障がいは○○が作っている。
私が伝えたい結論を言います。
障がいは、私たちが作っています。
だから、私たちが変わらないといけないんです!
すべての障がいがそうだとは言いません。
しかし、私たちが作っている障がいがあります。
【 シルバーカーは使わない! 】
私は、訪問看護からのリハビリを主な仕事としています。
そこで担当している利用者さん、仮にVさんとしましょう。
Vさんは7階建マンションの5階に1人で住んでいる方です。
杖で家の中は歩けますが、外は付き添いが欲しいレベル。しかし、シルバーカーを使ってエレベーターに乗ればマンションの1階に1人で行けます。
しかし、Vさんはこう言います。
「シルバーカーは使いません!理由は言いません!」と。
マンションの1階に1人で行けるとデイの送迎時のヘルパー付き添いがいらなくなります。
しかし、Vさんはシルバーカーを使わないためデイ送迎時の付き添いが必要なのです。
【 打ち明けてくれた理由 】
3ヶ月くらい経った時、ふとVさんが話し始めました。
「シルバーカーなんだけどね…」と。
私は“ついに話してくれる時がきた!”と思い、心の中でガッツポーズです!!
Vさん
「退院して家に帰ってきた時にね
シルバーカーでエレベーターに乗ってたの。
そうしたら、上の階の人が一緒に乗ってて
『それ迷惑です』って言われたの」
衝撃の理由でした。
“みっともないから”とか“年寄りみたい”と拒否する人は多く出会いましたが、そんな生易しい理由ではなかったのです…。
Vさん
「その時にね、私『ごめんなさい』って言ったんだけど、私は何か悪いことをしたのかな?」
私
「何も悪いことはしていません!咄嗟にその言葉が出てきてしまうのはVさんが常識人だからだと思います。」
Vさん
「そうかな?でもね、それから怖くてシルバーカーでエレベーターに乗れないの。だから使わない。」
正直、どう答えていいのか分かりませんでした…。
Vさんは唇をプルプルと震わせながら、耳を赤く染め、か細い声で私に打ち明けてくれたのです。
きっと勇気を出して言ってくれたんだと思います。
出来ることなら思い出したくない出来事だと思います。
悔しさや悲しさや苛立ち…色んな感情も思い出してしまったと思います。
それでも私に伝えてくれました。
Vさんが私を信頼して話してくれたのだと思うと嬉しい気持ちもありました。
しかし、それ以上に悔しい気持ちになりました。
【 Vさんの障がい 】
Vさんはマンションの5階に住んでいますが、杖での屋外歩行は難しいです。
シルバーカーとエレベーターがあれば1階まで行けます。
シルバーカーも使用できるし、エレベーターも使用できます。
しかし、シルバーカーを使いません。
その理由は“人に「迷惑です」と言われるのが怖いから”です。
Vさんの階を移動するという障がいは、エレベーターとシルバーカーがあれば無くなっていたはずなんです!
しかし、そこに障がいを生み出してしまったのは、他でもない“私たち”ではないでしょうか?
【 リハビリテーションって? 】
リハビリテーションは、個人と社会との再適合です。
つまり、障がいって個人と社会との適合不全ってことになります。
簡単に言えば“生きづらさ”と言ってもいいかもしれません。
どんなに頑張っても!
どんなに医療が進化しても!!
どんなに寿命が延びようとも!!!
人は死にます。
歳をとれば筋力は落ちるし、柔軟性は失われていきます。
病気にもなれば、怪我もします。
そして、絶対に人は死にます。
歳を取っても、足腰が弱くなっても、病気になっても、怪我をしても、染色体が足りなくっても…
みんな、生きてます。
医療は進歩しています。
今までは亡くなってしまうような病気でも命を紡ぐことが出来るようになっています。生きられるようになってます。
しかし、命を紡ぐだけでは幸せにはなれないんです。
みんなが幸せに生きるために必要なのは医療の進歩だけじゃダメなんです!
みんなが幸せになるためには車椅子用のトイレを増やすだけじゃダメなんです!!
街中の段差を減らすだけじゃダメなんです!!
エレベーターを作るだけじゃダメなんです!!
変わらなきゃいけないんです!私たちが!!
変えなきゃいけないんです!私たちが!!
人の意識を、人の考え方を変えていくこと、社会を変えていくのもリハビリテーションだと思うんです!
どんなに能力を上げたって限界はあります。
そこを補装具や住宅改修や環境調整で補うんです。
それでも、私たちの、みんなの意識が変わらないと乗り越えられない壁があるんだなってすごく感じました。
社会をリハビリテーションすることも必要じゃないでしょうか?
【 ことばのチカラ 】
Vさんは、その「迷惑です」の一言で(シルバーカーでは)外に出られなくなりました。
今も付き添いのもとで杖で出掛けています。一人暮らしなので付き添いは自費でヘルパーさんに頼んでいます。
そして、そんな話を聞いた後モヤモヤとした気持ちを抱えたまま、チャリンコで移動してました。
そうしたら道路工事中の道をチャリンコに漕いでいる私に「どうぞ〜!」と笑顔で誘導してくれるおっちゃんがいました。
見ず知らずのおっちゃんの笑顔の「どうぞ〜!」に凄い救われちゃったんです。
もうね、ちょっと涙が出ました( ;∀;)
【 幸せ 】
他人を傷つける言葉を発することで、自分が満たされる人もいるかもしれない。
でも、それは幸せなんでしょうか?
どうせなら、他人をハッピーにする言葉で、他人が喜んでいる姿を見て、一緒に喜んで…そうやって幸せになっていきませんか??
みんなで幸せになりませんか???
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