7.美人で性格の悪い姉と引きこもりの私の話

私はナガコ。引きこもり歴13年の28歳。
中学を卒業して以来、ほとんどリアルでは他人と接しないで生活していた。

私には1つ上の姉がいる。名前はサクヤ。
姉は子供の頃から、可愛い、美人だ、将来が楽しみだと親や親戚からチヤホヤされて育った。
一方、私の扱いは酷いものだった。中学生になるまでは太っていたのも悪かったのだろう。さんざん惨めな思いをして育った。
「姉妹なのに可哀想にねぇ」親戚が集まる席で、何度そんなふうに言われただろう。
そのたび外面の良い姉は、
「ナガちゃんはすごく絵が上手なの。展覧会で賞を取ったりしているのよ」
と私をフォローするような口ぶりをするが、実際には私のことを見下し馬鹿にしていた。

「不細工な妹にも優しい私」を演じる姉が、私は嫌いだった。
姉は両親に買ってもらった可愛らしいワンピースを、嫌がる私に無理矢理着せて鏡の前に立たせ、
「ほら。ナガちゃんもよく似合うわ。とっても可愛い」
と嘲笑するのだ。
「不細工なあんたには似合わないわ」と言われたほうがまだマシだ。
だって実際全然似合ってなかったから。
一緒に鏡に映る姉の笑顔は美しく、そして邪悪に見えた。

明るく美しい姉は両親の自慢の種だった。
姉の外面の良さは両親にさえ発揮されていた。
ただ私だけが、姉の暗黒面の標的になっていた。
不細工だけど愛嬌があるというキャラにもなれず、愛想もなく暗いひねくれ者だった暗黒の中学時代。
ただひたすら絵を描いたり本を読んだりして過ごしていた。
学校の成績は悪くはなく、科目によっては姉よりも優秀なくらいだったが、とにかく人とコミュニケーション取るのが絶望的に下手で、高校に進学する気にはなれなかった。
「不細工な上に学歴もないなんて、将来どうするつもりなの?こんな妹がいるなんて人に言えないじゃなーいw」
姉は嬉しそうにそう言って笑っていた。
別に姉の知り合いに紹介してほしいなどとは思わなかった。
引き立て役として利用されるのも御免だったし。

こうして私の引きこもり生活が始まった。
姉も私も自分の部屋があるので、めったに顔を合わせることもなくなった。
たまに見かける姉は、相変わらず美人でオシャレで世界は自分を中心に回っていると思っているようだった。
姉は何度か付き合っている彼氏を家に連れてきたが、当然私は紹介されなかった。
美人だからモテるけど長続きはしない。
それは姉の性格によるところが大きいと思う。

私は親に心配をかけるのも不本意なので、通信制の高校を卒業した。
相変わらず引きこもったまま、外に働きに出ることはなかったけれど。
しかし今の時代、家から1歩も出なくてもお金を稼ぐことはできるのだ。

「ナガちゃん自分で言うほど不細工じゃないって。まぁ姿勢は悪いけど。ちゃんと美容院行って髪の毛カットして、それなりの服を着ればそれなりに見えると思うよ」
Zoomでの会話でそんなふうに言ってくれたのは、仕事でもお世話になっているコジマ君だ。
「はいはい。それなりにね」
そう言って笑えるくらいのコミュニケーションは取れるようになっていた。
あくまでもネットを通じてだったけど。
ネットを通して、まあ友達なのかな、と思えるような人も数人でき、友人たちが企画したオフ会に私も誘われた。
参加予定者にはZoomで顔を見て話したことがある人も何人かいた。
最初は絶対無理だと思った。だってもう何年もリアルで家族以外の人と会っていない。
でも今参加しないと、一生引きこもったままになってしまうんじゃないかという危機感で、思い切って参加することにした。
事前に美容院に行き、服はネット通販で手に入れた。美容院に行くのはすごく勇気が必要だったけどなんとか頑張った。
自分の姿を鏡に映してみる。これなら多分それなりに普通に見えるだろうと思った。

「あら…珍しい。出かけるの?」
こんな時に限ってタイミング悪く姉と顔を合わせてしまう。
私にしてはそれなりに着飾った姿を見て、姉が鼻で笑った。
「みっともない」
久しぶりに顔を見ても、姉はやはり姉だった。
やはり私は不細工でみっともないのだ。
きっとわざわざ出かけていっても、惨めな思いをするだけなのだ。
すっかり心がくじけてしまい、部屋に戻ってぼんやりしているとスマホが鳴った。
以前「それなりに」と言ってくれた、コジマ君だった。
「ナガちゃん今日来るんでしょ?すごい楽しみにしてんだけど」
そう明るく言われても、すでに家から足を踏み出す気力が私にはなくなっていた。
「あはは…出かけようとしたら、私の格好を見た姉に、みっともないって言われちゃってさ」
突然涙が出そうになった。
「なんだよそれ。ちょっと見せてみ」
コジマ君にそう言われて、嫌々ながらビデオ通話に切り替えると、
「全然大丈夫!みっともなくなんかないって!だからおいでよ!」
と、Vサインをしてみせてくれた。
コジマ君を信じて良いのか正直迷った。私をからかうために呼び出そうとしているのかもなんて暗い考えが頭をよぎる。
でも、いま彼を信じられなかったら、この先信じられる人に出会うことはきっとない。
そう思った私は思い切ってオフ会の会場に出かけていった。

こうして私は13年ぶりに他人と会って話すことができたのだ。
それもこれもコジマ君のおかげだ。
ネットを通じてずいぶん長いことやりとりをしていたせいか、その日に会った人たちは、みんな昔からの友人のようだった。
もしも私が子供の頃から物語の世界に逃避していなかったら。
物語の中に出てくる心優しい人々や、夢や希望のお話を知らなかったら。
そんな世界や人たちがどこかにいると信じられなかったら、とっくの昔に絶望していただろう。
そのオフ会を境に、コジマ君と私はリアルで付き合うようになった。
彼は私の1つ上で、小説や漫画やアニメやゲームや映画の話ができて、猫と暮らすのが夢だという所まで私と同じだった。

「うち、兄が猫アレルギーでさ」
「え?うちも姉が猫アレルギー」
そんなところまでシンクロしていて、
「これはもう俺たち結婚して一緒に暮らすしかないんじゃない?」
なんて言われて動揺してしまった。
この私が結婚?まさか…。そう思いつつも嬉しかった。
明るくなって外にも出かけるようになり、年頃の女性らしくオシャレをするようになった私を見て、両親も喜んでいた。
姉ばかり可愛がって…とひがんだ頃もあったが、今思えば私にも原因があった。
実際可愛げのない子供だったから、両親も扱いに困っていたのだろう。
でも私も少し浮かれすぎていた。両親に、
「もしかしたら私結婚するかもしれない」
と打ち明けてしまったのだ。

それからわずか2ヶ月後、急に姉が結婚すると言い出した。
付き合っている男性がいるのは知っていたし、見栄っ張りな姉は、
「30までには結婚したい」
といつも言っていたから、とりたてて不思議なことではない。
両親もすぐに納得したようだ。
でも、姉が突然結婚すると決めたのには理由があったのだ。
本当の理由は、こっそり私だけに教えてくれた。
「あんたが私より先に結婚するなんて絶対許さないから」
冗談で言っているのかと思ったが、姉の顔を見ると冷ややかな氷のような表情をしていた。ゾッとするような凄みがある。
この人はそんな理由で結婚するのだ。本当に意味がわからない。
お相手は職場の先輩で5つ上の男性らしい。
「憧れのジューンブライドよ」
と姉は自慢げに言っていたが、日本の6月は梅雨である。
どう考えてもイベントには向かないし、せっかくドレスアップしてきてくれる来客も、雨が降ったら迷惑だろうと思う。

まぁ姉の結婚式の来客がどうなろうと私には関係ないけど。
なぜなら、姉にはっきり言われたからだ。
「私に妹はいないことになってるから、あんたは結婚式に来ないでね」
もともと参加するつもりもなかったが、既に存在までも抹消されているとは知らなかった。
両親は取りなそうとしてくれたが、姉は聞く耳を持たない。

「なんだよそれ。ひでえな。ナガちゃんの姉さんは、美人なのかもしれないけど性格はどブスだな!」
そんなふうに言ってくれたのは、もちろんコジマ君だ。
「ナガちゃんはそれでいいのか?」
「良いも悪いも…席もないのに出かけていって恥をかくのは私だし。まぁ私は姉が家から出て行ってくれればそれで嬉しいから」
これは私の本音だ。
「うーん。なんかムカつくな。ちょっとギャフンと言わせてやりたくない?」
「ギャフンって本当に言う人初めて見た」
そう言って笑いあった後、コジマ君は「ナガちゃんの姉さんをやり込める計画」を立て始めた。
「うーん。少しお金かかっちゃうかもしれないけど…」
と、困ったようにコジマ君が言う。
お金のことは構わない。私には特に使うあてのない貯金がかなりあるから。

そうして姉の結婚式当日、タキシードを着たコジマ君がハイヤーで迎えに来てくれて、私は姉が披露宴を行うホテルへと向かった。
「ナガちゃんすげー気合入ってる!」
そうコジマ君が驚くのも無理は無い。
私はオートクチュールのドレスを身にまとい、遠目にもわかるほどの、いかにもお高そうなジュエリーをいくつも身に付けていたからだ。
この日のためにプロのメイクとヘアメイクも頼んで、大変身だ。
「すげえきれい。馬子にも衣装!」
「それ褒めてないから」
そんな軽口を叩いているうちにホテルに着いた。

私たちが向かったのは、姉の披露宴と少し離れた別の会場だ。
そこで行われるのは【naga 転生伝説 大ヒット記念パーティー】だ。
naga(ナーガ)は私のペンネーム。
転生伝説は、私の描いた漫画のタイトルだ。
コジマ君と私は、もともとイラスト投稿サイトで知り合った。
コジマ君は私のイラストや漫画のファンだと言ってくれて、私がWebコミックでデビューする際、リモートでアシスタントを引き受けてくれたのだ。
デジタル作画なのでパソコンさえあれば家から1歩も出ずに仕事ができるし、アシスタントを使うことも可能なのだ。便利な時代になったものだと思う。

「ナガちゃんの作品は結構重いけど、最後には希望があるところがいいよな。だから絶対ナガちゃんはいい奴だと思ってた」
そんなふうに言って抱きしめてくれた時、私は生まれて初めて人の胸で泣いた。今まで誰にも言えずにいた、辛かったことや悔しかったことをコジマ君に打ち明けて、私の心はずいぶん軽くなった。
そんなわけでコジマ君は、私のことも姉の正体もほとんど知っている。

姉の結婚式は滞りなく終了し、披露宴が始まっていた。
新郎新婦の紹介ビデオ、関係各位のスピーチ、友人からのメッセージ、など定番の進行が続いたところで司会者から、
「それではここで、新婦の妹さんからのメッセージを中継でお届けします」
という紹介が入る。
「妹さんは、本日当ホテルの他の会場にて催されているパーティーの主賓でございます。そんな事情でお姉さまの披露宴にはご出席が叶わなかったのですが、お姉さまのご結婚に直接一言お祝いを申し上げたいということでございます」
両親によると、特に会場がざわつくことはなかったようだ。
ただのイベントの一環として受け入れた人がほとんどで、妹の存在を知らなかった人たちがちょっと顔を見合わせるくらいだったそうだ。

1番ビックリしたのは姉だろう。
結婚相手の新郎や家族に、私の存在を伝えていなかったのだから。
そして引きこもりだった私が、まさか引きこもった部屋で漫画を描いて、それがそれなりに大ヒットしていることなど、姉は想像もしていなかったのだ。
「えっ?えっ?なに?」
と言う声が両親の席まで聞こえてきたそうだ。
まぁ実際のところ、両親だって、私がそこそこヒットしている漫画家だという正体までは知らなかったのだけど。
生活費は入れていたので、私が仕事していたのは知っている。
ちなみに姉は1銭だって家にお金を入れたことがない。

「お姉さん。結婚おめでとう。せっかくの結婚式と披露宴に妹として参加できなくて本当に残念。幸せになってね。妹として祈っています」
さすがにここで恨み言を言ったりはしない。
ただ豪華なドレスとジュエリーを見せつけて、華やかなパーティーの様子が伝われば、それだけで姉には大ダメージだとわかっている。
「妹として」は大事なことなので2回言ったけど。
短い中継が終わった後、私はこっそりコジマ君とハイタッチした。
「スッキリした?」
と聞かれ、
「した!でもできれば透明人間になってあちらの会場に潜入して間近で姉の反応を見たかったな」
と言って笑った。

もともとヒット記念パーティーの企画はあったのだ。
ただ作者の私が引きこもりで、華やかな会場どころか人と会うこともずっと拒んできたので実現していなかった。
それを知っていたコジマ君が話をつないでくれて、今日のサプライズが実現したというわけだ。
「自分でパーティーを主催する手もあったけど、どうせなら出版社にお金出してもらったほうがいいもんな」
さすがコジマ君。コミュ力あって尊敬する。
おかげで私がお金を使ったのは、この先着る機会などなさそうなドレスと、やたら目立つジュエリーだけだ。

両親から聞いた話だが、私の登場で姉と結婚相手は少しもめたらしい。
何よりいないはずの妹が出てきたのだ。不審に思って当然だろう。
「引きこもりで家から出られない妹だから…」とか言い訳をしていたようだが、その妹が実はそれなりに稼いでいる有名人だったという矛盾。
姉の結婚を破談に追いやるまでのダメージは与えたくなかった。
姉が家を出て行かなくなったら困る。
私がそう言ったら、コジマ君が、
「ばかだなぁ。ナガちゃんが家を出ちゃえばいいんじゃん?」
と、サラっと言った。
なんだその手があったか。
引きこもり生活が長すぎて、家を出るという発想がなかった。
「そっか。貯金はまだあるし思い切って一人暮らし…」
「俺と暮らしちゃえばいいじゃん」
「え?」
「俺と、暮らしちゃえば、いいじゃん?大事なことだから2回言った。ちなみにこれプロポーズだから」
コジマ君が照れて赤くなっているのを初めて見た。
「一緒に暮らそう。猫も飼って一緒に住もう」
返事は言葉にならなかった。ただ何度もうなずいた。
嬉しくて嬉しくて涙が出た。

「そうだ。せっかく2人とも着飾ってるんだし、ここで公表しちゃおうよ」
あれよあれよと言う間に、大ヒット記念パーティーの後半は、急きょ結婚報告パーティーになった。
たくさんの人たちに祝福され、こんな幸せなことが自分に起きていいのだろうかと不安になるくらいの時を過ごした。

「せっかくだからナガちゃんのご両親への挨拶も済ませちゃおう」
と言うコジマ君に手を引かれ、披露宴後の両親を捕まえ、突然の結婚報告。
両親にしても、今日はサプライズの連続だ。もちろん結婚に反対する理由など1つもない。
ちょうどその時、姉夫婦がロビーに姿を現した。
思わず表情が凍り、体が硬くなる私。
「大丈夫だよ」
コジマ君が耳元でそっと囁いて抱き寄せてくれた。
「あ!お姉さん。ご結婚おめでとうございます!実は僕たちも結婚することになったんです。申し遅れましたが自分はナガコさんのお仕事を手伝っているコジマと言います」
明るく挨拶をするコジマ君。
姉の結婚相手を初めて見たけれど、30代半ばになろうかという彼は、すでに中年体型になりかけていて、こんなことを言ったらなんだけど、コジマ君の方が背も高くてかなりかっこいい。
これは予想外のクリティカルヒットだ。

姉は唇を噛み締めて、般若もビックリの恐ろしい形相で私を睨んできた。
そこで姉の旦那さんが、
「それはおめでとうございます。いやサクヤさんの妹さんが、まさか転生伝説の作者さんだったとは!僕ファンなんですよ!」
と私に握手を求めてきた。
姉は何とも言えない複雑な顔をしていたが、ようやくひきつった表情で、
「全然知らなかったわ」
と言った。
私が一応有名人で、結構お金持ちだということも、
結婚する相手がいて、なかなかのイケメンだということも、
自分の夫が私のファンだということも、
姉は知らなかったのだ。
その後姉夫婦は新婚旅行にグアムへ旅立ったが、帰国後私へのお土産は何もなかった。
それくらいしか仕返しが思いつかなかったのだろう。
まあ、今の私にはダメージゼロだ。

姉の結婚式の半年後に私たちは結婚式をあげ、盛大な披露宴を行った。
相変わらず私は人前に出るのは得意ではなかったので気が進まなかったけど、コジマ君が「ここまで来たらもうアリでしょ」と言うので開き直った。
もちろん姉夫婦も招待した。
二度と着る機会はないと思っていたドレスも、お色直しに再利用された。
「新居は青山にマンションを買いました。新婚旅行は長い休暇をとって、1ヵ月ぐらいヨーロッパでのんびりしてくる予定です」
にこやかに爽やかに、コジマ君は…いや夫は、姉夫婦に報告した。
姉夫婦は社宅住まいで、新婚旅行は3泊4日のグアム旅行だったと知っているからだ。
夫はいまだに姉への攻撃の手を緩めるつもりはないみたいだ。
「長年ナガちゃんにしてきたことの半分もお返ししてないもんな」
と言う彼は、敵に回したらちょっと怖い男だと思う。
現在は私のマネージャーをやってくれているが、非常に有能で助かっている。

私の漫画【転生伝説】は、様々な転生者を描いていく物語だ。最終的には全員が集結する仕組みになっている。
その後、夫のすすめで、冴えない主人公と美人で性格がめちゃくちゃ悪い姉のキャラを出してみた。もちろんモデルは実の姉だ。

SNSの反応はというと。
姉キャラの性格が悪すぎて草w
外面のいい、こういう女いる
この姉が泣き土下座するとこ見たい
美人だから許す
性格の悪さが癖になる
改心したらガッカリかも
主人公空気

意外と人気な姉キャラ…。
「現実にいたらたまらないんだけどなぁ。お姉さんの旦那さん、ナガちゃんのファンなんだろ?読んでるかな」
「うん。新刊出たら送ってるし」
姉は意地悪な姉キャラが、自分がモデルだと気づくだろうか。
私のファンだと言う義兄は気づくだろうか。

「なんでもネタにできるんだから…漫画家とか小説家って怖ぇーな」
と言ってコジマ君は笑う。
そう。創作者は、転んでもただでは起きないのだ。
「こそっと、あれは実の姉がモデルらしいって情報、ネットに流しちゃおうか?」
と、夫から悪魔のささやき。

来年の夏には子供が生まれる。3人と1匹の暮らしになるのだ。
まだ子供のいない姉は、きっととても悔しがるだろう。
「ううん。いいよ。私は今すごく幸せだから。幸せな人は復讐なんて考えないでしょ?」
復讐者は、もう卒業してもいいかなと思う。
「全部あなたのおかげだよ」
私がそう言うと、彼は猫を抱いた私をお腹の子供ごと、そっと抱きしめてキスしてくれた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?