空っぽじゃない空っぽ

「こうすると空っぽ」

「こうすると満一杯」

太極拳の先生が、指使いを教えてくださった。

でも、私気づいたんだ。

先生の空っぽは、空っぽじゃないことに。

なんていうのかな、器のある空っぽなんだ。

器の中に空っぽの空間がある

そんな空っぽなんだ。

器自体もなくなっちゃっている

そんな空っぽじゃないんだ。

多分だけど、
器自体もなくなっちゃっていると、
空っぽも消えてしまうんだと思う。

その日の お稽古では、空っぽと満一杯を何度も行き来した。

後で、先生が こっそり教えてくださった。

「人形を持つ手は、空っぽですよ」