見出し画像

歩行時の前脛骨筋 〜その役割とアプローチ〜

どーも、あんどーです。

実は4月より現職の訪問看護ステーションだけではなく、専門学校の非常勤講師を務めさせていただくことになりました!がんばる!


さて、本日は歩行時の前脛骨筋についてです!!


まずは前脛骨筋についてサクッと見直してみましょう!!


前脛骨筋

画像1

起始:脛骨外側顆・外側面、下腿骨間膜
停止:内側楔状骨、第1中骨底
神経:深腓骨神経L4~S1
作用:足の背屈・内返し(足部の回外、内転、底屈)
(中村隆一,他:基礎運動学 第6版,医歯薬出版,2003,p253)

この辺は、まぁ、ただの復習ですね!



歩行時の前脛骨筋の役割

歩行時の前脛骨筋(TA)の役割は、大きく分けると3つあります。

①遊脚相で求心性収縮による足趾のひっかかり防止
②IC~LRにかけての底屈の遠心性収縮による制御
③歩行開始時のトリガー

②に関しては、底屈のみならずIC~LRにかけての回内制御も行っていると考えられます。


さて、この2つの役割を見ただけでもTAのトレーニングは求心性収縮のみならず遠心性収縮でのトレーニングも行った方が良さそうなのは想像に難くないかと思います。


あとは内側縦アーチの保持に関しても大事な役割を果たしています!



ここで少しTA弱化による姿勢制御の影響を考えてみましょう!


TAの弱化

さて、ここではTAを疲労させて筋発揮し難い状況にして、立位での姿勢制御がどうなったか?を観察しています。
TAの弱化は全方向の安定性限界を狭小化させ、安静時立位での重心位置を後方に偏移させたと報告しています。

まぁ、これは今回のテーマである「歩行と前脛骨筋」とは少し違うかもしれませんが、TAが姿勢を保つ上で重要な筋であるということはご理解いただけるかと思います。



歩行開始時のTA

そして、ここでもう一つ論文を紹介いたいます。

こちらは歩行開始時には腿三頭筋の活動低下およびこれに続く前脛骨筋の活動が観察されると記しています。床反力を後方から立ち上げることで、重心を前方に移動させるということです。


では、上記2つの論文を組み合わせて考えて見ましょう。
TAの弱化は後方重心になりやすく、安定性限界も狭小化します。そうすると重心より後方に床反力を立ち上げることが困難になることが考えられます。従って、歩行開始が他の代償機構によって努力性に行われる可能性があります。

歩行開始時に身体の動揺が大きかったり、歩行開始に時間がかかる場合はTAの弱化が関与しているかもしれませんね!



TAによる背屈

遊脚期ではフットクリアランスを確保するためにTAによる足関節の背屈が起きます。これはもう単純に背屈運動です。うん。

というかこれができないほどの筋力低下は末梢神経損傷とかでしかあまり出会わないですが、、、


TAによる底屈制動

ICではTAによる底屈制動が起きます。
これはロッカーファンクションにも関与するので、歩行の推進力の維持や衝撃緩衝作用としても働いてきます。

そして、TAの筋力トレーニングだけではここは完結しない部分でもあります。

単純に遠心性収縮が必要になってくるので、遠心性収縮ができるようにならないといかんです。遠心性収縮は求心性収縮よりも難易度の高い収縮様式です。つまり、筋力増強のみならず運動学習的観点からもアプローチしたほうが良いのです。

もちろん、筋力がそもそもない!!っていう方であれば筋力トレーニングを行うべきです。それは各患者さんによって何が必要か?何が適応か?は考えて行きましょう。



そして、遠心性収縮が可能になった次はタイミング良くそれが引き出せるか?が大事です。

IC〜LRははっきり言ってめっちゃ早いっす。瞬きしてたら見逃しますw

その一瞬のタイミングでうまく遠心性収縮ができなくてはいけません。
これはもう実際にその動作を模して動いてもらって、その場面を練習するのが良いと個人的には考えております!


まとめ

歩行時のTAの働きは3つ

①遊脚相で求心性収縮による足趾のひっかかり防止
②IC~LRにかけての底屈の遠心性収縮による制御
③歩行開始時のトリガー

①に関しては筋力低下で引き起こされることは稀だが筋トレでOK!!末梢神経損傷とかなら装具療法が適応になりますね。

②に関しては、まずは筋力強化。その次に遠心性収縮の練習。その次にタイミング良く遠心性収縮できるよう練習する。

③に関しては他の要因もいっぱいあるけど、TAが筋力低下を起こしている可能性も考えて見よう!

ここから先は

0字

¥ 390

サポートはいりません!!それでも少し…という方がいらっしゃれば、シェアという無料でできるサポートをお願いいたします^ ^