプライドを守るために、しょうもない見栄を張り続けた中田さんと、
過去の栄光を、妄想を交えながら自慢気に話し、誰からもまともに聞いてもらえなかった石橋さんだ。

この2人のことを反面教師にして、ダサい大人にはなるまいと心に誓う、梅雨のある日でした。

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