翻(ひるがえ)る台詞

今日、台詞が翻(ひるがえ)った。

翻るって、悪い意味で支えきれなくて裏返っちゃったって意味じゃないよ。

翻ったの。

翻って、台詞が活きの良いお魚になったの。


話は数日前にさかのぼる。

数日前、体幹内操法の先生は、身体の中を翻らせる
方法を教えてくださった。

(詳細は先生にお尋ねください)

私、自分では翻る動きできているつもりだったんだけど、全然できていなかったんだ。

身体の外側をパタパタ折って、翻ったつもりになっていた。

身体の内側は全く動いていなかったんだ。


先生に、「三角の板を操作しなさい」って教えていただいたから、上演前に動作確認をした。

そうしたら、上演中一箇所だけ台詞が生きたお魚になったんだ。

『頼んだよ』って、先を行くおじいさんに声をかけたの。

その『頼んだよ』がキラッて翻ったんだ。


発した本人が思いもよらないニュアンスがついていて
びっくりしちゃった。

(あれ? こんな台詞言えるんだ、私?)

びっくりしたのには もうひとつ理由がある。

(この台詞は、後付けでこねくり回しても言えない台詞だ)

台詞の質が違うっていうか
あとからゴテゴテ装飾したのでは出ないニュアンスだった。

翻りながら出ているから、自然についてる抑揚っていうのかな。

動きとシンクロして発生した台詞だった。


つくりすぎた台詞って、動きとか流れから生まれて
ないんだよ。

どこか他所から持ってきたものなの。

だから、生きてないなって思わせちゃうの。


翻りと連動した台詞って、こんなに鮮度がいいんだ

こんな台詞言えるんだ、私


上演中、私の心は、お魚みたいに震えてしまった。



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